来客の日に
「汐、こっちおいで」
宝稀が膝をポンポン叩いて僕を呼ぶ。
座れと?その膝の上に?僕もういい大人なんだけど?
「早く」
あぁぁぁぁああああもう、そんな犬みたいな目で見るのはやめて欲しい。お前仮にも鬼だろう!酒呑童子だろう!
煙々羅やたたりもっけ、巡り神などの1件があってから、何やら僕と宝稀はこんなバカップルみたいなやり取りをする機会が多くなりつつある。
バカップルとか、自分で言ってて恥ずかしくなってくる。別に付き合いはじめたわけでもないし、そういう行為があったわけでもない。
でも距離が近くなり、スキンシップが多くなったのは間違いない。
トン、と宝稀の膝の上に座る。
「ん、よろしい」
背後から満足気な声が聞こえて、僕はわからないように溜息をひとつ吐いた。
現在昼ご飯中である。こんな体勢でご飯をいただくなど、お行儀が悪いのだけれど。
――ピンポーン
と、そこでチャイムが鳴った。
珍しく来客のようだ。昼ご飯の途中ではあるが、玄関まで出迎えることにした。
僕を膝の上に座らせていた宝稀は少し不機嫌そうである。
来客といえば。最近、といっても煙々羅たちの一件の後からだが、飯綱と律花がたまにこの神社を訪れるようになった。
流石に平日のこの昼過ぎの時間帯だから飯綱たちではないだろうけれど。
「はい。どちら様で」
玄関を開けると、そこに立っていたのはアニメとかでお馴染みの妖怪だった。
「……へ、えっと、」
「宝稀はご在宅かね?あぁ、姫じゃないか。どうもご機嫌よう。上がらせてもらうよ」
彼の名は、ぬらりひょん。