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〈第二十五話 結局のところ〉

 セシリア視点です("⌒∇⌒")

 


 陽が暮れ、夜の帳が降りはじめても、護りて様が連れてきたエルフの少年はまだ眠ったままだ。



「まさか、セシリアがあの厄介者を放り出さないなんて、思ってもみなかったわ」

「そうそう。ムツキが帰った瞬間、放り出すって思ってたよ」



 この王子と王女は、自分のことをどんな風に思っているのか、じっくり、拳を交えて話し合う必要があるな。今は無理だが、後でじっくり訊くことにしようと、セシリアは無表情のまま考えていた。



「貴方たちは愚かですか。今放り出したら、スザク様と護りて様に嘘をついたことになるでしょう」



 分かりきったことを説明しなければならない億劫さに、セシリアは大きな溜め息をつく。



「確かにそうだけど……」

「でも、セシリア。それとは別に、本当は、ムツキのこと気にいってるんでしょ」



 自信満々に言う、ロイとミカ。



「そうですね。嫌いではありません」



 嫌いではない。寧ろ、好感が持てる。



 直に言葉を交わしたのは二、三言ぐらいしかないが、それだけで、少なくともムツキという少女が、自分の中に芯を一本持っていることは十分、理解出来た。それに、頭の回転も速い。そして、容姿も良いときている。臭くもない。嫌うところを探す方が難しい。



「「それは、大好きってことだよね」」



 男女の双子なのに、考え方も類似している二人はよくハモる。だがハモるのは、信頼している者の前だけだ。その他の者の前では、セシリア以上の無表情になる。結果、口調も極端に少なくなる。顔が整い過ぎている分、冷たい印象を与えるミカとロイは、周囲から怖がられていた。



 その事に胸を痛めていた獣王は、護りて様のことを口実に、セシリアを目付け役として、この地に派遣した。



「「勿論!!」」



 怖がられていた二人が、今は頬を染め、人らしい感情を見せている。



 それが極端過ぎて、当の本人からは病的扱いを受けてしまったが、それで諦める二人じゃないことは、彼らの師範を務めていたセシリアはよく知っている。獣王に頼まれて、渋々、ミカとロイのお目付け役として同行したが、来て正解だったと、セシリアは内心思っていた。絶対、口に出すつもりはないが。



「とりあえず、ムツキ様のことは抜きにしても、あの少年には、訊かなければならないことがあります」

「加護を失ったのが、〈森の民〉全体かどうかだね?」

「そしてその原因が、もしかしてムツキに関連してたら、危険分子になりかねない。そのことも見極めないとね」



 ミカとロイの考えに、セシリアは頷く。



「もし、ムツキ様の敵になるようでしたらーー」

「「潰す!!」」



 間髪入れずにそう言う二人に、セシリアはもう一度頷いてから、ニヤリと笑う。



「上手くいけば、あの少年で釣りを楽しめるかもしれませんよ」



 少年を別室に運んだ時に、ジェイから聞いていたことを思い出す。



 巻き込まれた感は甚だ大きいが、〈護りて〉様に関することならば、無視するわけにはいかない。国としても。まぁ、国が関係していなくても、手を貸すことはいとわないが。ミカとロイが知れば、「厄介だ」と言いながらも、積極的に関わろうとするだろう。結局のところ、巻き込まれるのは必然だった。



「釣り?」

「何が釣れるの?」

「黒い獣ですね。上手くいけば、二頭釣れるかもしれませんよ」



 最悪、一頭は釣れる可能性は大きい。セシリアは内心、そう踏んでいた。その自信はどこから来るのかは、分からないが、こういう感は昔から当たるのだ。不思議と。ミカとロイも、そのことは当然知っていた。だから、



「「いつ頃釣れるかな?」」

 ミカとロイはウキウキしながら尋ねる。



「深夜、屋敷が寝静まってからでしょうね」

「勿論、私たちだけで釣り上げるんだよね?」

「僕たちの邪魔をしないように、くれぐれも言っとかなくてはね」



 久し振りの釣りという名の狩りに、高揚感を隠せない、ミカとロイ。それは、セシリアもだった。この屋敷で働いている全員が、異様な高揚感に包まれている。この屋敷に働く全員、実はセシリアの直属の部下だった。それも優秀な。



「邪魔はしないが、逆に、彼らの手をわずらわすようなヘマはしないように。もしヘマをすれば、分かってますよね。ミカ様、ロイ様」



 普段、無表情なセシリアが、この時ばかりは、にっこりと満面な笑みを浮かべた。





 お待たせしました("⌒∇⌒")


 今回はセシリア視点!!

 黒い獣の一頭は分かるよね("⌒∇⌒")


 正解は、次回のお話にて。

 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪

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