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ドラゴン

 俺たちは冒険者の部隊に接触するべく、船を近づけた。

船に乗っているのは3人。

1人は戦士のような出で立ちで、鎧を装備している。

1人は辞書を小脇に抱えた女性。

1人は筋肉質な体をしている。

軽装の為、格闘家かも知れない。

 船を近づけると、戦士と思われる男がこちらに気付いた。


「……貴様は」


 どうやら俺のことを知っているようだ。

いい意味でか、悪い意味でか……


「ヒロキだな? 光の剣を冒険者から強奪した連続殺人犯」


 だいぶ悪い方に話しが進んでいるな……

だが、それなら悪党を演じるまでだ。


「その通りだ。 ケガしたくなかったら地図をよこせ」


「ふざけないで、これから秘宝を手に入れて、私たちは著名な冒険者の仲間入りを果たすの」


 戦士の男が立ち上がり、剣に手をかけた。


「と言うわけだ。 そこのゴブリンも始末して、お前の首を協会に献上する」


 相手は交戦するつもりらしい。

ゴブリンをけしかけて地図を奪うしかないか……

俺がどうしようか悩んでいると、ポケットからジェイムズが顔を出した。


「やれ」


 俺は状況を飲み込めなかった。

止める暇さえなかった。

ゴブリン2匹が船に飛び移ったかと思うと、その場にいた2人を切り伏せたのだ。

残った戦士は海に突き落とし、鎧の重みで沈んでいった。


「う、うわああああああああっ」


 俺は恐ろしくなり叫び声を上げた。

何でこんなことに……


「ヒロキさん、ぼさっとしてないで、早く魂を捕まえてください」


 ……こいつ、何言ってやがる。


「あなたの大切な人がどうなってもいいんですか?」


「……!」


 俺はジェイムズに言われた通り、2人の魂を指輪の中に閉じ込めた。


「それでいいんです。 その2人の魂はドラゴンアイランド攻略に関係があるハズです。 その魂をゴブリンに憑依させましょう」


 ……これが魔族の本性か。

なんのためらいもなく人を殺しやがった。


「ヒロキさん、島に着いたらスキルは使えなくなります。 今の内に魂を憑依させてください」


「……」


 俺は言われるがまま魂をゴブリンに憑依させた。

今は従うしかない。






 船は入り江に到着した。

そこに洞窟への入り口があるが、それよりもあるものに目を奪われた。

ドラゴンである。

青い色のドラゴンが、中心の切り立った山の周りを悠遊旋回している。


「……見つかったらやばそうだ」


 俺たちは急いで洞窟の中に逃げ込んだ。

そのまま洞窟の中を船を漕いで進んでいき、陸地に船をつけた。


「この先を出た所に森があります。 地図を見ると、絶壁にあるドラゴンの巣に秘宝があるようですね」


 さっき回収した地図を、ジェイムズが確認する。


「その前に森を抜けなきゃいけねーぞ? フォレストドラゴンとやらにどうしたら見つからないで済むんだ? ネズミさんよ」


 さっきの出来事もあったし、俺はジェイムズのことに心底ムカついていた。


「ゴブリン、対処しろ」


 すると、女の魂を憑依させた方のゴブリンが前に出た。


「ゴブ」

 

 ついてこい、と歩き始める。

洞窟を抜けると、そこは密林地帯だった。

前を歩くゴブリンは、器用に植物をよけながら進んでいく。

その様子を見て俺は勘づいた。


「この植物に触れたらまずいってことか」


 フォレストドラゴンとここに生えてる植物はつながっているのか。

猫のヒゲみたいに、センサーの役割を果たしているのかもしれない。


 しばらく進むと、密林地帯を脱した。

目の前には断崖が立ちはだかっており、これをよじ登らなければドラゴンの巣にはたどり着けない。


「ゴブリン、行け」


 次に前に出たのは、筋肉質な男の魂を憑依させたゴブリンだ。

そのゴブリンは、ゴブリンとは思えない無駄のない動きで、崖をよじ登っていく。


「ロッククライマーだったのか……」


 迷うことなくルートを見極めて、スルスルと登っていく。

一見、行き止まりに見える部分でも、迂回するか、反動で一気に登るなどして、難なく上を目指していく。

あっという間にてっぺんのドラゴンの巣にたどり着いた。

ゴブリンが何かを掴んで、こちらに見せてくる。


「見つけたのか?」


 それを抱えて降りてくることはできないと判断したのか、ゴブリンがそれを投げてきた。

落としたのは少し大きめの宝箱だった。

そして、その中身は……


「魔導書だ」


中身を確認してみると、それが本ではないことに気が付いた。


「なんだこれ、入れ物か?」


外見は辞書のように分厚い本だが、開けてみるとその中のくぼみに鍵か収まっていた。


「これが異空間トンネル?」


 すると、上の方で地響きがした。


「ヒロキさん! よけてっ」


 上から岩が落ちてくる。

そして、ゴブリンも一緒に落ちてきた。


「まさか、ドラゴンか?」


 予想は的中した。

ドラゴンに気付かれ、ゴブリンは尻尾ではたき落とされたのであった。





補足

ゴブリンに人間の魂を憑依させることができる理由→特別に訓練されたゴブリンだから

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