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練習VRMMO  作者: 123456789
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003:二度目のログイン・其の1

 〖創世期1001年4月3日09:00〗

 二日目の朝方に二度目のログインした。

 共同生産所の近くの宿屋の個室に現れる。

 現在ログインしている者、主に狩り仲間の二人はまだログインしていない。

 公式掲示板で見たマイオークション、共同バザーの二つの方法もある。

 どちらもシステムとしてはよいのだが、それだと小売業に影響を与える事も有ってか、マイオークション、共同バザーには開発陣からのオープンβのお試版らしい。

 ヒラメから来たメールを読み。


 ステータスを見る。

 プレイヤーネーム:レド

 種族:ヒュム

 性別:男性

 スキル構成

 武器スキル:剣(LV11)弩(LV6)

 防具スキル:布鎧(LV1)盾(LV1)

 魔法スキル:付加(LV9)

 補助スキル:眼力(LV14)索敵(LV4)魔法才能(LV9)

 生活スキル:採取(LV12)

 生産スキル:調合(LV12)

 スキルLV10毎=スキルポイント+1

 スキルポイント余り:5ポイント

 初期アイテムを見る。

 武器:ブロードソード、ベーシッククロスボウ

 防具:厚手のクロース、サンダル。バックラー


 ◇◆◇◆◇


 生産する予定の物を計算し、マニュアル生産が良いのは当たり前だが、品質を落とさず量産化の目途はたてたい。

 ☆+2ポーション作り、これは材料がありレシピでの大量生産が可能な好例だ。これに必要なすり潰した薬草、蒸留水を混ぜるだけの単純作業だ。


 この☆+2ポーションを作り、このポーションから強化系ポーションや通常のヒールポーションなどの納品用、☆+3に昇格するための☆+2×5個を一纏めにいれて一個の☆+3ポーションを作る。

 この造られたポーションに付加の魔法スキルを与えるだけだ。

 レシピである程度は省けても、結局はプレイヤーの持つスキルやプレイスキルでどうにかするしかない事も有るものだ。

 ただレシピは便利なのも頷けるが、何十個やったとしても一回の経験値しか入らないのだ。しかも生産に必要不可欠なTPを大量消費する、マニュアルだとTP消費は最低限なのだ。


 強化系のポーション、ガスを発生させるタバコ、お香の三種類もあり、ポーション、タバコも一回で耐久度をなくし消滅するが、薬品の様に飲むには非常に味が悪く、自分に振りかけるのはよいが少し効果が減少する。

 この為に刻みタバコの様なキセルなどで吸い込む、喫煙道具が良いが、色々と嫌う人も多い、その主に臭いと主張するが、ゲームでは無味無臭、健康被害という物に関してはリアルでは依存性もあるのだが、この世界ではアルコールもない様に、またリアルではないので、特になし。

 そんな訳で、生産者としてはポーションに味を改良するオプションを使って飲むか、一回のみのタバコを吸うの二つを推進、振りかけるのは効果が減少するので、推進できないが、結局は人それぞれだ。


