014:
7日目の朝方のログイン。
最終クエ開催日。
平原、森、海岸で手に入れた涙の染料の原液、これを☆+3をメインに生産し、基礎、上位との二重混合、基礎×2、上位×1の三重混合の三重まで行った。
二重混合も基礎☆+1、上位☆+2の法則通り。
ランクが下なら最低一回は混合できる。
ランクが2つ下なら最低2回は混合できる。
この法則が発見できたことは幸運であったが、基礎、上位の二重混合、この二重混合の素材を別個の種族の者同士にする異種二重混合を行う。
ランクが下ならば成功するらしく、最も大変な三重混合は、同一の基礎、上位に対し、異種を一種類混ぜる、2系統三重混合を行う。
これも成功し、どうやら色々と前進で来た。
☆+3を創り出す、2系統三重混合を行う。
◆
名称:森と草原の混合液
素材:エルダーの涙
エルダーナイトの涙
ウルフの涙
品質:☆+4
耐久力:40/40
効果:
攻撃力上昇+4
防御力上昇+4
速力上昇+4
木香+4
HP回復率向上+4
HP増加+4
四元素全耐性+3
五行全耐性+3
武器属性全耐性+3
備考:
エルダー、エルダーナイト、ウルフの契約用アイテム
前衛向け、始まりの七日間では安定して使えの素材
◆
これを分解し、上質な水を集めて錬金して作った上位互換の高品質の水を使い☆+3まで下げる。
効果の数値が-1された。
次に後衛向けの混合液を作る。
◆
名称:海と草原の混合液
素材:エルダークラブの涙
ジャイアントクラブの涙
ウルフの涙
品質:☆+4
耐久度:40/40
効果:
攻撃力上昇+4
防御力上昇+4
速力上昇+4
MP回復率向上+4
MP増加+4
魔力強化+3
魔法属性強化+3
魔法耐性強化+3
弓弩耐性+3
備考:
エルダークラブ、ジャイアントクラブ、ウルフの契約用アイテム
後衛向け、始まりの七日間では安定して使える素材。
高品質な水を使い、効果-1の☆+3が出来る。
◆
完成した二種類の☆+3のこの混合液。
これの一部を☆+2、☆+1まで下げる。
水を上質な水、水道水の段階に分けることで安定して下げられる。
失敗するとは予想できるが、法則に則るとでもある。
「『調合大成功』」
スキルランクより下回る調合は補正がかかる、その為か成功率が大幅に上がるとのことをヒラメさんより仕入れた。
この前衛・後衛の両方に対応した混合液、だが3系統三重混合液でもある。
◆
名称:草原と森と海の混合液
素材:森と草原の混合液
海と草原の混合液
品質:☆+3
耐久力:30/30
効果:
攻撃力上昇+3
防御力上昇+3
速力上昇+3
木香+3
清流+3
HP回復率向上+3
HP増加+3
MP回復率向上+3
MP増加+3
魔力強化+3
魔法属性強化+3
魔法耐性強化+3
四元素全耐性+3
五行全耐性+3
武器属性全耐性+3
備考:
草原、森、海のエネミーとの契約用アイテム
草原、森、海のテイムエネミーの超高品質な共通フード。
木香、清流のスキル取得フードでもある。
前衛、後衛の両立された非常に高品質な混合液、様々な用途に使える。
ポーションにして使えば一時的に上昇する。
◆
これを分解、錬金を駆使し、6名のプレイヤー、7名の従者にも揃えられた混合液、強化系ポーションにも使える。
それぞれの食品傾向から森系のタバコ、お香にも使え、海系の釣り具の餌、草原系の罠の餌にも使える。
◇◆◆◇
午前中にログアウトし、翌日になった12時前にログインした。
銀行に不要なアイテムは預け、必要なもしくは使い道の有るアイテムを引き出し、それでも積載量には半分程度の余裕を作っておいた。
一旦〖クック〗に行き、事前にログインしてきた面々と合流し、PTを作る。
召喚獣は二体を召喚、テイムエネミーも二体を召喚、リードのみ召喚獣、テイムエネミーを二体ずつ、合計4体を召喚する。
ウルカは召喚、調教系のスキルはないために単身だ。
召喚士が一人のヒリュウ、召喚士&エネミー使いが一人のリード。
エネミー使いが、アリサ、バッシュ、チャイムの三名に、俺の一人が加わる。
従者が12名と言う、プレイヤーの約二倍の数だ。
19名の巨大PTだ。
それらに回るようにポーション、強化ポーションの二種類を配り、染料になる様なものも提供する。
銀行にもいき、準備を整え、資金的には半分を預ける。
新しく召喚した人型の装備可能な者には、新しい☆+1、☆+2の染料を提供した。
共通フードの☆+1、☆+2、☆+3の物も提供し、つまみには良いと好評だった。新しくスキルを取得したこともあってか、非常に好調だ。
