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〈第二十六話 冷静に考えてみれば〉

 途中で、視点が変わります。



 日が陰りだしたので、私たちはこれ以上進むのを止め、この場で夜を明かすことにした。



 荷馬車を降りたミレイが素早く結界石を置き作動させると、ゼロと一緒に野営の準備を始める。

 私はそれを横目で見ながら、水魔法で水を出し桶一杯にすると、ほんの数滴ポーションを混ぜ馬に与えた。馬も大事な旅の仲間だ。それに、ポーションは人間専用じゃないからね。勿論、私たちの飲み水にも少し混ぜているけど。



「ミレイ、ゼロ。ちょっと、ここお願いしてもいい?」



 段々暗くなっていく大地を見ながら、私はあらかた準備を終えているミレイとゼロに話し掛けると、同時に結界の外に出た。



「あやつらの所に行くのか?」

「仕方ねーな」



 一人で行くつもりだったが、シュリナとヒスイがついて来た。サス君もついて来ようとしたが、お留守番を頼んだ。



 結界を張ったとはいえ、日が暮れた中で非戦闘員を置いとく訳にはいかないからね。ミレイがいるから大丈夫だと思うけど、何が起こるか分からない。念には念をいれて対処しなくちゃね。



 結界を一歩外に出ると、遠くで獣か魔物の遠吠えが聞こえてくる。周囲に神経を張り巡らせると、幾つもの魔物の気配を感じた。どうやら、取り囲まれているようだ。でも、結界の威力で近付く事が出来ないって、いったところかな。



 地上は危ないか。



 そう判断した私は、風魔法で空中に浮くと、十メートルぐらいの高さまで上がる。



 さて……二人は何処にいるのかな。

 リックとクロードの魔力は覚えている。私は意識を集中して、リックとクロードの魔力の断片を探す。



 ーー見付けた!!



 意外に近い。ここから、三百メートル程離れた場所にリックとクロードはいる。魔力の状態からみて、二人は無事そうだ。内心、ホッと胸を撫で下ろす。



「……関わらないって断言したけど、さすがに、夜も放置は、人として駄目だと思うんだよね」

「それを承知で、この場所に立っていると思うが」



 相変わらず、シュリナはリックとクロードに厳しい。



 まぁ、確かにそうなんだけど。



「俺もスザクに賛成。その準備はしてんじゃねーの」



 ヒスイも二人に厳しかった。

 私は反論することなく、苦笑すると空中を軽く蹴った。









「リック、腕を見せろ」



 クロードはそう言うと、リックのローブを脱がした。ベストの下の白いシャツの二の腕に、赤い染みが出来ていた。

 リックは痛みに顔を歪め、クロードはその姿に眉をしかめる。



「あほが。考え事をしているからだ」



 そう文句を言いながら、手早く処置をする。本当はポーションを使いたかったが、これから先の厳しい道のりを考えると、これぐらいの怪我でポーションは使えなかった。

 ムツキが持つようなマジックバックは、到底、リックやクロードが持てる物ではない。野営の準備などの用品も入れると、どうしても持てる数に限りがあった。



「ムツキが言っていたことを、気にしているのか?」

「……ああ」



 ーー王は、大陸に棲む生き物全てを護る盾だと。



 ムツキが言ったセリフが、どうしてもリックの頭から放れない。



「そうか……」



 実のところ、クロードもムツキが言ったセリフが、頭から放れなかった。

 本当のこというと、ムツキが去った後、感情的になり過ぎたとクロードは反省していた。

 ベースキャンプの時もそうだったが、あの少女は冷めた目で現実をつき付けてくる。嫌な程に。自分より、十歳は若いだろう子供にだ。そのせいで、感情的になったのかもしれない。



 自分たちより遥かに優れた能力を持ち、ハンターになって僅か数か月でゴールドに昇格した少女。



 そして、〈黄金の冒険者〉〈漆黒の英雄〉という、二つ名を持つ少女。



 人族では考えられない程の魔力と、霊刀を扱える程の戦闘能力を持ち、伝説に近い従魔たちを従え闊歩かっぽする様は、孤高の存在としてハンターたちから恐れられる存在になった。

 ハンターの中には、ゴールドになったのは何かの不正があったのではないかと疑う者もいたが、バーミリオン支部のギルマスとの模範試合で、その噂は一掃されたと聞く。



「…………僕は、王というものに、とらわれ過ぎていたのかもしれない」

 ボソッと、力ない声でリックは呟く。



「ムツキが言った事が正しいと、リックは思うのか?」

「クロードはどう思う?」

「俺は、ムツキの考えも一理はあると思う」



 冷静になって考えてみると、ムツキの言うことも一理あるとクロードは思う。

 関係のない他者だから、客観的に言えることなのか。

 それとも、王と面識があるからこそ言えることなのかは、分からないが。



「……そうだな」

「夜が明けたら、恥を忍んで会いに行くか? リックはムツキと、じっくり、話をしたいんじゃないのか?」



 クロードはリックにそう提案した。

 その時だった。



「いたっ!!」

 この場に似つかわしくない、少女の声が聞こえた。



 吃驚びっくりしたリックとクロードは立ち上がり、剣を握ると慌てて周囲を見渡すが、人の姿は確認出来ない。



「何処から声がした!?」



 クロードが鞘から剣を抜く。怪我をしたリックを背に庇う。



「リック、怪我してるの?」

「「ムツキか!? 何処にいる!?」」



 リックとクロードが声を揃え、ムツキの姿を探している。



「上だよ」



 その声に弾かれたように、リックとクロードは上を見上げる。



 上空には、さっきまで自分たちが話題にしていた少女が浮かんでいた。



 




 お待たせしました。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m


 更新時間がまちまちになり、本当にすみませんm(__)m

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