 ☆+3ポーション、☆+3強化ポーションのポーション類を作り、生産を行い続けた。


 ■


 〖創世暦1001年4月3日12:00〗

 丁度昼飯時、朝方はお持ち帰りしていた特盛うな重だ。

 ちなみに食事ボーナスは1時間で消える、だが空腹度は最高値の100としたら5時間後に0となる。一時間-20と言った所だ。

 その為に朝食から食べて5時間後の12:00は空腹値が激減していた。

 追加料金を支払い続けたが、全ての生産は終わり、ふと考えてからフレンドリストにある、ヒラメに挨拶した。


『ヒラメさん』


「タバコを吸いながら釣りとはいい身分だよ全くね」


『納品の品は完成しました。Cにも伝える必要があると思うので、Cの食堂に来てもらえませんか』


「あんたの事だから大変なことにならなければよいのたけどね」


 生産組合クラフト・クラフト・クラフト、通称【C】の食堂に入る。

 余りの腹減り具合に、眩暈までしてきそうな腹の鳴り具合だ。


「あ、あの大丈夫ですか」


 大丈夫と言ったが、口から出てきたのは


「飯」


 ちょっと自分に疑問を持つような言葉だ。

 NPCの店員はオロオロ困り果てるが、近くのプレイヤーが機転を利かせ水を出す。それなら無料のために何の問題もない。


「水うめえ!」


「ご注文は?」


「味噌汁、白米、野菜セット、漬物すべてのオプションで」


 直ぐに近くの椅子に滑り込んで座り、注文を受けた店員は直ぐに厨房に伝え、水を出したプレイヤーが苦笑交じりに見ていたが、レドは挨拶した。


「腹減った。じゃない、水をくれた組員?」


「ライだ。主に素材を販売している」


「そうか。助かったぜありがとよ」


「ゲームのロルプレイにしては中々だな」


「そんなところさ。まあ腹が減って死にかけるプレイヤーも珍しいが、レドと言う。ほれストーカー事件の」


「そういう物言いはよくないが、調合師のレドだな」


「そうだ。まあ後で来ると思うが、どんな素材を扱うのだ」


「興味ありか、まあ調合に関係する素材なら最近高騰中だ」


「そうなのか?とすると逆に値を安定させるためにCが動くな」


「市場の適正価格による安定した生産体制の確立、これは非常に魅力的に見えるが、経済的な攻防戦は厳しいぞ」


「経済知識はないが、序盤の役に立つ調合系の値上がりは、必然的にプレイヤーに跳ね返るこ、の為に市場操作を行う者には、厳罰に処すのかは複雑な話だが、ひとまずあり得るだろう」


 レドが言わんことをライは理解していた。

 今動くのではなく、消極的でも釣り上げようとするプレイヤーに対し、この価格での販売を認めないCは、経済的な攻防戦は望まずに解決する方法を考えることは目に見える。攻防戦で失う資金力を考えれば何もしないで相手の疲弊を待つのが一番だ。消極的かもしれないが、いつ動くのかもわからない状況では攻防の両者ともに資金力が物を言うからだ。


 素材系のアイテムを見せてもらう。特に調合関係の素材は極普通のありそうな薬草、藍の葉、蒸留水、これらが+1なら大した価値はないが、+2の為についつい手が出る。だが金装備強化のために必要だ。

 そんな苦悩をしていると食事が届く。

 それをひたすらに食べるが、この世界の料理にしては何やら味が濃いめだ。

 しかし。腹が減っていてはとても美味しく感じる。


「よう少年」


 ヒラメの声だ。ライも挨拶し。


「素材屋ねえ。まあ役には立つとは思うけど、最近高騰が始まると噂だしね。この噂が元に物価の高騰が始まってねえ。困った物さ」


「素材が高く売れればよいという分けでもないし、長い目で見れば損失は大きい、そういった意味でいうのならCの考えには理解できる。

 何より民間のユーザー組織としては唯一だ。

 色々なプレイヤーから頼むことは多いだろうし、またストーカー事件の事も有るので、女性プレイヤーには心強いだろう」


「分かったよ。あんたも遊びのゲームでもヒールプレイはしないようだしね」


「まあそういうこったな。俺の装弾はヒラメさんとの話し合いもあるが、ライ、素材の価値は知りたくないか、どのような物になるのか知りたくはないか?」


「・・俺は生産じゃないが個人的に興味ある」


「製法を公開する気かい?」


「ポーションの製法だけでもこの組合で扱ってほしいと思いました」


「それは通常のHPポーション限定かい?」


「それと強化ポーションに関しても上げようとは思うのですが、なんといいますか、二人目が出てからでも遅くはないのではと思いました。資金的な事も有るのですが、せめてた装備は強化したいですし」


「なるほどさねえ。」


「確かにオープンβ3日目でも、その装備は酷すぎる」


「こういう訳です。ポーションに関しては製法が公開するのかは、このCが扱うかに決まります。何せ生産プレイヤーの製法ですし、他に作っている人も☆+1、高くても☆+2ですし、☆+3の製法は別個なのです」


「確かに、ゲームが随分変化したこのオープンβではやはり変わっていると見える、さてそれを対価を求めるのか?」


「後は、ポーションの相場が上がる前に手は打ちたいですし、何より商品が多すぎて生産に時間がかかり過ぎるのも問題と思っています。リスク分散のようなやり方も必要とは思うのです。☆+3ポーションが手に入らない時に大きなイベントが起きたら嫌ですしね」


「確かに寝覚めが悪そうさねえ」


「だからこそヒラメさんには、現状の問題である品薄状態の対応策の支援になるかと」


「適当に儲けて適当に生活する、そりゃああたしのメインスキルは商売だしね。最近は暇もあってよいけど、客からまだないのかなどと言われると済まない気持ちになるよ。もちろんうれしいではある、ただね製造法を公開するのはよい、だけどもこの組合に責任を押し付けちゃあだめよ」


