004:二度目のログイン・其の2
〖創世期1001年4月3日14:00〗
〖イーニャ・西側山林〗
プレイヤーはそれなりにいる程度。
非常にごつい連射クロスボウを構えるヒリュウ、その横側に新品の暁シリーズの忍者刀を構えるウルカ、二人が付いていく、レドもバックラー、ブロードソードを握りながら歩き、時々採取、採掘などを行い素材を集める。
「おっ。やっと固まり発見」
網膜ミニレーダーの様に見えるレーダーレンジの範囲内に幾つかのエルダーの反応に、クロスボウに持ち替えて、アーツを使う。
「【狙撃一式】」
通常の射程より倍以上伸びた矢の飛距離で、リーダーエルダーにぶち当たる。
分かり易い中心にいるので識別が簡単てよい。
『緊急ミッション、エルダーの怒り、受けますかYES/NO』
「「YES」」
『受諾しました。それでは緊急ミッションを説明します』
■■■
緊急ミッション
内容:
エルダー20体を倒す。エルダーならどんな種類でも1体とカウントします。
成功報酬:
ドリアードの涙。
20体のエルダーのドロップアイテム/レアアイテムドロップ率上昇
失敗報酬:
金一封
エルダーの最低限のドロップアイテム
■■■
「ヒリュウは射撃の連発だな。射程距離はどれくらいだ」
「試したところ5mです」
「短くないか?」
「☆+1の限界らしい、後で調べてみる」
二人にはすでに三種類の付加のスペルを掛けていた。
自分に対しての三種類の付加による強化を行い、エルダーたちはカンカンになって襲ってくるが、相変わらずの鈍足の為に三つのスペルが終わってもまだ時間はある。
「んじゃあ。始めるか」
「そんじゃお仕事お仕事」
「何のネタだ?」
「よく覚えていないんだよね。うろ覚えって奴」
「ちなみにお勧めの漫画は?」
「私ならドリフターズ」
「僕なら信長協奏曲」
「俺ならゲート」
「【アンカー・シールド】」
ヘイトが集まり、更に激高したエルダーたちは、見かけすら真っ赤に染まり鈍い足で歩く。
「【弱点看破】」
眼力のアーツを使う。
『エルダー』
HP/??
MP/??
TP/??
実力比較:過酷なまでの格差のある実力差に絶望的な戦いを強いられる。
耐性/弱点:火属性+、木属性++、水属性-、金属性---
上昇/低下:攻撃力+++、防御力---、移動力---
使用中のアーツ/スーペル:木香のコンツェルト、狂暴化、リンク範囲拡大
「おいおい、何だこのステータス。一般プレイヤーとか言えるレベルじゃないぞ。勝てないレベルじゃないか」
「ん?」
「レド?」
「反則的なステータスなんだよ。まあこれも戦士としての一興だな。弱点が分かった。水属性-1、金属性-3」
「纏まったところを一纏めに忍法で削る」
「うーん。ウルカは火力だね」
「そう多くは使えないが、何せ忍法の方はあまり訓練していない、今後は改善する予定なところだ」
「それがよいね。と言うか、このエルダーってすごく鈍くない?」
「地が出ているぞ」
「いいのいいの、ステータスとか見たんでしょう?」
「攻撃力+3、防御力-3、移動力-3」
「紙装甲には辛いね。当たればだけど」
「ヒリュウ、別に速度低下ではないぞ?」
「だって僕はクロスボウだよ?あんなとろいエネミーに捕まることもなく倒せるよ。むしろ楽勝だね。召喚アイテムを手に入れるぜえ」
「やばい薬でも使ったか?」
「今まで被っていた物があるのさ」
「大きな着ぐるみ、こっちの方もこれはこれでよいな」
「と言うか、僕からすれば連射より強力な矢を一発撃つ方が効率的に思えるんだよね。」
「その意見には賛同しかねる。何せ4発同時なら攻撃力は4倍だ」
