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富豪の屋敷へ

 俺たちは富豪の住む屋敷の塀の外までやって来た。

その塀を守る門番に近づいて行く。


「なあ、旅先で面白いもん見つけたんだ。 通してくれよ」


「帰れ」


 門番はぶっきらぼうにそう答えた。

なぜか俺は初対面の印象が良くないらしい。

こういう時おっさんなら、かなり下手に出ていた気がする。

……やってみるか。


「その、なんというか、見てくれるだけでいいんす。 頼みまする」


 ケイゴってこれで合ってるのか?

すると、門番は少し考える素振りをみせた。


「……だったら見せてみろ」


 俺は「マーキング」スキルの指輪を見せた。

どうせ素人には分からないはずだ。

ところが、門番は突然メガネを取り出し、鑑定し始めた。


「マーキングのスキル? こんなありがちなスキルにうちの主が食いつくわけがないだろう。 帰れ帰れ」


 なっ、その手があったか。


「どうしたら合わせてくれますか?」


 後ろについていた少年が質問する。


「うちの(あるじ)はスキルコレクターでもある。 主の持っていないスキルを持ってくることができれば、通してやってもいい」


 門番は、ポケットから一枚の紙を取り出した。


「このリストに主の狙っているアイテムが記してある。 どれか一つでも持ってくることができたら通してやる」


 俺はそのリストを受け取り、一旦その場を離れた。






「マジかぁ」

 

 俺は広場で少年と二人でアイスクリームを食べながら途方に暮れていた。

さっき、アイテムショップでリストを店員に見せたが、どれも取り扱ってないと言われ、挙句こんなことを教えてもらった。


「ここにのってるアイテムは国宝級のものばかりですね。 光の剣やら、氷の剣やら、みんな伝説のアイテムですよ」


 伝説のアイテムを駆け出しの冒険者が取れるかよ。


「なあ、諦めていいか?」


「もうちょっとねばろうよ。 露店にあるかも知れないじゃん」


「露店にあるレアアイテムはすぐ取られちまうよ。 いいじゃねーか、アイス食えたんだから」


 もう時刻は夕方になっていた。

俺はすっくと立ち上がって、宿に帰ろうとした。


「帰っちゃうの?」


「ああ」


 少年がさみしそうな眼でこちらを見てくる。

そ、そんな目で見るんじゃねーよ。


「やれることはやっただろ? 俺にはどうすることもできねーよ」


「誰かに聞けばいいじゃん!」


 ……分からないことは知ってる人に聞く。

昔道に迷ってバイトの面接に遅れた時、その時の担当に何で誰かに聞かないんだ! と怒られたことがあったな……


「そ、そんなの分かってるって」


 知ってる人か……

俺よりも先輩の冒険者なら知っているかもしれない。

冒険者の集まる居酒屋とかに行って、情報収集してみれば何か分かるだろうか。

もう少し待てば夜になって居酒屋もにぎわってくるだろう。


「しょうがねーな。 冒険者の集まりそうな居酒屋とかに行って話を聞いてみるからよ。 また明日落ち合おうぜ」


「僕もついてく」


「……居酒屋だぜ?」


「いいじゃん」


 結構聞き分けのないやつだな……

まあいいか。


こうして、夜まで待って、居酒屋に向かった。






 夜の寝静まった街の一角に、唯一活気を失わない所がある。

それは、居酒屋がひしめくこの通りだ。

鎧の恰好のまま地面に倒れている者や、ろれつの回らない言葉で魔法を唱えようとする者など、元の世界でも見たことがあるような光景がそこに広がっていた。

俺たちは適当な居酒屋の中に入っていく。

空いてるテーブルに通してもらうと、ビールとウーロン茶を頼んだ。


「あ、あとポテトフライ」


「勝手に頼むんじゃねえって」


 ここに来た目的は情報収集。

酒は一杯までにして、クリーンな頭で色々聞かなきゃならない。

しかし、1時間後……


「姉ちゃん! 同じのもう一杯! お前は?」


「ポテトフライと、軟骨のから揚げ」


 すでに4杯目のビールを注文し、完全に飲み屋に来た時のモードに入ってしまっていた。


「んでさ、夜おっさんに起こされて、気づいたらサボテンに囲まれてたんだよ! どうやって逃げたと思う?」


「どうやったの?」


「地図を燃やして火をつけたんだよ! マジもったいねー」


 俺は一人で腹を抱えて笑っている。

少年もへえ~、と相槌を打って俺の相手をしている。

すると、後ろに座っていた男が突然話しかけてきた。


「君は、始まりの街から来た冒険者か?」


 結構がたいのいい男だ。

多分戦士だなこいつ。


「そうだけど? お前ダレ?」


「俺も始まりの街から来た、君と同じ漂流者さ。 あの荒野は中々にしんどい道のりだったな」


「ふーん。 あ、そうだ。 このリストの中で知ってるやつあるか?」


 俺は思い出したようにリストをその男に見せた。


「富豪の探してるアイテムリスト…… この光の剣と氷の剣とその他もろもろ、先日冒険者協会でも情報提供を呼び掛けていたな。 何でも魔族との戦いに備えるらしい。 つい最近、新都市の開発現場がゴブリンに襲撃されただろう?」


 ……ちょっと待て。


「新都市ってあのレンガの街だよな? それがどうしたって?」


 俺はその話に興味を持って、追及した。


「その時現れた武装したゴブリン、どうやら魔族の誰かが操っていたって話だ。 三村隊がそう証言したらしい。 ゴブリンとは思えない統率だったと」


 あれは魔族が裏で糸を引いていたってのか?





 

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