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第八話 首絞めてもいいですか?



 グリーンメドウに戻って来た私たちは、弟君の報告も兼ねてハンターギルドを訪れていた。お土産付きで。


 勿論、お土産は例の()()だよ。アレ。


 無断で弟君を勝手に連れ出したからね。それに、セッカとナナのハンター登録の件も訊きたかったし。


 あ~~お土産ね。すっごく喜んでくれたよ。さすが、高級品。珍味らしいし。私は絶対食べたくないけどね。


 サス君とココは食べたがってた。ていうか、食べる気満々だった。よだれも垂らしてたし。多分この場にいれば、シュリナやヒスイもそうだと思う。皆味覚が似てるからね。


 それに、グリーンメドウに戻る前にクロガネの所に寄ったら、とても喜んでくれたからね。


 依頼の報酬はお金じゃなくて、ワイバーンのお肉にしてもらって正解だった。


 少しだけ貰ったんたけど、かなりデカくてあちこちに配れそうだ。勿論、皆の分は残してるよ。残してなかったら、マジ怒られるからね。食べ物に関しては容赦ないからね、皆。


 それにしても、副ギルマスさんは仕事が早い。


 私が報告に来る前に、大まかな事はジェイさん知ってたし。それには驚いた。なんでも、私たちが食料調達している間に、ギルド移動の手続きをしに、転移魔法で直接ジェイさんの所を訪れたんだって。


 だから、スムーズに話せた。話すのが苦手だから、助かったよ。


「ーーで、魔狼はどうなったんだ?」


 ジェイが先を促す。そんなの決まってる。


「瞬殺でしたよ。瞬殺。リードさんが出るまでもなかったです」


 対処したのはリックとクロードだ。


 弟君は何も出来なかった。というより、始めから当てにもされていなかった。まぁ、当然だよね。邪魔にならなかっただけマシかな。まだ、新人さんたからね。


「ワイバーンは?」


「五頭? 五匹? 全部狩りましたよ。弟君を囮にして。快く引き受けてくれましたから」


 囮にした事はキチンと報告したよ。ただ、快くはどうかな。正確には、脅してだけど。そこまで報告する必要はないよね。っていうか、言わなくても察してると思うけどね。現に、苦笑いしてるし。


 確かに脅したのは事実だけど、ちゃんと防護はしてたよ。サス君が結界を張ってたし。防御魔法は掛けていたから。


「ところで、ジェイさん。弟君の件だけど、副団長さんには……?」


 突然弟君がいなくなったら、副団長さん心配するよね。弟思いのお兄さんだから。かなり気が重いな……。思い返したら、私がした事って、軽い誘拐だよね。誰も咎めなかったけど。


「俺から、それとなく言っとくよ。親父の方にもな」


 苦笑しながらも、ジェイさんが引き受けてくれた。確かに、勇王であるジェイさんからの方が、波風がたたないと思うけど。


「本当にいいんですか?」


(甘えてもいいのかな?)


「ああ」


 ここは素直に、ジェイの好意を受け取っておく事にした。


「そうして貰えると、助かります!! ありがとうございます」


 私は軽くジェイさんに頭を下げた。


「お土産も貰ったしな。構わんぞ。それに、一か月たったら戻って来るしな」


 意味ありげに笑うジェイ。


(一か月で戻ってくる? どういう意味?)


 首を傾げる私。反対に、ココとサス君は何か知っているようだ。ニヤリと笑う。表情豊かだよね、君たち。


「一か月でレベル20かぁ~~。なかなか、バードだね。大丈夫かな? 潰れなきゃいいけど」


 心配そうな口調と顔が全然一致していない。猫でも分かるよ。


「レベル20じゃ、まず無理だろ?」


 そう答えたのはサス君。


「でも、規定は20だよね、ジェイ?」


 ココがジェイに確認する。


「ああ。最低レベルは20だな」


 私を置いて会話が弾んでいる。ちょっと寂しいよ。


「……あの~~皆、何の話をしてるの?」


 そろそろ、私も会話に加わっていいかな?


「ムツキも知っているでしょ。ワイバーンって、渡り鳥のような習性があるって」


 顔を前足で洗いながら、ココが説明してくれる。


「うん。知っている。確か、朱の大陸に渡ってくるんだよね」


「そう。予定では一か月後かな」


 ココがジェイに視線を向ける。


「ああ、そうだ。あくまで予定だけどな。おそらく、その頃に飛来して来る筈だ」


(あ~~何か、話が見えてきた)


「つまり、弟君を飛来して来るワイバーンの討伐隊に組み込むって事ですか?」


「ああ」


 ジェイは頷く。


「大丈夫なんですか? 最低レベルでも、AA(ダブルA)の魔物ですよ?」


 この前は、ゴールドが二人とシルバーランクが二人いたから、無理矢理でも参加させれた。しかし、次はそういう訳にはいかないだろう。


「そのために、一か月間修行するんだろ」


 やっぱりね……そうだと思ったよ。確かに、修行の場としては黒の大陸が最適だ。多種多様の魔物も出るし、レベルが高い魔物も存在する。


「一か月で、レベル20まで上がりますか?」


「上がるだろ。あいつらは、有言実行だからな。きっちり、仕事をするだろうな」


 するね。断言出来るよ。特に、あの副ギルマスがいるんだからさ……。光景が目に浮かぶよ。地獄だね。思わず、無言になる。


「因みに、ムツキ、お前も討伐隊に入ってるからな」


 当然のように言われたよ。拒否権はないんだね。あの蛇もどきと又対峙しなきゃいけないなんて……最悪だよ。今から気分がめっちゃ落こむよ。それに、これ以上弟君と関わり合いを持ちたくないんだけどな……。


「……分かりました。一か月後ですね」


 そんな事言えないよね。仕事に私情を持ち込むなんて、我が儘って言われるのがおちだし。


「場所は、ホムロ村だ。そこが拠点になる」


「えっ!? でもそこは、観光地じゃ」


「ああ。ムツキはまだここに来て日が浅いから知らないか。ホムロ村が一般人に開け放たれているのは、春から秋が始まるまでの半年間だ」


 初耳だ。全然知らなかったよ。でも考えてみると、渡って来たワイバーンを討伐する必要があるよね。拠点があった方が何かと都合がいいし、合理的だ。だけど……。


「ワイバーンは、ホムロ村の近くに巣を作るんですか?」


 拠点から離れた場所に巣を作られたら、拠点の意味がない。


「ワイバーンが巣を作る場所は限られてる。ホムロ山もその一つだ」


「他にもあるんですか?」


「ドーンの森だが……今回は、ドーンの森は無理だろうな」


「シュリナが目を覚ましたからですか?」


 ジェイは頷く。


 だろうね。前回と今回の違いはそこだから。


「それで、討伐は魔石の回収ですか? それとも……」


 ここは特に重要な点だ。


「食料調達が7、魔石が3で頼むな」


 やけに、にこやかな笑顔だった。一瞬、首を絞めたくなったのは言うまでもない。





 

 お待たせしました。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m


 後、一話で【束の間の休息編(2)】は終了予定です!!


 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪

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