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新たな旅立ち

「なんで今更冒険者なんかにならなきゃいけねーんだよ!」


 ぶっちゃけ、今までおっさんの後を着いてきただけの俺にとって、その提案は無謀なことに思えた。

しばらく宿に引きこもって、金がなくなりそうになったらレンガ積みで金を稼げばいい。

そんな風に考えていた。


「お前に10万を投資して、株価が10倍になれば、100万に手が届く」


 何言ってんだ……

自分で言うのもなんだが、金をどぶに捨てるようなもんだ。

そもそも、前助けに来た戦闘狂っぽい奴らだって株価400っつってた。

だが、自信たっぷりにおっさんはこう言った。


「私の見立てが今まで外れたことがあったか?」


 ……いや、あった気がするけど。


「でもまあ、8割は当たってたんじゃねーかな」


「8割、十分じゃないか。 手堅い投資に違いない」


 ……冒険者か。


「分かったよ、おっさんの頼みだ。 ダメ元でやってみるさ。 アテが外れても文句言うなよな」


「よく言った。 お前に10万を預けるぞ」


 おっさんは財布から10万を取り出して、俺に渡した。






 その日の午後、俺は宿で旅の支度をしていた。

手持ちの道具を確認する。

寝袋、鍋、食器、ナイフ、火打ち石、植物図鑑。


「そういや地図がねーな」


 地図を買いに行かなければならない。

それ以外にも、10万という金があるためスキル付きのアイテムを揃えておこうと思った。


「後は、冒険者協会に加入しねーとな」


 株を買うには冒険者協会に入る必要もあり、やることはてんこ盛りだ。


 




 ハロワ神殿に行き、受付で加入手続きをする。


「では、どの職業になさいますか?」


 冒険者協会に加入する際、自分の職業を選択することができる。

そこで恩恵を受けることができ、例えば戦士なら、最初に剣を支給される。

職業は多岐に渡るが、俺は探検家を選んだ。

なぜなら、探検家になると「索敵」スキルのナイフが支給されるからだ。

正直言って、戦士みたく戦いで名を上げていく自信はない。


「では、これで手続きは終了です。 これからは無料で冒険者の宿を使うことができます。 ヒロキ様の株も来週の月曜より、取引が開始されます。 最後に、協会の使いのものを同行させますので、明日またこちらにいらして下さい」






「どんなやつと一緒に旅するんだろーなぁ」


 そんなことを呟きながら、街の商店街にやって来た。

アクセサリーショップに入ると、まず鑑定眼のスキル付きのメガネを買う。

5万と高値だが、これでフリマで安いスキル付きのアクセサリーを買いまくるつもりだ。


 途中、1000円で地図を買って、フリマの露天にやって来た。

ここは以前体力アップのアクセサリーを買った所と同じだ。

いつものように、おばちゃんが本を読みながらアクセサリーを売っている。

俺はメガネをかけて、アクセサリーを眺めた。


 俺が選んだアクセサリーは、「ナイフの扱い」の首飾り、「マーキング」の指輪だ。

ナイフの扱いは文字通りナイフの扱いがうまくなる。

マーキングは、アクセサリーショップで確認した情報によると、自分の所有物の場所が地図上に浮かび上がるというスキル。

旅先で必需品をパクられたら終わりだと思い、購入した。


「4000円だね」


「サンキュー」


 4000円という、大分割安な値段でアクセサリーを手に入れ、宿に戻ろうとした時だった。


「子供に気をつけな」


 背後から店員のおばちゃんの声がした。

子供に気をつけろ?

そういえば、小汚いカッコをした子供が露天の前にいた気がする。

ふと振り返ると、その子供が俺の後をつけていた。

なるほどな、スリか。


 腹を空かせたスラムの少年だ。

この街にはそういう身寄りのない子供を見かけることがある。

そういうのがスリを働いて食いつないでいるんだろう。


「てか、分かっててすられるかよ」


 俺は相手を挑発するように、首飾りをブンブン振り回しながら街を歩いた。

すると、前方からも、人ごみに紛れてダッシュしてくる少年がいた。

身構えると、少年は俺をスルーして走り去っていく。


「諦めたか……」


 そう思って振り返ると、少年たちはサーカスのようなコンビネーションを放ってきた。


「なっ!」


 一方の少年がバレーのスパイクを受ける時のような形を作り、もう一方がそこにジャンプして、三角飛びで俺の手元からアクセサリーを引っぺがしたのだ。


 唖然としていると、少年は二手に分かれて逃げて行った。




  

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