「うん。そういう事なら、今より公開しようと思います」


 こうしてポーションの製法が公式掲示板に書き込む。


「あっ。話していいですか?」


 巨万の富の一部を捨てたというのに中々好い顔で話すレドに、二人のプレイヤーは内心微笑んだ。


「製法ってのは☆+2のポーションの5個を用意、手作業で一つのポーション瓶になるまで煮詰めます。これらを煮詰め、液体が一つ分のポーションまで煮詰めれば完成です。この過程の中で間違えれば壊れますので、結構な損害ですよ」


「へー。そういう子ならあたしでも出来るのかい。こっちのライも?」


「出来ます。用意するのは単なる☆+2ポーション5個、これを一纏めに煮詰めるだけですし。要するに煮詰めるだけの工程です」


「ふーん。確かに簡単そうだ」


「ヒラメさん、ライに言うのなら商品の研究も一つの個人的な努力と言うより、ボーナス+を考えたスキル上げですよ。役に立ちますって、特にポーション系はどんな環境でも役立ちますから」


 レドのいう事は一理ある、ポーション系なら確かに損はない、暇な時間の潰しも考えて一つのスキル程度は欲しい物だ。

 このレドの投稿により、☆+3ポーション製作が大きな流れになる。


 ■


 〖創世暦1001年4月3日12:50〗

 遊び仲間と合流した。

 ヘビークロスボウを持つ、フード付きロングマントを着込むヒリュウ。

 相変らずの黒装束、忍者刀を腰に帯びるウルカ。

 レドの方は初心者の様な装備に、単なる衣類、サンダルといった格好だ。


「ちす」


「ちゃーす」


「久し振りだな」


「さてまずは飯だな」


「レストラン【フリューリング】、丼所【満腹】の二つ以外を探すべきだろう」


「・・・何が妙な事を言っている自覚はあるか?」


「私はまず当たりから選ぶべきと思う。と言うより資金的に少し財布が」


 ウルカが指で丸を作る。何やら渋い動きだが、なんとも辛いモノがある。


「何を買ったのかは聞かないが、バザーとかオークションとかあるぞ?」


「オークションは手数料が要らないけど、売上金から5%引かれる、バザーは手数料を支払い商品を設置するものだよ」


「俺は、ヒラメさんと言うプレイヤーに納品して稼ぐ」


「委託販売というより対等な商売取引だね」


「うむむ。オークション、バザーか、ぬぅ」


「ちなみに俺の場合は先ほど言ったように納品なのだが、オークションも、バザーも利用しない、その理由は何か分かるか?」


「もしかしてないのか?」


「なんでだよ。簡単にいえば一品しか登録できないシステム上の制約がある、つまりたったの一つのアイテムしか売れない、それも個人で一つ、当然のように利用するプレイヤーはすくなと思うぞ」


「ぬぬ。それなら二つを利用するとして、最高級な物を二つ乗せればよい」


「売れるかどうかは微妙だよ?」


「高いからか?」


「それもあるけど、値段の方も品質の方もお得感を感じないと、買い手がなかなかつかないからね。ちなみに僕の稼ぎは、そういったお得感を出して失敗したことが多い、オークション、バザーの二つ、どうも製品と価格帯が合わなかったのが問題らしい、ミスマッチと言う奴だよ」


「うぬう」


「店でも持つのもよいな」


「店?」


「ああ。露天商なんかの商売の生活スキルを取ると、店が持てるらしい、もしかしたらスキル無しでも買えるかもしれないな」


「露天商か、ひとまず食費を捻出する」


 ■◇■◇■


 素材を売って金策し、レストランか、丼屋か、それとも新しい店を探すか。

 議論の末に焼肉屋に行く。

 焼肉セットを一つ注文し、タレも適当にセットだ。


 真っ直ぐに太る料理を選ぶが、リアルでは体重が恐ろしくて選べなそうな料理の店だ。しかもタレの再現なども完璧に行われている。このゲームは意外にグルメな作りらしい、掲示板にもそんなスレが立っていた。

 食事に熱心だが、結構な頻度でプレイヤーはNPCの店にお金を落とすらしく、暴れるプレイヤーも、プレイヤーを拒むNPCの店も、今のところ居ないので特に嫌われてはいないらしい、店側も武具の解除はしっかりと説明するので、プレイヤーも納得して解除するのが、当たり前のマナーとして広まりつつあるだ。