「矢の消費なども考えると、4発当たりが最高だろうし、このあたりに制限を掛けて洗練してみるのも一つの手段でもあるぞ。スコープをつけるとか、矢に細工するとか、色々とやりようはある」
「貴重なご意見をありがとう」
「後だが、他のプレイヤーとも戦ってみたり、組んでみたりするのもありだ。意外な収穫があるかも」
「そういうのもありなんだ。さてお喋りのしすぎかな」
やっとのことで三名の長いお喋りの中、エルダーは接近し、その先頭のエルダーに向けて連射クロスボウの矛先が向けられる。
「まずは一回」
トリガーを引き、4発の矢が射出され、防御力低下のかかるエルダーに直撃しそのHPゲージを激減させた。
こうして戦端が切り開かれた。
接近するエルダーに連発クロスボウの4発が突き刺さり、その後にレドが飛び出し、剣のアーツを発動させる。
「【ツインスラッシュ】」
二連斬撃を与え、外ぎんしていてた先頭のエルダーのHPゲージをさらに減少させ、そこに棒手裏剣を手にするウルカから投擲され、更にゲージが激減し、死にかけるエルダーに追撃の剣の一撃が当たる。
『1/20』
「射撃重視!」
レドの声に二人も射撃武器、投擲武器を構える。
射撃武器の連射クロスボウに装填していたヒリュウは、迷うがスペルを使う。
「【兵器召喚】」
創り出された連射クロスボウを握り、装備のクロスボウはアイテムボックスに突っ込む。
連射クロスボウも矛先が接近しつつある一体のエルダーに向けられ、四連発の矢が射出される。
そこにウルカの棒手裏剣が突き刺さり、追撃の様にレドのクロスボウに切り替えた射撃武器から矢が射出される。
「ウルカ!」
レドの激高の様な怒号に、ウルカも意味を悟り、棒手裏剣を投擲しつつ、忍者刀に切り替え、接近するとアーツを発動する
「【飛燕】」
放たれた散弾の光刃がエルダーを襲う。
多段ヒットした【飛燕】の光刃に、エルダーは力及ばず粒子となり消える。
『2/20』
「【兵器召喚】」
再び作成した連発クロスボウの矛先を、射程内に納めたエルダーに向け同時射撃を行い、そこにレドのクロスボウ、ウルカの棒手裏剣が突き刺さり、クロスボウからバックラー、ブロードソードに持ち替えたレドが接近し、バックラーでのぶちかまし、その後にブロードソードでの力任せの叩き切りを何発か与え、エルダーは力及ばず、粒子となって消えた。
『3/20』
「【兵器召喚】」
三度目の召喚で作り出された連発クロスボウをヒリュウは構える。
「結構連発できるものだね。こいつならいけそうだ」
「俺達のお喋り癖はなかなか治らないな。もう少し戦闘に真面目に取り組んでもらいたいものだが、まあリーダー代行の俺自身が、お喋りするのだから関係ないが、な」
「凄くお喋りだよ。しかし。こうも鈍いとある意味の厄介だね」
「こちら攻めるか?」
「いやアーツのクールタイムもある、ここは慎重に行くべきだ。何より初めてのミッションを失敗するのも嫌だしな」
「レド、お喋り過ぎないか」
「戦闘になると何故か話したくなるのさ。妙な癖とは思うがな」
「妙な癖のある男だな、ヒリュウもか?」
「少しレドの気持ちが分かるかも、なんというかテンションが上がってのお喋り癖が発揮されるような?そんな感じ」
「お喋りが長いのも考え物だな」
戦闘による興奮状態にある3名の中のレド、ヒリュウは喋ることで耐える性格らしく、ウルカのような水の様な冷静さとは少し違う感じを感じるウルカだ。
「接近中、二体、ウルカ、ヒリュウは右横側」
「了解」
「請け負うよ」
「俺は真正面を叩き潰す」
