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〈第三話 久し振りの再会〉



 翠の大陸は、朱の大陸よりも若干涼しい。

 って言っても、夏は夏だから、暑いのは変わんないんだけどね。



 この世界に来て、早三か月。

 春が過ぎ去り夏が来た。



 今日は、召集令状に記載されていた日だ。



 二度目の、王都マカライト。



 前回はジェイに拉致られるようにやって来たが、今回はハンターの仕事のために王都を訪れた。

 あの円卓の間での会議は不愉快で後味の悪いものだったけど、ジェイに拉致られたおかげで、転移魔法で飛んで来れたのはよかった。よかったんだけど……



 目の前の光景に、少々うんざりしながら呟く。



「……結構な人数だね。これ、全員ハンターかな?」

「はい。大半がハンターですね」



 ミレイも若干引き気味で答える。

 そうだよね……。溜め息が漏れる。前日入りしていた方がよかったかな。そう後悔してしまうほど、大勢の人だかりが城門前に出来ていた。



 王都に入るだけで、何時間待ち? 絶対、昼過ぎるよね。まぁ、約束の時間は三時だから、ギリ間に合うとは思うけど。確実に、昼抜きかぁ~~やだな~~。



『俺も嫌だぜ。昼抜きは』

『我も承知出来ぬ』



 ヒスイとシュリナが断固反対する。

 意外なことに、食には五月蝿ウルサい二頭のドラゴンだ。洞窟のダンジョンに潜ってた時も、必ず三食プラスおやつを食べてたからな~~私もだけど。



「僕も昼抜きは嫌かな」



 はい、もう一匹いました。食通な黒猫が。彼は量より質を大事にしている。メンバーの中で一番のグルメだ。必ず二品メインディッシュを用意して味わう。肉が主だけど。



「ココ!」



 ミレイに大人しく抱かれているココを嗜めるサス君も、本心は昼抜きは嫌らしい。でも、性格上そう言えないので黙り込む。

 そんなサス君の頭を、私は軽く撫でる。



「それじゃ、並びましょうか」



 少しでも早く並べば、その分王都に入れるしね。



『今からでも遅くないぜ。直接、飛んでもいいじゃねーか? 昼ご飯は豪勢だぞ』



 並ぼうとする私に、ヒスイは声を掛けてきた。

 振り返る私に、皆の視線が突き刺さる。痛いよ、皆。昼抜きが嫌な皆の気持ちは分かるけど、



「それは駄目。王宮内に飛ぶなんて、無断侵入でしょ。最悪、捕まったらどうするのよ」

『捕まる訳ねーだろ(俺たちがいるのに)』



 確かに捕まる訳ないけどさぁ……



「だとしても、駄目。特別扱いされたくない」



 これは私の我が儘だ。



 朱の大陸にいた時も、何度もジェイに王宮を拠点にするように言われたのを断ってきた。なら、屋敷を用意するとまで言われたが、当然それも固辞した。

 そのことを、おそらくジェイから聞いていたから、獣王は王都から離れたホルンに屋敷を用意したのだと、私は思っている。それも、私が住みやすいように、ロイとミカのためという布石を用意して。

 ここまで気を使ってくれた好意を、さすがに無下には出来ない。だから、私は素直に好意を受け入れた。でも、それ以上は……



『仕方ねーな』



 ヒスイが折れてくれる。皆も、しょうがねーなって顔をしている。



「ありがとう。ーー!! どうしたの!? ミレイ!?」



 ヒスイに礼を言い皆に視線を移した時だ、ふと……後ろにいるミレイに視線を向けると、ミレイが涙ぐんでいた。



「……ご立派です、ムツキ様。さすが、私が御仕えしている御方です」



 ミレイは感動にうちひしがれていた。

 シュリナとヒスイは念話で話していたが、私たちの会話の前後の脈絡で話の内容は理解出来ていたみたいだ。

 さっきの会話で、感動する場所あった?

 にしても、この反応って……ミレイの目に映っている私は、一体何者なんだろう? 絶対、私じゃないよね。



 若干引き気味で、そんなことを考えていた私の耳に、ざわめく声と慌てる人の声が聞こえてきた。

 混乱している城門の人だかりを遠目で見て、私は思わず頭を抱えたくなった。



 そんな私の様子を無視して、無情にも、「「ムツキーーーー!!!!」」と私の名前を叫ぶ男女の声が響き渡った。



 姿を現した原因に、私たち全員げんなりとしながら溜め息をつく。そりゃあ、慌てるよね。



 

 


 読んで頂き、ありがとうございますm(__)m


 一話と二話はシリアスモードでしたが、今回からほのぼの路線で("⌒∇⌒")

 

 次回は、16日(土)午前0時に更新予定です。


 それまでは、「英雄と呼ばれた最強魔法使い、後に彼は魔王と呼ばれることになる」を更新していきたいと思っていますm(__)m

 


 

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