 また。

 高級志向の店も受けるが、低価格商品を出す店も気軽に行けるので、下手な店より集客率は高そうに見える。

 その中間層の店も苦戦気味だが、色々な努力もあると考え今後に期待。


 肉を食べた後、店の前に出る。

 焼肉屋【霜降り】

 悪くない店の一つとして口コミ掲示板に乗せられた。

「装備品が欲しい」


 レドが呟く、未だに初期装備のレドには二人の仲間も遠からずの恰好なのて、どうしたものかと悩むが、レドには相応の資金があるが、オークションなどの制限から、余り収入がないヒリュウ、素材を売ることで金策をした懐が寂し過ぎるウルカも居る。


「・・金がない」


「僕も、あんまり多いと言うには、勇気がいるね」


「んじゃあ。そうだな有り金を集めて山分けしてみるか?」


「残り千Gもない」


「5千には届かないね」


「1万以上あるぞ」


「ある所にはあるな。装備品の強化はよいが、レドには治癒・強化も任せている、私達以上に資金を必要とする、正直な話、負担は掛けたくない」

「だけど、装備の今日か絶対に必要だよ。それに最低でも火力は上げたい」

「そこだぜ」


 ウルカ、ヒリュウの四重の瞳がレドを見る。


「おりゃあ。武器スキルは剣、クロスボウ、魔法スキルは付加だ。このどれを強化すべきだと思う。剣もよいが、魔法効果を上げるのもよいと思うぜ」


「・・私の場合は、忍者刀か、手裏剣か、忍法かの三択か」


「僕に関していえば武装召喚士だしね。あ~だった。こういう物を作ってみた」


 背中に背負うクロスボウ、上下に弦がある二重の射撃が可能らしい。


「連装クロスボウだよ。弦は二つ、一つに付き二本の専用の矢を装填する。上下なので四本同時発射も可能だし、見ての通り内部に矢を射れるので、先っぽ開いている」


「ふむ。中にか考えるな。と言う事は木工はとったのか?」


「愚問だね。答えるのなら取りました」


「前装式か、LV上げしまくったな」


「ですです」


「やはり実際に撃つと参考になったのか?」


「もちろんです。凄く役立ったよ」


「自分で作るのもよいな」


「うむ。私も何か作ればよかったな。昨日は狩に精を出していたからな」


「となると、どんな装備が必要だ。まずそこから考えよう」


「まず私なら、武器スキルか、魔法スキルかによって変わる」


「両方も可能なんじゃないかな。そういう装備が売っていた気がするよ。なんという店だったかは忘れたけど、和風装備の店だよ」


「じゃあ。まずそれな。後は俺か、剣と盾の強化も必要だな、付加の効果から魔法装備はそれほど必要ない、事前に魔法を掛けるし、必要と有れば強化系ポーションを使えばよい」


「その認識は当たっているけど、強化できるうちに強化するのもよいと思うよ。いつ装備強化ができるかは未定だし、しかもレドが製法の一部を公開した物だから、調合生産に必要な素材が、馬鹿げた程の高値が付き始めていのだよ」


「それは高く素材が売れるという事に繋がらないか?」


「だからそういって・・良い吉報じゃないか」


「金策の為に素材集めでもする予定もありだな。さてとウルカの装備強化の店に行くぞ。ヒリュウ、案内を頼む」


「うろ覚えだけど、やってみますか」


 ■


 和風装備の店【ブシロード】

 やっと見つけて入った店には、このような和風装備を好むプレイヤーがそれなりの数が品を見ていた。

 刀、槍、弓などの基本的な武器、武者甲冑の様な防具、これらの侍装備もありながら、忍者刀、手裏剣の忍者装備に、珍しい鎖鎌、手甲などもあった。

 ヒリュウが探していた物はあったのだが、性能も申し分ない事に値段も手ごろな価格より少し割高感はあるが、それでも初期装備からすれば手にしたいほどの補正が付く。


「お、重い」


 所謂ミスマッチ、必要な技量を持たない使い手は、拒まれるように扱い辛くなる。


「やはり☆+4は無理かあ」


 どんなに資金的な余裕があったとしても、自分たちの不相応なことは無理だ。

 ☆+1の装備は扱えるが、☆+2からは技量を満たさないとして扱えない。

 こんな事も有るのか、☆+1のバリエーションは多彩だ。

 忍者用の装備には、体術・武器の扱いを重視した陽炎シリーズ、忍法を重視した朧シリーズ、二つのシリーズの良い所取りの器用貧乏な暁シリーズの三種類が主な生産者だ。他にもスピンオフ作品などもある。