三人がそれぞれ動き出す、ヒリュウのヘビークロスボウをモデルに作った連発式のクロスボウより4発の矢が射出され、右側から接近はしていたエルダーに直撃、その後に棒手裏剣の投擲で、更にゲージを減少させられたエルダーは迎撃のために動きを止める、その鈍い動きの中、ウルカの忍者刀の腰だめにした突進、所謂ヤクザ映画などの「命獲ったる」スタイルの突進だ。
ウルカのチャージを受けたエルダーは反動でよろけ、動き自体はそれほど低下しているようには見えないが、ウルカ自身の敏捷性から中々攻撃も当たらない事も有って、更に兵器召喚を終えたヒリュウが追加の射撃を行い、これを狩る。
『4/20』
真正面を受け持つレドは、盾によるぶちかまし、この突撃の後に剣での滅多切り、ひたすら力任せに殴りつづけ、エルダーの攻撃は届く前に避けられて、ひたすらボコボコにされて力尽きる。
『5/20』
「一旦後退」
レドの怒号の声に、二人も攻撃を終えたこともあり一旦引く。
「クールタイム完了」
「同じく完了だ」
「兵器召喚ってすごくクールタイムが短いのがありがたいよね」
ヒリュウのお喋りにウルカは苦笑い。
レドは答えるように武器を構え、周囲を見渡しながら索敵のミニレーダーを意識を寄せつつ、素早く一番早く接近するエルダーを割り出す。
「次からは忍法が活躍しそうだ。二体以上の複数大河同時に5m以内に入る」
「ああ。感知系のスキルか、便利だ」
「そうだよね。僕もあとで採る」
「私も採用すべきだな」
「はいはい、そこまで時間にして残り20秒だ。金遁の術の用意はよいか」
「任せろ。と言っても初めて使用するからななんとも」
「後で忍法も教えてね」
「了解だ」
「そういやスペルにはアーツみたいなものはないのか?」
「あるのだが、使い勝手が異常の悪い、少なくても私が使う忍法はそんな使い勝手の悪いモノだ。口の悪い奴がゴミアーツと言うのも分かるほどな」
「今後の調整に来たいっと」
接近する三体のエルダーが入ると、レドが突撃を開始するように地面をける。
「【忍法・金遁の術】」
地面から突き出た鋭利な貴族の穂先を持つ塊が突き刺し、三体を同時に屠る。
『8/20』
「一確!」
「なんという威力だ」
「戦術変更、金遁の術メインに移行、ヒリュウは射撃から白兵に切り替える、使い捨ての矢は直ぐに使い切れ」
「了解だよ」
「心得た」
「遠近両用は便利だな全く持って」
後は接近するエルダーを金遁の術で串刺しにして片付けた。
最後の一体は、忍法の使い過ぎてMPが減り過ぎたウルカに代わり、レドとヒリュウの二人が突撃し、アーツを使う
「【ツインスラッシュ】」
「【アーマーブレイク】」
2連撃の斬撃に、力任せのフルスイングが決まり、エルダーは粒子となり消える。
『緊急ミッション、おめでとうございます。完了です。全員がノーダメージなので特別ボーナスを支給します。繰り返しますが、おめでとうございます』
戦い終えた3名は、武器を収め、疲れもあって少し休むように近くの木もたれかかる。
◇◆◇◆◇
スキル構成
武器:剣(LV11→Lv15)弩(LV6→Lv7)
防具:布鎧(LV1→Lv2)盾(LV1→2)
魔法:付加(LV9→Lv10)
補助:眼力(LV14→Lv15)索敵(LV4→Lv5)
:魔法才能(LV9→Lv10)
生活:採取(LV12→Lv13)
生産:調合(LV12→Lv13)
スキルLV10毎=スキルポイント+1
スキルポイント余り:6ポイント
武器:ブロードソード、ベーシッククロスボウ
防具:厚手のクロース、サンダル。バックラー
派生スキル入手選択
