↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
199/316

〈第二十話 魔物に支配された村(6)〉



「それで、どうするつもりだ?」

 シュリナが代表で訊いてきた。



 皆、私を見ている。邪眼玉も(潤ませながら)。

 仲間の私を見る目が、なんか残念な子を見ているような気がするのは、私だけかな。

 文句を言いたくなるが、考えなしにポーションを与えたのは事実。はい、すみません。私が悪かったです。何も言えません。でも、これだけは言わなければ、



「いや、いや、無理だから!!」



 ちゃんと拒否しました。顔の前で右手を左右に振る、ジェスチャーを付けてまで。ここまで拒否すれば、邪眼玉にも伝わるだろう。

 邪眼玉はシュンと肩を落とす。目玉だけど。肩もないけど。ポロポロと涙を溢す。



 涙……魔物に?

 皆の視線が痛い。私も罪悪感で、心がズキリと痛む。でも、邪眼玉を仲間に加えることは出来ない。これ以上はちょっと無理です。

 私の意思が固いことを知って、邪眼玉は小さく「キュ~~ン」と鳴くと、姿を消した。

 後味の悪さだけが残る。



「……これからは、考えずに行動するな。分かったか」(ヒスイ)

「ムツキさん。これから、気を付けたらいいんですよ」(サス君)

「優しさが、相手を傷付けることもあるんだよ」(ココ)

「……少しは懲りたか。馬鹿者が」(シュリナ)



 容赦なく、グサグサと突き刺す。皆の言う通りだ。

 私はあの邪眼玉に酷いことをした。何気ない行動が、邪眼玉を傷付けた。魔物だけど、泣かした。魔物でも感情があることを、私は忘れていた。ちょっと、引きずるかな。

 消える前の寂しそうな姿が脳裏を過る。「ごめん」と、私は心の中で邪眼玉に謝った。



 そんなことがあったからって、手を休めるわけにはいかない。黙々と襲ってくる魔物を倒しながら、塀を簡単だが修理していく。

 二時間程で、私の割り振られた箇所は終わった。



 村の中央部に戻る。そこには、既に作業を終わらせていた、ケイとシオンが退屈そうに待っていた。



「遅かったな!!」

「意外と時間が掛かりましたね」



 シオンとケイが声を掛けてきた。



「ごめん。待ちました? 塀の修理もしてたから、遅くなりました」

「塀の修理ですか?」



 ケイが不思議そうに尋ねてくる。



「っていっても、土魔法で塞いだだけの簡単なものだけど。折角、魔物を一掃したのに、侵入されるのは嫌だしね。やった所は、自分の持ち場だけだから、あんまり意味ないかもしれないけど。しないよりは、ましかなって思って」



「「…………」」

 


 シオンとケイは驚いた顔を見せた後、ニヤリと笑った。

 何か嫌な予感がして、私は思わず一歩下がる。



「ムツキ。壁とか作れますか?」

 警戒する私に、ケイは尋ねてきた。



「壁ですか?」

「そう、壁。出来れば、二メートルぐらいの高さの壁が欲しいかな(閉じ込めるのに)」

「出来ますよ」


 

 素直に答えると、ケイは嬉しそうにシオンに話し掛ける。



「これで、一気に対処出来ますね。シオン」と。シオンは「ああ。ラッキーだったな」と答えた。



 何に!?



「意外と、あいつらの対処は骨が折れるんだ」



 だから、何に!?



「「それじゃ、行こうか?」」

 ケイとシオンがにっこりと笑いながらハモる。



 何処に!? 怖いんですけど。

 身の危険を感じた私は、無意識に三歩後ろに下がる。

 しかし、さすがゴールドクラス。獲物(わたし)を逃がすつもりはないみたいだ。至近距離で挟まれるように立たれて、私は逃げ場を失う。



「…………私に拒否権はありますか?」



 一応、訊いてみる。



「あると思う?」

「あるわけねーだろ」



 そうですね。ないですね。はい、分かりました。



「で、何処に行くんですか?」

「教会だ」



 教会?



「この村の地下通路に閉じ込められてるのを、解放するんだよ。その地下通路の入口が教会にあるわけ。……それで、ムツキ、何が閉じ込められてるか知りたい?」



 ケイがにこやかに訊いてくる。シオンもニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて、私を見ている。

 私は勿論、首を横に振った。

 当たり前じゃない! 聞きたくないし、知りたくない。何が閉じ込められてるかなんて、絶対に!!



「そう? でも、後より今知った方がダメージ少なくない?」

 


 この時、私は思った。

 ケイさんとシオンさんは絶対ドSだと。









「「臭い!!!!」」



 ヒスイとシュリナが鼻を押さえて、上空に逃げる。サス君もココも鼻を押さえてむせていた。



 確かに臭い。人間でも顔をしかめる臭さだ。皆には辛いよね。乳製品の腐った匂いをこのまま嗅いでると、私でも吐き気がしてくる。

 教会の外からでもこんなに臭うのに、中に入って囮になって誘導している、シオンとケイには脱帽ものだよ。



「サス君、結界張ったら。少し臭いがマシになるかも」

 


 何気に言ったことだが、正解だったみたいだ。臭いが大分マシになった。サス君とココがゼイゼイと荒い息を整えながら、伸びている。



 戦う前からこれ?

 苦笑しながらも、ココを抱き上げ、サス君の背中を撫でる。



 言われる通りに、私は二メートル程の土壁を、教会の出入口を取り囲むように張り巡らせた。



 歩く死体。

 ゾンビは頭が弱い。脳が腐っているからなのかは知らないけどね。だから、動作も鈍い。だけど、強い。打たれ強いのだ。普通の剣で心臓を突いても、足や腕を切断しても迫ってくる。映画のように、噛まれたらゾンビになったりはしないけど。それでも、かなりの手強さだ。



 弱点は、火と頭を潰すこと。

 首を切り落としても、頭を潰さない限り体は動き続ける。



 広い場所でないと不利なのだ。なんせ、下手に切断したら、その部位が迫ってくるからね。という訳で、適度に広い場所、そして、逃げられない場所が戦いに最も最適な場所というわけだ。

 私が土魔法を使えたって知った時、ケイとシオンは同時にその作戦を思い付いたらしい。



「間もなく来ます!」



 復活したサス君が、低い声で告げる。結界の効力を上げたようだ。

 私は教会から離れると、土壁を背に立つ。出入口から、まずケイが飛び出した。その次に、シオンが飛び出す。



「赤竜様と緑竜様は?」

 私の横に移動したケイが訊いてきた。私は上空を指差す。



「臭いから逃げた」

「ハッハッ。確かに臭いからね」



 ケイとシオンは苦笑する。



 そんな話をしている間も、教会の出入口からわらわらと、歩く死体が悪臭を放ちながら出て来た。



 



 お待たせしましたm(__)m


 最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m


 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。