「これをくれ」


 ☆+1の暁シリーズの忍者刀、忍術用具を買う。


「次は、ヒリュウ。召喚士は必要な物がないのか?」


 弓などを観察していたヒリュウにウルカが声を掛ける。


「ここの弓はなんというか、凄く優美な作りだよ。並みならぬ職人技だね」


「よくわからないが、まあ確かに見た目の良い作りだ。」


「凄いなあ。やっぱり弓も取ろうかな、でもなあ」


「行くぞヒリュウ。次は召喚士の店だ」


「ああ。でも」


「気絶させて運んだほうが速そうだな」


 レドがそう呟くが、ヒリュウに耳にも届き、ピクリと飛び跳ねてから和弓の棚から名残惜しそうに離れた。


「領収書だ。」


「ああ。これで家計簿作りが楽になりそうだ」


 ■


 召喚士の店【ばはむーと】

 二件目の店は召喚士の店、和洋折衷の防具、遠距離戦目的の洋弓、近接目的に巨大ハンマー、魔法力強化のための魔道具、召喚する従者用の装備などだ。


 召喚獣、召喚戦技、召喚兵器の三種類の召喚士の細かなビルドの違い。


 召喚獣が最もポピュラーなスタイルのビルド。


 召喚戦技は召喚した一つのアーツを行う、どれも必殺技と言える物で、別名ペルソナ使いとも呼ばれる。


 召喚兵器は、装備その物を生み出し、これを扱う為に高い能力が要求される上に必要になるスキルもあるので、ネタの様なビルドだ。

 これらの三つのビルドの方向性からか、召喚士に供給される装備品にも有名なメーカーらしい物がある。これは和風装備の店【ブシロード】の、忍者装備シリーズの三つのように存在するらしいことが分かる。

 ヘビークロスボウを扱い、近接になればハルバードと言う扱いが極めて難しい装備のみで戦う兵器召喚士のヒリュウは、武器なども見るが、防具も吟味していた。やはり布製の布鎧が一番人気で種類が豊富、革製鎧が二番目、最下位に金属製の鎧などの防具がった。


「動きやすさ重視の防具か、それとも多少は防御力を高める方か、悩みはそんなところか?ヒリュウ」


「難しい所ですよ。ええ本当に、召喚士は基本的な魔法職なので前衛とは言えません、戦ったりするのは召喚獣ですし、まさか自分が戦うとは普通は思わないでしょうから、殴りサモナーのようなものですよ」


 ヒリュウが防具を見ながら話す、レドは暇そうに装飾品の指輪などを見る。

 顔を合わせずに話す二人にウルカは微苦笑する。


「結局、召喚士は基本的に後衛、兵器召喚士は基本的に武器選択の為に武器は不味いりません、しかし。防御力の高い装備は動きが阻害され、防御力が低ければ動きの良くなる鎧も多いですが、防御、回避は共に必要な物です」


「ふ~ん。つまり両手武器のヘビークロスボウ、ハルバードのどちらに重きを置くべきか悩み中か、それもそうだな。何なら後回しする事も出来るぞ。この店での買い物を」


「ですか、実は結構買いたい者が多いのですが、どう見ても必要な実力が身に付かないものです」


 ウルカの様に☆+4などは使えず、防具のLvは1のままだ。

 このままいくと防具レベルが上がらない結果になる。


「やはり要りません。確かに防具としては十分な物ですが、大金を払って買い揃えるには、惹かれるような比率ではありませんね」


 ここは延期となった。

 次にはレドの店だが、レドの場合は防具の盾、武器の剣の二種類の強化が目的なので、ヒリュウお勧めの店、ウルカお勧めの店の二つある。

 ひとまずウルカお勧めの店に行く。

 戦士の店【カデンツァ】

 店には主に剣スキルの刀剣類、盾スキルの盾類などだ。

 剣の属性からいえば斬撃、刺突の二つにリーチ、重さ。

 短く軽い物で手数を増やすか。長く重い物で一撃の威力を高めるか。両方のバランスをとった物を選ぶか。使い手によりけりの武器だ。

 基本的にレドは盾を使う壁役ではあるのだが、戦闘においてはウルカ並みの動きでCCクラウドコントロールも行う、敵集団に真正面から耐える一般的な壁役とは違うタイプの壁役だ。むしろヘイト管理による敵戦力の管理に長けている節がある、その為にヘイト管理重視の敏捷型戦士と言えた。