剣 →片手剣:オードソックスの両刃片手武器、剣と言えばこれを指す
→片手刀:片刃の片手刀、アジア圏に強い人気のある武器。
→両手剣;攻撃力重視の武器、特に叩き割るに強い効果を持つ
→両手刀:攻撃力重視の武器、特に叩き斬るに強い効果を持つ
選択→片手剣
眼力→鷹の目:射撃武器の射程強化、及び誘導補正
→発見:罠、アイテムの発見が良くなる
→夜目:夜の視界100%
→看破:偽装、隠蔽などを発見しやすくなる
選択→発見
武器:剣Lv1、片手剣Lv1
補助:眼力Lv1、発見Lv1
◇◆◇◆◇
入手アイテム。
ドリアードの涙:召喚獣のドリアードとの契約アイテム
エルダーの雫:最高級の回復アイテム素材
エルダーの枯れ枝:最高級の木材
エルダーの葉:最高級の回復アイテム素材
エルダーの弓:☆+5の弓
エルダーの杖:☆+5の杖
エルダーの木皮:最高級の防具素材
エルダーの涙:エルダーの召喚契約用アイテム
エルダーの花:エルダーの調教用アイテム
ボーナス:
ノーダメージボーナス:Lv1UP
緊急ミッションボーナス:10万G提供
◇◆◇◆◇
「あー楽しかったかあ」
戦闘になると途端にお喋りになる事が発覚したヒリュウ、同じくお喋りになるレドも居る。
二人に比べたら無口な方の、ウルカからすれば頼もしい仲間だ。
「得られたアイテムも随分と、二つの召喚用アイテム、一つの調教用か」
「弓はウルカが使えば」
「杖はヒリュウだな」
「後も木材の方は頂くよ」
「皮の方は頂こう」
「じゃあ。俺は回復アイテム素材の二つだ」
「召喚用は僕でいいの?」
「何か不都合があるのか?」
「うんうん。ないけどね。でもなんというのか、召喚獣を連れるってのがどうも慣れないなと、だって兵器召喚でやってきたし、なんかこう高級車に乗るようで、落ち着かないというか」
「ふむ。ヒリュウの考えは護衛がつくのが不相応だというのか?」
「うんうん。そうじゃないんだ」
「接し方なら最大限の愛情を示せばよいのではないか?」
「接し方・・そうだね。極普通の召喚士も悪くはないや」
「とすると調教はどうするかだな」
「ひとまず調教は置こう。召喚獣が二体も加わるのに、ペットの世話までするのは大変だろ?」
「確かに」
「召喚獣が二体かあ。」
何やら驚くほど静かに呟くヒリュウに、微笑ましく見えたウルカだ。
「イーニャに戻って保管法を考えないと」
「異議なし」
「という訳でウルカがリーダー決定という訳だ」
「丁重にお断りさせてもらう。忍びはわき役なのだ」
「後なのだが、派生スキルを手に入れた」
「ほう、どんな」
「それがなあ。スキル枠が二つ拡張され、選択したスキルの片手剣、発見の二つが収まる、どうも派生スキルを得た場合はスキル枠が拡張されるらしい。しかも派生元のスキルはLv1まで下がり、消滅しないんだ」
「美味しい事ばかりなのだな」
「スキルポイントで何か取ろうと思ったが、当座は延期だ」
「あっ」
「ん?」
「え、エネミー!」
レド、ウルカはヒリュウの声に驚き、ヒリュウの視線の元に瞳を向けた。
顔をヴェールで覆った女性の様なNPC、その横にはエルダーが少し大きくなったようなエネミーが一体。
攻撃してくる様子はない、三人とも驚くと同時に困惑し、ヒリュウかの方を向く二人(?)からヒリュウにようがあるのはわかる。
「もしかして召喚獣?」
「契約を望みますか?」
「契約、望むか?」
NPCとエルダーが声を出した。
どうやら召喚獣の二体らしい。
「ほれヒリュウ。アイテムだ」
レドが渡すと、ヒリュウは緊張した面持ちで受け取り、戦闘の饒舌さはいが非常に緊張しているのはわかる。
