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作戦会議

中央の街にある和風居酒屋を貸し切り、今晩会食が行われることになった。

参加者は、先週収集をかけられた冒険者チーム10組である。

ちなみに俺は正式にメンバーが決まっているわけではないので、一人で参加することになった。


「お疲れっす~」


 居酒屋に到着し、適当に空いてる席に座る。

ほとんど知らないメンツだったが、ちらほら知ってるやつもいた。

俺が席に着くと、となりのホストっぽい兄ちゃんが声をかけてきた。


「君は色んな意味で有名だよね」


「殺人の件は誤解だっつーの」


 全員揃ったところで、幹事の神官が席を立ち、挨拶を始めた。


「このたびはお忙し中、集まっていただきありがとうございます。 この会食は、近いうち迫る魔王との戦いに備える作戦会議の場でもあります故、あまり飲み過ぎないようお願いします。 では、乾杯!」


 そう言って、ビールを口につける。


「そういや、料理はまだ来ないのか?」


 俺がそうつぶやくと、兄ちゃんが返事をした。


「料理はグラメが今作ってるよ。 もともとどっかの偉い人を相手にした料理人だったから、かなり期待できると思う」


 しばらく待っていると、グラメが直接料理を運んできた。


「お待たせしました。 海鮮スープでございます」


 海鮮スープ?

もしかして、開戦と海鮮をかけてんのか?

目の前にスープの入った皿が置かれる。

スプーンですくい、一口飲んでみた。


「……」


 冷製スープか?

はっきり言って、大してうまくない。

みな押し黙っていると、グラメがニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「料理はこれで完成ではありません。 あるものを加えます」


 グラメは一旦その場から離れ、何やら熱そうな石の入ったバスケットを持ってきた。


「この石は我々の戦う意思です。 それをこのスープに投入し、完成となります」


 ジュワアアッ……

石を投入したことにより、スープに熱が加えられた。

これでどう味が変わってくるのだろうか?

俺はもう一杯口にしてみた。


「……」


 みな同じことを思っているのだろうか……

あんまり変わらないぞ。

コメントしにくい料理を出され、みな沈黙していると、三村隊の三村が叫んだ。


「なんかしゃべれよっ!」







 料理が微妙だったため、イマイチ盛り上がりにかける空気となってしまったが、へんに盛り上がっても会議にならないので逆に良かったかも知れない。


「みんな聞いて! 私の隠密捜査の結果を報告するから」


 そう言ったのは、泥棒猫のフジコだ。

フジコは、協会の命令で魔族の身辺調査を行っていた。


「始まりの街でしばらく様子見をしていたら、魔族の男がゲートから戻ってくる所に遭遇したの。 ゲートから連れて帰って来た人間と一緒にいたわ。 魔族の男はそのまま宿にいって、何やら話をしていた。 「聴覚強化」スキルを使ってその話を盗み聞きしたら、とんでもない計画を知ったの」


 その計画とは、魔王が冒険者と交戦しているスキに、自分は街の中に潜入し、市民を襲う。 

そして、死者の指輪を使って、魔族を復活させるという計画だった。


「……それがやつの目的よ」


 となれば、何としてでも魔族の男を荒野に押しとどめなければならない。

恐らく、魔族と魔王は始まりの街から打って出てくるハズだ。

この話を聞いた冒険者たちは、魔王が見つかってしまったか…… と複雑な表情をするものや、こっちにはイフリートがいるし、光の剣もあるんだ! と強気な者など、色々な反応を示した。

しばらくすると、神官が一つ決めたいことがある、と話を振って来た。


「直接戦いに参加する隊と、街を守る隊を決めたい。 私の中である程度の案があるので、まずはそれを検討してほしい」


 戦闘能力の高い、ヒカリ隊、三村隊、エボシ隊、カッパ隊、キンタロウ隊は荒野に配置。

残りの隊は街の中に配置という意見となった。

その案に異議を唱えるものはいなかったが、一人だけ別件で意見がある、という人物がいた。

俺の隣に座っているヒカリ隊のリーダー、ヒカリだ。


「光の剣は誰が持つんです?」


「私の考えでは、ヒロキに持ってもらいたいと思っているが。 魔族が自分の一族の霊を操って市民に憑依させようというのなら、神殿の中にヒロキ隊を配置して、対処してもらいたい。 そもそもの正式な所有者でもあるしな」


「待ってくれ! 僕の名前に注目して欲しい!」

 

 こいつの名前?

ヒカリ……

まさか……


「僕の名前はヒカリだ。 と、言うことは、僕の剣ってことだろ?」


 ヒカリの剣。

さっきからダジャレばっかじゃねーかよっ!


「おいおい、相手が幽霊を取り出すのは神殿の中だぜ? 前線じゃ役にたたねーよ」


「じゃあ多数決だ! 僕が持つのに賛成のやつは挙手してくれ!」


「グラメ、生一つ」


 キンタロウがヒカリを無視してビールを注文した。

どうでもいいわ、という気持ちはみんなも同じらしく、ヒカリの多数決はうやむやなまま飲み会が再開した。


 

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