「レド」
「ん?」
「はいこれ」
連射クロスボウだ。サイズとしてはベーシックタイプの中級、ランクは☆+3だ。
「?」
「いつもありがとね」
「あ、ああ」
「お礼だよ。貴重な色々なことに対するね」
ヒリュウの瞳をよく見るが、本当にお礼らしく、返すのも悪いし、凄く高性能なタイプなので、もらい受ける。
「なんか新鮮だな。初めてじゃないか」
「そう。結構大変でね。作るのをこつこつとしていたんだ。枝なんかを集めて作ったタイプ、弦の方は金属製、一つの弦に2連射用、レドは右利きだから左手で弦を引くように調整したよ。僕の傑作だよ」
「量産しないのか」
「無理かな。僕にも色々と有るのさ」
「ありがとよ」
その後ろから紅いマフラーが首の元に巻かれる。
振り返るウルカが珍しく顔を出して、非常に珍しく微笑んでニコリと笑う。
「私なりのお礼だ。いつも世話になっているからな」
「ありがとう。なんか今日は妙な言葉てかりだ。」
「少しは借りが返せたようだ。しかし衣類まで☆+3まで上げたのか?」
「いよ☆+2だ」
「それは好かった。☆+2のマフラーだ。大事にしろ」
「ああ。大事にするよ」
「はいはい。今度はあたし」
渡されたのは手袋、革製に金属製も混ざったタイプの複合品だ。
「よし装備で来たわ。しんどかったんだから」
「ありがとう。もしかして初の雪景色でも見れるのかな」
「いつも恩に来ます。あんなものを大量生産するだけじゃなく身内用の物まで作るのは、頭下がるわよ本当に」
「はいは~い」
チャイムが一本の剣を突き出す。
片手用の両刃の剣、ロングソードらしく、持てたところから☆+3らしい。
「これでも色々と有り過ぎて困るけど、鍛冶商人だからね。ちゃんとした物はまだ作れないけど。これからもよろしくね」
「そういえばそうだった。安心しろ。身内と言ったはずだぞ」
「はいは~い」
「今度は俺だ。ありがとう。何度も世話になった。これからもよろしく」
「おう。身内だから世話をやるのもいいものさ」
渡されたのは珍しい事に金属性のチェーンだ。
☆+1らしく、装飾品用のスキルがないと装備が出来ないタイプらしく、かなり重く感じる。
「専用スキルがないと重いが、それなりの物だ」
眼力で見ると。
性能は信じられないことに☆+1ながら加えられる追加効果の最高限界数値を大幅に超えたものだ。☆+1なら+1までの数値が限界の様にランクでの限界数値はある。しかし。これは☆+5と言う途方もない数字だ。
「後で教えてもらえるか」
「もちろんだ。物作りが好きならやはり知りたがるか、なんかなあ」
「誰にも得意苦手はあるものだ」
「やれやれ、リードか」
「色々と世話になった。こいつを使うと言い」
渡されたのは数個の粒、何かの種のようだ。
「家庭菜園で作った☆+5のハーブの種だ。しっかりと使ってくれ」
「へー栽培の品か、面白いな、こんな高品質なランクの物が作れるなんて」
「ところでだ。あの植物成長促進の事についてだが」
「後で教えるよ。作れたら農業改革なのか」
「そうなる」
全員からお礼の品が届き、スキル構成を戦闘用に構成を変更した。
装飾品のスキルも取得し、さらに強化するためにチェーンと指定スキルも取得、マフラーのスキルも取得した。
余ったスキルポイントを使い、スキル枠の拡張と新スキルの取得を行う。
◇◆◆◇
武器スキル:剣Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、片手剣Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
ベーシッククロスボウⅠ・Ⅱ・Ⅲ
防具スキル:布製、革製、金属製、盾1・Ⅱ
小盾、バックラー、マフラー
装飾スキル:アクセサリー、チェーン、
魔法スキル:付加・付加術Ⅰ・Ⅱ、弱体化、
補助スキル:魔法才能Ⅰ・Ⅱ、調教才能、使役才能、同時使役才能
ダッシュ、ステップ、ジャンプ、
身軽、敏捷、軽業、アクロバット、
剛力、重量挙げ、両手利き、両手持ち
生活スキル:採取、伐採、採掘、調教、使役、同時使役
生産スキル:調合、分割、錬金
◇◆◆◇
午後2時。
北門に集まったプレイヤー、主に始まりの七日間をプレイしている先行生産のソフトを購入したそんなラッキーなユーザーだ。
数としては5000名らしいが、まだ集まり切れないや、生産専門プレイヤーもいる。今回の〖イーニャ〗の防衛ミッションクエスト、別名戦争クエ。
デモムービーなどでは、押し寄せるエネミーをひたすら倒す。