「女性に失礼の内容にな」
「エルダーはよいのか?」
「男性からすればそんな助言で十分だ。」
「なら失礼の内容にな、ヒリュウは本当に緊張すると静かになるな」
ヒリュウが二人の前に立つ、まずはNPCの様なヴェールの女性に向け召喚用契約アイテムを使う。
「契約はなされた、わが身ドリアードは汝の僕となろう」
「はい」
次に使うのはエルダーの物だ
「契約、お前の力となろう」
『召喚獣ドリアード、エルダーと契約しました。召喚獣リストに表示されます』
「いゃぁはぁ!」
奇声を上げるヒリュウに、二人の仲間は微笑ましく見ていた。
☆☆☆
イーニャに戻り、頼れるプレイヤーのヒラメの所に行く。
強化系ポーションがもう品切れと言うのに、一応チェックと言った所なのか露店の品物を見ていく者が多く見受けられる。
「ちすヒラメさん」
「おや少年かい、そっちの二人が仲間なのかい?」
「召喚士のヒリュウです」
「忍者のウルカだ」
「露天商のヒラメさ。しかし。召喚士と言っても召喚獣は連れているようには見えないけどねえ」
「ドリアードとエルダーの二体です。何なら召喚しますか?」
「いや。召喚士のスレに乗せれば大反響だと思うけどねえ。隠したいのかい?」
「よくわかりません。今まで兵器召喚専門でしたから」
「なるほどねえ。その様子だと召喚獣にどうすればよいのかもわからないのかしら?」
「はい。頼れる方と聞いてもしや知っているのかと」
「まあね。召喚スキルと調教スキルは一応持っているしね。クローズβ時代の名残でお気に入りの召喚獣とテイムエネミーは一体ずついるよ」
「教えてください」
「そうさねえ。まあ露天商だけどもう商品がないんだよ」
「あれだけの量が売れたのですかヒラメさん」
「そりゃあね。特にセットに関しては露店を開いて20分で売り切れたよ」
「よくまあ」
「品物がない露天商何て単なる暇人さ。そういえば少年、そのコーティングは何だい?」
「こーてぃんぐ?」
「?」
「?」
「その服にかかっているコーティングだよ」
「えーと。特に何も」
「昨日にはなかったこのシミのような物がコーティング個所だよ」
レドが装備を一覧する。
防具:厚手のクローズ(DEF+1)サンダル(ATK+1)
「あー。なんか+されている」
「もしかして偶然なのかい?」
「えーと。脱げませんよね」
「町中で変態と呼ばれたくなければ脱がない方がいいねえ」
「凄く困りました。えーと」
「推測するなら、恐らく服を染める染料系、それも藍染のような青い染料だね」
「あっ。それなら研究で作った素材をメモしています」
「でかした!」
「研究成果が実ったな、その染料を売ってくれ」
「僕も頼みたいね。うん。染料か、うん。召喚獣にもつけさせられるかな」
夢広がるコーティング剤になる、染料は黒藍染の染料だ。
色々とと混ぜたが、要するに使いたい強化系ポーションを混ぜた藍染などの染料を作り、これを衣類などに付けることで完成するコーティング剤だ。しかも匂いなどもよく、花の香りがほのかに匂うような香料も混ざっていた。
様々な身に付ける物、防具に使える物の為に、この利用価値は計り知れない物だ。
レドが染料の生産を行う間に、裁縫・革細工職人のウルカも色々と考えていたが、染料などの種類を増やすことも視野に入れ、今後の開発に期待するが、その利用価値はどんな物も+1される☆+2の防具と化す。
この染料の原理を応用すれば武器などにも使え、当然の用に弓、手裏剣、クロスボウなどにも役立つものだ。
これを考えればレドと知り合ったのは、常々重い防具に悩まされる前衛としては、随分と幸運なのかもしれないと思う黒装束の忍者だった。
