〈第七話 再会〉
「ムツキ様!! ムツキ様ではありませんか!!」
急いでドーンの森に向かおうと、大股で歩いている私を呼ぶ声がした。その声に足を止める。私の名前を聞いて、数人の村人たちが私たちの所まで駆け寄って来た。あっという間に、取り囲まれる。
(誰だっけ? 名前が思い出せない)
でも、見覚えがある。
「「「やっぱり、ムツキ様でしたか」」」
「お元気そうで何よりです。ムツキ様! 赤竜様!! サスケ様にココ様」
私たちの姿を見て、心底嬉しそうに彼らは微笑む。
ドーンの森に関係していない者に聞かれる可能性があるからか、シュリナのことを〈スザク様〉とは呼ばずに、赤竜様と呼んだ。眷族である彼らは、シュリナの認識魔法は効かない。加護を受けているジェイも、始めから、シュリナのことを認識してたしね。
「久し振りです。一か月ぶりですね」
私も微笑む。急いでるけど。
微笑んでいる私に対して、シュリナは無言だ。本来、シュリナは神殿で過ごし、姿を見せること事態がありえない。その声を聞くことが出来るのは、巫女長のシュリ様だけだ。外に出たからといって、それが変わることはなかった。
「ムツキ様も、シュリ様に会いに来られたのですか?」
「えっ!? シュリ様、今、村にいるの!?」
「「「「はい!!」」」」
「あの、今、シュリ様はどこにいるか分かりますか?」
尋ねる私に、男性は目を丸くしながら答える。「シュリ様なら、今、宿屋にいらっしゃると思いますが」と。
「宿屋ですね!! ありがとうございます」
私はお礼を言うと、手を振り、彼らと別れた。
(危なかった……入れ違いになるところだったよ)
小走りしながら、私は急いで宿屋に向かう。私の背中を見送りながら、残された村人たちは口々に文句を言いだす。
「ムツキ様たちが訪れたのは、あの坊主の件だな」
「あの、罰当たりなガキだろ」
「あたしたちのことも、馬鹿にしてたしね。人間の癖にって!」
「全くだ」
「それにしても、人騒がせな坊主だぜ。ムツキ様や赤竜様に迷惑を掛けやがる。兄貴も仕事を放棄してしまうしよ」
「もし、ムツキ様たちに、何か危害や迷惑を掛けようとしたなら、俺はあいつを絶対に許さない!!」
「当たり前だ。この村の者は誰一人、許すものか!!」
彼らは次第にヒートアップしてきた。それを止めれる者は、この場にはいなかった。彼らは気付かない。今交わされた会話が、シュリナたちの耳に入っていたことに。
そんなことを言われているとは露知らず、宿屋に到着した私は乱暴にドアを開けた。
「いらっしゃいませ!! お一人様ーームツキ様!! 赤竜様!!」
出迎えてくれたのは、宿屋の一人娘のコナツちゃんだ。十歳ぐらいだが、実にしっかりとした可愛い女の子だ。私がここを訪れた理由を察したコナツは、軽く一礼すると、「こちらです」と、私たちに声を掛け、階段を上って行く。
「どうぞ。散らかってますが」
通されたのは三階。コナツたちの居住区だった。宿屋の一室では、話を聞かれる危険性があるからだ。廊下を進みドアの前で止まると、コナツは三回ノックする。
「構いませんよ。お入りなさい」
ドア越しに女性の声がする。私はその声に聞き覚えがあった。
(シュリ様だ)
「シュリ様、ジェイ様。会談中、失礼致します。ムツキ様、スザク様をご案内致しました」
ドアを開けると、コナツは深々と頭を下げ、私たちを室内に通す。そしてそのまま、下へと降りて行った。
「ムツキ様!! スザク様!! どうしてここに?」
「ホムロ村で待つように言っといたはずだが……」
私たちの登場に驚いた二人。
「我がどこにいようが、お前たちに関係なかろう」
不機嫌を隠そうともしない、シュリナ。その声音に、ジェイとシュリ様は真っ青になる。
(あーー)
シュリナだけじゃない。サス君もココも不機嫌だ。さっきの村人たちが何か言ってたんだと、この時気付いた。
「お久し振りです。シュリ様、ジェイさん。……少年が一人いなくなったって、ケイさんに聞いてね。それって、もしかして……リクなの?」
私は単刀直入に二人に訊いた。
長くなりそうなので、区切りのいいところで区切りました。少し短めです。
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




