4話『修行②サプライズ』
恥ずかしいぐらいに誤字あるかも
俺は滝に打たれ暫くすると余りの激しさと冷たさに意識が飛んでアリスに叩き起こされ、また滝に突っ込まれることをなんども繰り返された。
帰りの途中もフラフラで、なんども森の中で倒れ込み意識を手放してしまった。
手放したからといってニアとアリスは助けてはくれない。
森の中では俺一人、孤独の世界だ。
っつか初めなんだから助けてくれたっていいのになぁ。
普通イキナリこんなことして弱音吐かずにやる奴なんていねぇだろ。
俺は頑張ってるんだぞ。
そこらへん、もうちょっと考慮してくれてもいいのに。
と、思いつつも城の前に辿り着く。
太陽は、もう登り初めぐらいになっていた。
「朝この城を出て、帰りは日の出か。」
と呟きながら自分の腹が空腹のことに気づく。
城の門を開き中庭に入るとニアが立っていた。
「初めてで良く弱音も吐かず頑張ったな。」
いや、弱音も吐かせてもらえなかったじゃん、と思ったが喋る気力が一瞬抜けフラッとニアの肩に倒れこんでしまった。
「お、お、ついに私の魅力に気付いたか?私はウェルカムだぞ。」
「バカやろ。
ちょっと足元がフラついただけだよ。」
と俺はまた気力を持ち上げニアから離れ城の方へと歩いていく。
だけど何かを終えた後に頑張ったね。と認めて労いの言葉を掛けて貰えるのは嬉しいもんだ。
つい最近までいた世界ではそんな言葉、どんなけ頑張ったって言ってくれなかった。
そんな当たり前の些細なことでも俺には特別で嬉しかったりする。
そして城に入るとスミスとメイドが待ち構えていて食事が用意してあった。
アリスの姿はなかったが気にせず俺は食事をガツガツと獣のように食べ終えた後自分の部屋に戻りそのまま意識を手放す。
翌朝、といっても5時間ぐらいだろう。
枕元に誰かが座りこむ。
またニアか?と思い枕元を見上げるとアリスが天使の微笑みを浮かべている。
なんて綺麗なんだ。
っていやいや、だまされちゃダメだ。
嫌な予感がする。
「おはようございます。
では、行きましょう。」
「ど、何処へ?」
アリスは微笑みを浮かべながら首を傾げる。
「何を言ってるのでしょうか?昨日と同じまた修行です。
ささ、早く朝食を済ませて初めますよ。」
俺はアリスに手を掴まれベットから引き離され晩餐室に連れていかれる。
っつか掴まれてる手があり得ないぐらい痛い。
そして席に座らされ手を離されると、俺の手には訳の分からないくらい綺麗に手形がついていた。
恐る恐る隣に立つアリスを見上げる
「さぁ、どうしたのです?
早く食べて修行ですよ。」
と、アリスは美しすぎる笑みを浮かべている
だめだ‥。
こいつはニアなんて比べものにならないくらい絶対に危ない!逆らっちゃいけないやつだ!
そんな事を思いつつ、辺りを見渡すと今度はニアの姿が見あたらなかった。
「あれ?ニアの姿が見かけられないけど、」
俺の疑問にスミスが答える。
「今日は別件で外出しております。
夜には戻られるかと、」
別件?なんだろう‥
と思いつつもアリスの天使のような悪魔の笑顔が早く食事を済ませろと言わんとしているのがヒシヒシと伝わり、早々に朝食をすませ、また修行の開始だ。
正直昨日の疲れなんて取れているわけがない。
体中筋肉痛で本当は歩くのもやっとだ。
だけど有無を言わせぬアリスの笑顔が恐ろしくて弱音を吐く事はできないので、また俺はひたすら走った。
途中、昨日の疲れが生じ、また何度か意識を手放したが必死の思いで精霊の滝までたどり着くと、やはりアリスは優雅なティータイムを送っている。
俺がこんなけ必死でやってるってのに優雅にティータイムなんか送りやがって。
どんな神経してんだよ。
と思う気持ち関係なくアリスにまた、早く滝に入れと指示される。
それで俺は思わず心の声が少し漏れる。
「鬼め‥」
聞こえていたのだろうアリスは笑顔で返す。
「今日は2時間の所、3時間にしましょう
」
空いた口が塞がらなかった。
○○○
3時間の苦痛に耐え、また城に戻るため森の中に入る。
早くも2日目にして気持ちのゆるみか、森の中でなら少し休憩しても大丈夫かな?とズルイ考えをしてみたりしたが、今日の朝みたいに早く帰らなければ寝る時間などなくまた起こされたら堪ったもんじゃない。
一刻も早く城に辿りつけるよう死ぬ気で足を動かし走り進む。
意識は途中途中途切れていてもはや覚えてなどいないが、また城にだどりついた。
やはり時間はもう日が昇り始めていた。
「やっぱりこうなるのね。」
トホホと肩を落とし、門を押し、城の中庭に入ると今回はニアとアリスが待ち構えていた。
「よく頑張ったな。
そんな君に私達2人でプレゼントを用意した。来てくれ」
プレゼント?
フラフラの身体を更に引きずりながらアリスとニアに城の裏手、森の中に案内されると、そこには見たこともないほど大きな露天風呂が用意されていた。
所々に純和風を思い出させるような造形物や、ジェットバス、寝転び風呂など。
まるでスーパー銭湯のお風呂を森の中に設置し更に大きくしたバージョンだ。
俺は感動のあまり声を漏らす。
「お、おぉぉお!」
「この世界では風呂に入るといった習慣がなくてな。基本水浴びなんだがそれじゃ疲れがとれんだろうと言う事で。
アリスと作ってみたんだ。
私が地下の温泉を掘り出してアリスが細かな設計や配置を考えてくれたんだ。
少しでも君の力になれたら。ってな事でな。
だからアリスは寝てないんだ。」
「えっ?アリスが?」
思わずアリスを見ると、アリスは恥ずかしいのか、いつもとはまた違う表情で赤面している。
「お、お気に召されましたか?」
えぇ?!変わったツンデレだな!オイ!
けど、いい所もあるんだ。
ここは、素直に喜ぶべき所だ。
「ありがとう」
アリスは赤面した顔を向こうに向ける。
「いえ、こ、これも修行の為ですから。」
可愛い所もあんじゃんと微笑むとイキナリ俺の顔をニアが覗きこむ
「ん?君、泣いているのか?」
ニアの言葉で自分の目から頬に伝う雫に気づく。
え?!
あぁ、そうか‥
そう言えばプレゼントとかも貰ったことって俺、ないんだよな。
普通、親ならクリスマスプレゼントとか誕生日プレゼントとか色々やるだろうけど俺の家には全くの無縁だった。
欲しい物は何でも言えば買ってもらえた。けど買って貰ったとしても英才教育のせいで殆ど時間が無かったから、買っても無意味だと言う事と、その物は俺を黙らせる唯の口実の物だと言う事も、もはや小学生になる前に気づいたくらいだった。
小学校に入り、皆んながクリスマスという行事で盛り上がり、次の日に目をキラキラさせながら何を貰ったか言いあってるのを聞いた時にクリスマスの存在を始めて知ったんだっけ。
だから、特別な贈り物といったサプライズ的な物に俺はいつも憧れていた。
会って数日だけど、この今の精神状態でこの送り物は、俺にとって一生忘れられない特別な贈り物になった。
「ニア、アリス。
ありがとう。」
これからも宜しく!
あったら教えてね。