ヒリュウはヒラメから召喚獣の基礎を学んでいた。
ウルカの言うように愛情をもって接すれば、召喚獣たちもそれにこたえようとする、自らの心を映す鏡のような物だ。
また召喚獣は一度召喚すればMPを消費しないので、つれて歩くこともできる、木の精霊のドリアード、エルダーの二体は防御面で優れるようであるが、実際のところはその回復スペル、妨害スペルなどの支援・妨害系に長ける。
これらの森の精霊によくある森の恵みと言う、固有スキルから定期的にアイテムが手に入る、この他にも香料からエネミーの催眠誘導、弱体化のアーツもある。かなりの戦力となるが、真正面から戦うにはそれほど高い能力がないのかネックだ。
■
完成したコーティング剤の攻撃力上昇、防御力上昇、速度上昇の3類を持って生産所から現れる。
「試作品完成しました」
三名も早い生産に微かに驚くが、見せられたコーティング剤の三種類だ。
「攻撃力、防御力、速度の三種類です」
この染料の液体はどれも同じ色合いに見えて、それぞれが微妙な変化があり、ウルカにはこの僅かな色彩の違いに気づき、生産していたアイテムに少量つける。
◆
名称: マフラー+1
素材: コットン
: コーティング剤(防御力上昇)
品質: ☆+1
効果: DEF+2、MDEF+1
備考: ☆+1のマフラーを、コーティング剤で強化した物。
: 十分☆+2に届くような品質
◆
名称: 革の小手+1
素材: エルダーの木皮
: コーティング剤(攻撃力上昇)
品質: ☆+1
効果: DEF+1、ATK+1、MATK+1
備考: ☆+1の革の小手を、コーティング剤で強化した物。
: 十分☆+2に届くような品質
◆
名称: 革の靴+1
素材: エルダーの木皮
: コーティング剤(速度上昇)
品質: ☆+1
効果: DEF+1、AGI+2。
備考: ☆+1の革の靴を、コーティング剤で強化した物
: 十分☆+2に届くような品質
◆
「これはまた、画期的な物だ」
「つまり。LV1でも十分装備できる物に使えば実質的な☆+2に切り替えるより必要技量が要らないね。それだけ優秀と言う証だけどね」
「それで、コストは?」
「まあ、0」
「0?」
「簡単にいえば藍染の材料、強化ポーション、ツナギの香料の3種類で完成するものだ。コストは手数料の100Gぐらい、一つじゃないが」
「つまりタダ同然作れる防具強化コーティング剤、という訳さねえ。これはCに持っていく必要があるね」
☆☆☆
Cの創設者の三名、非常に渋い顔になるのも分かるほどの物を偶然に作った。
これを別に嫌っているわけではないが、余りにも画期的な物過ぎてその試算した金額も随分と高額な金額、それらの製法をどう守るのか、想像してほしいタダ同然に作られたような画期的な製品、それも数千万の金額にもなるかもしれない事も有り、生産者の組合であるCの創設者の三名が渋い顔になるのも頷ける。
途方もない厄介な事でもあるのだ。それだけ画期的な事でもあった。
激安強化系ポーション、強化系ガス(タバコやお香)の製品でさえ、その安値の金額から品薄が続出し、大繁盛のヒラメの露店だが、そんな金額がお小遣いに思えるほどの巨万の富が作られた。
となるとそれを狙う者は沢山いる、特にPKなどは喜んで襲うだろう。
ストーカーなんてダースの単位で就きそうだ。
それだけではない、NPCの中からも欲しがる者か出たら、その金額はプレイヤー換算のみではない、NPCまで波及する恐れもある。
また金額もそうだが、これはレドの開発したものだ。
