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変態との攻防戦(1)

セシリア目線です。



「これより先は立ち入り禁止です。お引き取りを」


 これで五度目だ。内心、鬱陶うっとおしいが、表情を変える事なくピシャリと言い放つ。相手にとりつく暇も持たせない。これ特に重要です。この御二方の場合。


「「一応、君の上司は僕(私)だよね。セシリア」」


 何度も続く押し問答に、段々無表情になっていく双子の姉弟。彼らはホワイトライオンの獣人だ。


 肉食獣の頂点であるライオンに詰め寄られても、私は表情を変えない。これぐらいで変えては、部隊長など務められない。ましてや、この御方たちの相手は務まらない。隙を見せれば、確実にそこを容赦なく突いてくる。


「はい。一応、上司ですね」


 直属ではありませんが。


「それに、ここは一応俺の名義だよね」


「そうですね」


 そう……確かに、この屋敷の名義はロイ様だ。


 それに、ミカ様とロイ様はセシリアの上司。っていうより、雲の上の存在だ。現獣王陛下の血を色濃く引いている御方たち。


 なのに、この扱い。下手したら、地位剥奪もんだ。まぁこれでも、この二人を信頼し認めている。絶対口にしないが。とても優秀だと内心思っている。


 だけど、この件については引く事が出来ない。


 なんせ、この二人は事、あるお方に関して非常に、非常に、残念になるからだ。


 平気で痴漢行為を行い、果ては付きまといに盗撮。犯罪一歩、いや、犯罪行為を平気で行う。愛があれば大丈夫とのたまい、いっこうに治そうとはしない。それどころか、日々悪化している始末。何でも、ムツキ様がいつでも輿入れが出来るよう、後宮を改造してるとか……。早過ぎませんか?


 ミカ様とロイ様は番とされてるようですが、ムツキ様にはその想いは全く伝わっていません。行き過ぎた行為は、最早、病気としか言えない状態ですね。訴えられないだけ、ムツキ様に感謝しないと。


「もう一度言う。そこを退け」

「退きなさいよ、セシリア」


 地が出てきていますよ、ロイ様、ミカ様。


「ミカ様、ロイ様。キャリーバードを飛ばしたのは、三十分前です。よく、ムツキ様がお戻りになられた事が分かりましたね」


 特急便のキャリーバードを飛ばしたが、王宮に着くのは早くて一日。なのに、この御方たちは三十分後に突進して来られた。


「愛の力だ!!」

「愛の力よ!!」


(愛の力ですか……)


「分かりました。ここは、愛の力としときましょう(めんどくさいから)。ですが、ここを通す訳にはいきません。ムツキ様は今お休みになっておいでです。……黒の大陸では、瘴気の中を進まれたと伺っております。あの小さなお体でですよ。その眠りを妨げようとする者を排除するのも私の役目です。因みに、攻撃の許可はビャッコ様とスザク様から貰っておりますので(なので、容赦しませんよ)」


 静かに殺気を放ちながら告げると、ミカ様もロイ様も慌てだす。


「ムツキの眠りを妨げようとは思っていない。ただ……この目で無事な姿を見ときたい。だが……目を覚ます可能性もある。分かった。ここは俺たちが引こう。ムツキの部屋には行かない。だが、ここで目を覚ますのを待たせてくれ」


「お願い。セシリア。ムツキの部屋には行かないから」


 必死で頼み込むロイ様とミカ様。台詞だけを聞くとまともだが……。


「ムツキ様が目覚めるまで何をなさるのですか?」


「「勿論、ムツキの洗…………」」


 ほんとに仲の良い姉弟です。詰まる所も同じとは。


「洗……何です? もしや、洗濯物とは言いませんよね」


「「………………」」


(何にお使いなされるのですか? それとも、コレクションにでもなさるのですか?)


 正直、訊くのも怖いです。


 やはり、皆様のおっしゃる通りでした。残念を通り越して変態へと進化したようです。仕方ありませんね。殺気を解放しましょう。そして、丁重にお帰り頂きましょうか。ロイ様、ミカ様。






(ムツキ様が目を覚まされたら、一度、教育的指導をしないといけませんね)


 ロイ様とミカ様が転移魔法で消えた後、深い溜め息を吐きながら思う。仕事が増えました。でも、その前に。


「仕掛けを回収しないと」


 あの御二方です。一個じゃないでしょう。私たちの目を欺き仕掛けるとは……中々ですね。






 最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m


 参考までに、セシリアさんはメイドの格好をしてますが、立派な軍人さんです。それも、独立部隊を任せられる程の実力者。主な仕事は、ムツキの護衛です。ロイとミカの剣術指南を務めた事もあります。


【いざ、竜人の国へ編】の前に【束の間の休息編(2)】を掲載したいと思います。


 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪


 

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