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第三十四話 馬鹿はここにもいた



 ピンク色の有に三メートルを越える大きなスライムが、体をプルプルと振るわせてからピョンピョン跳ねている。


 なんか、とても嬉しそうだ。うん、嬉しいんだね。全身で表現してくれてありがとう。私はちっとも嬉しくないけどね。そもそもさぁ~~何でピンクスライムなの? 他にも色んなスライムいるじゃん。ピンクスライムって、例のアレだよね……。正直、反応に困るよ。


 だって、大人が夜に利用する特別なスライムなんだよ。使い方? 知るわけないじゃん。ただ、そっち方面に需要があるって聞いただけだよ。生息数は極端に少なくて、絶滅したとまで言われてるスライムなんだって。ほら、ソウガがピンクのスライムを改良と繁殖をしようとして、シュリナやヒスイにボコボコにされた、あのスライムだよ。スライム好きのソウガにとって、超レアなピンクスライムは可愛いペットなんだろうけど。端はね……。


 そのスライムが、今目の前にいるんですけど……。ほんとにやらなきゃ駄目かな……。駄目だよね。分かってる。思っただけ。我が儘言った罰なんだから、ちゃんと罰を受けなきゃね。それに、巫女様も罰を受けているし……。


 そもそも、巫女様は私の護衛として付いていた。なのに、私の我が儘で何度も連絡係に走らせた。動けない私に代わって。結果、人身販売の組織は潰せたし、ユナたちの命を助けることが出来たよ。でもそれは、護衛の仕事じゃない。


 ましてや私は皆の反対を無視して、アランたちを追い込むためにわざと力を封じた。キレさせるために怒らせた。そして、怪我を負った。すぐに治せれるし、怪我するのは私だけだから、特に問題はないと思ってた。考えてた。


 でも、それは間違いだったって、思い知らされたよ。


 ソウガの元に巫女長様と戻ってすぐに、私は皆から怒られた。怒られるのはしょうがないと思ってた。それだけの事をしたし、皆にすごく心配掛けたからね。無茶をやったって自覚もあった。だから、私だけが怒られてお仕舞いだって考えてた。


 でも、そうじゃなかったんだよ。


 巫女長様は巫女様の降格を命じた。


 護衛の職を果たしていないっていう理由でーー。


 勿論、私は巫女様を庇ったよ。だって、私がそうお願いしたから巫女様は私の側を離れた。力を封じた事に関しては、巫女様は最後まで反対していた。何度も考え直すように進言された。他にも方法があるって言ったのを聞かなかったのは私だ。悪いのは全て私であって、巫女様じゃない。なのにーー。


「例え、主が命じたとはいえ、護衛がその場を離れること事態が罪なのです。護衛が側を外れる事、それは即ち、主の命より他の者を優先したことになります」


 厳しい表情でそう言われたら言葉に詰まる。だって正論だもん。間違ってるのは私。馬鹿なのは私だ。そんな私の口から出てくる言葉は感情論だけだ。


「……それでも!!」


 降格だけはどうしても許して欲しかった。巫女様の今までの努力が私のせいで無になるのはとても辛い。


「護り手様はこう仰っていますが、貴女はどう思いますか?」


 私の後ろに控えていた巫女様に巫女長様は視線を向け尋ねる。


「慎んで罰を受けます」


 頭を下げ、巫女様は答えた。弾かれるように後ろを振り返る。


「……巫女長様。少し宜しいでしょうか?」


 詰め寄る私越しに巫女様は巫女長様に伺いをたてる。


「構いません」


 許可が出た巫女様は視線を私に向ける。そして、私にも分かり易く教えてくれた。


「護りて様。気になさらないで下さい。と言っても、お優しい貴女様は気になさるでしょうが。……私はこうなることは分かっていました。分かっていながら、私は護りて様の側を離れることを選んだのです。本来なら、姿を現すこと事態あってはならなかった。姿を現すことも、離れることも、私自身が選択したこと。降格は選択した結果です。結果を受け入れるのも、自分だけなのです」


 出会ってから一度も表情を崩さなかった巫女様が、ニッコリと微笑みながら言った。そんな顔されたら何も言えないじゃない。


「…………だったら、私も罰を受ける」


「護りて様!?」


 何を言い出すのか。焦る巫女様。でも、私の意思は固い。ちょっとやそっとで崩されないんだから。


「護りてとしての旅の途中なのに、自分の命を軽んじた。その罰を受ける」


 まさか、私がそんなことを言い出すとは思っていなかったようだ。巫女長様は溜め息を吐く。


「まさか、自分から言い出すとはな」(シュリナ)

「いいんじゃねぇか」(ヒスイ)

「うむ。その心根気に入った」(ソウガ)


 三者三様の返答。当然、言ったのは聖獣様たちだ。巫女長様が私に罰を与えることは出来ないからね。護りてとしての私に罰を与えることが出来るのは聖獣様たちだけだ。


「ムツキ。今回は特に我が儘が過ぎた。それは分かっているな」


 シュリナの台詞に頷く。


「巫女はムツキのせいではないと言っているが、そもそも、ムツキが我が儘を言わなければ、降格しなかったってことも分かっているな」


 決定は取り消されない。よく分かった。自分の言動一つで人の人生を大きく変えるってことを。


「ならば、ムツキに罰を与えよう。我々全員から、一つずつ罰を与えることとする。まずはセイリュウ、お前からだ」


「我が与える罰は簡単だ。スライムの餌になってもらう」


(………………はい?)


 スライムの餌ーーーーー!!!!!!


「大丈夫だ。肉体は食わないから」


 そう言われても、安心出来るか!!!!







 お待たせしました。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m

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