当然のようにCとしては公開前に関してのみ、技術料金を支払いこの技術を買い取ることはできる。少なくても1000万Gはすでに用意されている。
ちなみに緊急ミッションでの報酬は10万G(及び当分)
普通の一般的な狩りで得られるのは現在のところ千G(及び当分)
金は用意できるが、もっとの根本的な問題もある。
素材となる物が高騰し、結果として生産者の利益を阻害する恐れがあるのだ。
もちろんそれらが簡単に手に入る者とはわかっていても、人の心には欲という面もあるのは正しい事である。欲があるから発展してきた面もあるのが技術という分野だ。生産者たちも一つの技術者だ。当然の様に欲はある。
これらをプレイヤーのみで抱え、しかも本来は生産者の組合のCにも責任が及ぶ。
変動する相場の安定を望むのはわかる者もいるだろう。欲を持ち大幅な変動を望む者もいるだろうが、その両者の勢力の攻防戦の中、開発されたコーティング剤は劇薬過ぎた。
その為にCの下した決断は秘匿技術の第一号となった。
しかし。現在の開発状況から、恐ろしい速度で発達する分野それが調合スキル分野だ。
秘匿するのはよいが、これを守ったとしてもあまりに簡単な材料の組み合わせから誰かが作る恐れがある、そうなっては意味がない。
つまりCにとってみてもこのコーティング剤は劇薬過ぎたのだ。
Cの創設者の三名も苦しい顔だ。
上は決断を求められる、色々な形でそれは訪れるが、生産者の利益を守るために新しい技術を隠蔽するのはどう考えても微妙なところだ。
発展と利益の天秤が、利益に傾くのは、組織の者なら頷けるが、現場の開発者たちは発展を望むからこそ行う者も多く、これは非常に不味い問題でもあった。
利益だけではない、信用という見えない物を失う恐れもある。
様々な問題を投げ出さない三名も十分な者だ。
孤立無援で組織の舵取りを行う、それも生産者の為でもあり自らの組織が掲げる旗、理念もあるのだ。
安定を望む組織に劇薬が投下されたことに、真価が問われることだが、レドはこの問題の事を説明され、無料で技術取引に応じた。
その方が良いと判断したが、チェアマンたちは苦々しい顔だ。
◇◆◇◆◇
「まあなんにせよ、使える許可が下りたのだから安心して使えるな」
「頭が痛いよ本当に、難しい問題に発展するなんて、そりゃあ価値はあるだろうけどさ。適当に塗るだけじゃないか」
「Cも大変なんだよ。しゃあねえじゃねえか。初日に出来た組織だぞ?まだ出来て二日目、三日目でこの問題だ。投げださなかったことの方が遥かに評価できる。てっきりRMTでも仕掛けられかと思ったぞ」
「そんな金額になるのか?」
「ああ。何せ☆+1の装備初期装備と同じ、☆+2の値段が最低価格3千G位だ。頭、体、腕、腰、脚、靴、装飾品を一つとしても2万1千G、それがオープンβの5千名分、1億はする。100Mだ。さすがにリアルのマネーが動くような金額になる。それも一度の更新で手に入り、☆+2、☆+3と上がるにつれその値幅も高くなり、結果としてはコーティング剤のみでぼろ儲けだ」
「よかったのか?」
「良かったのだ。Cには恩があるからな少しは返せた」
「リアルマネーなら喜んで殴りそうだな」
「人ってのは分相応なことが良いのだ」
「しかし。このゲームは面白いねえ。ウルカのような忍者キャラもいるし、レドのような戦士キャラもいるし、ヒラメ師匠のよような商売人なのに商売気が少ない人とか、生産者の利益を守る組織がストーカーを罰したりとか、なんというか、リアルではまずない事だね。これは正式サービスが待ち遠しいよ」
そんな事を話す時間帯だった。