 ただレド本人としては壁役の防具スキルの強化は必至で有る事は重々承知だ。

 何れは一般的な壁役を行う予定だからだ。この為には防具を上げるのは必然であって、必要不可欠でもある。

 こんな事も有るのだが、武器スキルの剣の武器を今後どの方向性で決めるか悩んでも居た。剣は殆どの刀剣類を扱えるが大した補正効果もなく、また強力なアーツもないのが問題なのだ。

 好きな物を選ぶならその悩みも色々だ。

 仲間の二人からすれば楽しんで選んでいる様だが、目は非常に真剣だ。

 忍者のようなウルカからしても戦士として似たようなレドの考えはよくわかる、壁になるべきか、それとも火力になるべきかはとても悩む。

 ヒリュウも同じように分かる。クロスボウを同じく扱うのでソロの時の経験からも、レドの構成には火力が足りないことが分かる。

 だからこそレドは火力になることを目指すのか、それとも壁に徹するのかと迷っていた。


「お悩み中かい?」


 ヒリュウがそう投げかける。

 レドは振り向きもせず、一つの防具を手に取る。


「壁が良いのか、それとも火力になるべきなのか、悩む」


「うち等は似たようなスタイルの者ばかりだからね。三名とも何役も行って数の劣勢を覆し、結果としては死なずに済んだけどね。僕は一つの事を考える」


「なんだ?」


「確かに盾のアーツによるヘイト管理は見事だ。片手剣を使った急所に対する攻撃もよい、だがふとシステムの事を考えると、全てのステータスを上げるのは不可能であると理解できる。その中で最も犠牲になっているのがAGI、つまり敏捷性が上がっていないんじゃないかと思ってね。」


「その通りだ。敏捷性が上がらない、だから、一般的なナイト型の壁になるべきと思うが、火力も欲しいのが本音だ。正直両方を行える装備があればすぐに買いたいほどだ」


「それならこのロングソードは良いんじゃないかな」


 ヒリュウが指さす方向にレドが視線を移す。

 ロングソードの長剣らしい、しかし十手、扠などの相手の剣を受ける為にガードがある、その両端が剣の方に向かい、一目でこのロングソードは相手の剣を絡めとる武器と分かる。

 握ってみれば、やはりと言うべきか、非常に重く感じ、まるで拒絶症状のようなものだ。必要な技量が無い物対しては武器が拒否する事だ。


「LV不足だ。これだと思ったのだがな」


 ☆+4はまだ無理とレドにも分かる。

 ロングソードブレイカーと言う名前の剣だ。

 相手の軽量な武器を破壊することも含めた、剣士に対しての強みとなるような剣でもある。



「誰もかれもがLV不足か、変な話だね」


「生産が基本的な収入だからな」


「レド、これは」


 ウルカの声に振り向くと、非常に珍しい盾を指していた。


 盾の真ん中に短剣が突きで、盾の前後に槍の穂先が伸びる。


「それはまた、レドが好きそうな物だね」


「たぶん使えないだろう。盾のLv1だ」


「「え?は?」」


 二人の声が重なる。


「盾の経験値カウントは受けるなどしなければ溜まらないらしい、しかもこれは武器盾と言う、盾から派生する事も有る特殊な盾スキルが必要なのだ」


「盾一つ取っても随分と有るのだな。それでレドとしてはどういうふうな戦士を目指すのだ。この武器盾という物の用に盾と火力を合わせたようなスタイルなのか」


「・・・そういう考えもありか、火力と盾を両立できるのは喜べるが、この武器盾は扱えるとは思えないが、欲しい発想ではあるな」


「なるほど、今度はプレイヤースキルの問題から不可能か、それなら当たり前なのかもしれないな。早過ぎる為に、パイロットが追い付かないこともあるようだ。現代の戦闘航空機ならよく聞くことだらしい」


「しいて言うならハルバードを盾と一緒に扱うようなものだね」


「扱えない物か」


「次は狩場にでも行くか、どうやら戦闘関係のスキルLv上げが必要のようだ」


「うん。それは言えている。連射クロスボウの威力も確かめたいし」


「新しい忍者刀や忍具も使える事だろう」


「とすると、西側での狩の方が良いか、それとも新しく挑戦と言う事で東側もあるな、北側は解放されていないらしいが」


「リーダーとしてはどちらの方が良いと思う」


「リーダーの意見は聞きたいねえ」


「リーダー代理としては西側だな。手頃に戦える相手が直ぐに見つかりそうだ」



 

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