表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/51

ガイコツ

 俺たちはオオカミに近づいて、リードを外した。


「お前らは人を襲うようなオオカミには見えねーよ」


 最後の一匹のリードを外すと、好きなとこに行っていいぜと指示を出した。


「西の森には帰んなよ。 お前らおたずねものだからな」


 オオカミたちはそのまま去って行ったが、ドーモ君はその背を名残惜しそうに見送っていた。


 俺たちは光の剣の場所を記した地図を頼りに歩き始めた。

夜が明け、陽が昇り始める。

しばらく歩き続けると、眼前にあるものが映った。


「何だありゃあ?」


 地面からの直射日光で揺らめいて見えるそれは、城壁だった。

中央の街と同じような城壁が、草原地帯の中から現れた。

恐らく、あそこに図書館の本に記載されていた王都がある。

なぜか地図には何も書かれていないが……


 壁の目の前まで来ると、どこから入れるのかを探す。

一応、索敵スキルのナイフを装備する。


「あった! 入り口っすよ」


 ドーモ君が駆け寄ろうとした時、俺は不審な点に気付いて呼び止めた。


「ちょっと待て! 何かいる」


 地図上には2つ点が浮かび上がっていた。

しかし、目視では何も確認できない。


「うわっ、ガイコツ!」


 ドーモ君が叫んで飛びのくと、人間のガイコツが入り口の左右に一つずつ置かれていた。

これに反応したのか?

いや、もしかしたら……


「ドーモ君、剣準備しとけ」


 俺もナイフを片手に恐る恐る近づくと、案の定、2匹のガイコツが起き上がってきた。

1匹が剣を抜いてこちらに斬りかかって来たが、余裕でかわせるほど遅い。

こういうトラップはゲームじゃベタもいいとこだ。

反撃でドーモ君が剣を振り降ろす。

ガッ、という音がし、ガイコツの脳天に剣が食い込んだ。


「やっば……」


 ガイコツにダメージは無い。

剣を引き抜こうと力を込めると、抜けた反動で後ろに横転してしまった。

そこをすかさずガイコツが剣で仕留めに来た。


「うわっ、わっ」


 横に転がりながらどうにかかわし、今度はドーモ君がタックルを食らわせて、相手を倒した。

そのまま剣を突き立てて、腕、足の関節を切り離し、行動不能にした。

一方、俺の方は苦戦していた。


「くっそ……」


 相手の剣は余裕でかわせるが、どうやって倒せばいい?

ナイフじゃ骨はきれねーし……


「関節を狙うっす!」


 見かねてドーモ君が叫んだ。


「どの関節を狙うんだよ!」


 ナイフじゃ腕や足の太い関節は外せない。

……逆にナイフで外せる関節はどこだ?


「分かった!」


 俺は背後に回って相手をうつ伏せに倒した。

その状態から、相手の利き腕を地面に押さえつけ、親指の関節にナイフを突き立てた。

親指が無くなったガイコツは、剣を拾おうとするが、滑り落ちて拾えない。

相手を戦闘不能にすることに成功した。


 俺たちは一生懸命剣を拾おうとするガイコツを無視して、街の中に入っていった。

その中は、老朽化した建物がいくつもあり、地面には人間の白骨がいくつもあった。

スラムの街とはまた違う、不気味な空気が立ち込めていた。


「おいおい、何だよここは……」


 索敵スキルを使うと、思わずゾッとした。

無数の点が地図上に浮かび上がったからだ。


「亡霊が街を漂ってるんすかね……」


 しかし、ガイコツになって襲っては来ない。


「……もしかして、入り口のガイコツは兵士だったのか?」


 襲ってくるのが兵士、襲ってこないのが市民か。

 そのまま街を歩いて行くと、城にたどり着いた。

アーチの柱で支えられている典型的な城は、もはやただのお化け屋敷である。


「絶対この中だよな?」


 正直入りたくないが、かなり準備してここまで来たため、タダでは帰れない。


「僕はヒロキさんに着いてくだけっす」


「とか言って、振り向いたらいないとかやめろよ?」


 俺たちは扉を開け、城の中に入った。

床は大理石のようだ。

贅沢な作りだな、と思ったが、こっちでは普通かもしれない。

 

ガチャ……、ガチャ……


 正面から何かが歩いてくる。


「何か、重そうなのが来たぜ」


 鎧を着たガイコツだった。

動きはさっきのガイコツより数段遅い。


「……無視しませんか?」


 いちいち鎧を引っぺがして関節を外すのは手間だ。

俺たちは鎧ガイコツを無視して脇を抜き去ろうとした。

その時だった。


 ミシリ……


「ん?」


 ボゴオン! という音と共に、俺とガイコツは地面に飲み込まれた。






 

 気が付くと、俺は上半身だけになっていた。

どうやら、下半身はちぎれてなくなってしまったらしい。


「んなわけねえだろ! って、何だこりゃ!」


よく見ると、金貨の山の上に落ちたらしい。

さっきの床は鎧の重みと俺の重みが合わさって割れてしまったようだ。


「ヒロキさあああああん、平気ですかあああああ」


 穴からドーモ君が顔を出している。

俺は手を振って無事なのを伝えた。

穴までの距離は5,6メーターほどか。

よじ登ることは不可能だ。


「ここは宝物庫か?」


 たまたま落ちた先が宝物庫とは、スラムの願掛けのおかげか?

だが、暢気なことを思ってる暇はなかった。

鎧のガイコツがこちらに向かって歩いて来る。

そして、俺は金貨の山から抜け出せないでいた。


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