無双が可能ならよいが、このゲームの運営にはそんな期待はない、数によって押し返せるならよいが、上回る数が襲えば、とても勝てたモノではないし、作戦の立てようもない。
現在の戦力を生かすには典型的な前衛が壁となる、事前に偵察も、地形の早くから何までが封じられたものだ。
「『始まりの町イーニャ防衛クエストを始めます』」
「『制限時間内に準備を整えてください』」
草原と森と海のお香を使う。
効果範囲内の無差別に、15個ものバフを掛けた。
ざわつくことに、レドが使ったお香があるように、各所でお香か炊かれる。
考えることが似通っていることに、無差別バフがかかりまくる。
「『制限時間です。門が開きます。同時に北側に侵入できます。北側の山脈のエネミー軍のボスであるエネミー将軍を倒せば、勝利となります』」
「『健闘を祈ります』」
北側の門が開く、一番槍を狙う者が我先に突入する。
一通り突入するまで待つ。
◇◆◆◇
突入した。
「おうし。防壁系アーツとアーツ・スペルを使うぞ」
レドお得意の盾の紋章の障壁、剣の紋章の障壁がかかる。
「強化系アーツとスペルを使うぞ」
PT全体を強化する攻撃、防御、速力のバフがかかる。
HP自然回復率を上げるリジェネ、MP自然回復率を上げるマジックリカバー、TP自然回復率を上げるテクニカルチャージ。
前方で交戦中のプレイヤー達。
「ほんじゃあ。軽く突破するぞ」
どんな時も余裕を崩さないレドに、仲間より強い信頼が寄せられるのも頷くような余裕綽々だ。
「ウルカ。バッシュ、ディード、ホタテ。アリサ、フォルスト、新人のエルダーナイトのフォルゼン。ピローテス、ユキカゼ、俺は前衛として戦列に並んでくれ、残りは後衛としてガンガン攻撃してくれ、固有スキルアーツ、スペルはまだ使うなよ。」
前列の10名が前方に壁を作る。
後列のヒリュウ、風の最上位精霊のジン、水の最上位精霊のクラーケン。リード、森の最上位精霊のエント、風の最上位精霊のジン、エルダーナイトのアロマ、ドリアードのユファーセル。チャイム、ドリアードのホウヅキ、ドリアーツのジョウゲンの10名が並ぶ。
「攻撃重視、程々に攻撃して突破口を開くぞう」
元素魔法の攻撃用スペルを後衛から攻撃される。
ウォーターボルト、ウッドブリッド、エアーカッターが最上位の精霊より放たれた。
プレイヤーが押していく戦列に、背後から支援し、エネミー軍の戦列に穴をあける。
ヒリュウ、リード、チャイムの三名よりクロスボウでの射撃が行われ、直ぐに魔法スキルの上位元素スキルのスペルを使い、突破口を無理作る。
「おし前進するぞう」
前方の突破口に群がるプレイヤーの支援為に他のプレイヤーもスキルを使う。
レド達も前進し、砲台の様に魔法スキルの元素魔法を使い、集中砲火によって次々と下級のエネミーを蹴散らす。
前列で射撃武器を使う弓使いでもあるバッシュ、独特の忍法を使い手裏剣を使うウルカ、投擲ナイフを使うアリサはまだ攻撃には参加せず、レドが前方を歩き、ゆっくりとだが確実に前進する。
ヒーラーのドリアードが後衛に三名もいるので、ダメージにも対応できる。
□
前方を進むレドを先頭にした二等辺三角形の前列達、後列も後衛達の程々の火力支援により、元々の能力が高い4名の最上位精霊、プレイヤーの三名も1次派生スキルが最低ラインの為に強力な火力を行う。
「!」
レドの動きが止まる、全員が警戒を強める。
「索敵スキルに大型エネミー反応あるぞ!」
「詳細は」
「数は13、エルダーナイトの重装歩兵部隊だ。距離凡そ80m」
索敵スキルがⅢまで上がっているレドは、このような情報に関するスキルが豊富だ。他のプレイヤーの索敵スキルなどが、どうしてもスキルLvが低い。
「この動き、ユニークリーダーがいるぞ」
「変わり種か」
突然変異の様なエネミーだ。特に数の多い海の方が多い傾向にあるが、上位でも十分変異が起きるので、極めて強力な個体で有り、また知性が高い傾向にある。その突然変異のユニークリーダーは組織戦を好む。
投擲の槍が投げられる、2mはある巨人の様なエルダーナイトが組織立つと投擲武器などで攻撃するばかりか、前列、後列などのスイッチも行うので要注意だ。
「通常遠距離攻撃用意」
射撃武器に切り替える前列のプレイヤーの三名、レドもヒリュウから送られた連発式のクロスボウをに切り替えた。
「魔法に関しては基礎に抑えてくれ、消耗は避けたい」
後列の10名も頷く。
前進する一行に、ユニークリーダーが指揮する投げ槍部隊、その近くにはレドも見逃しかけたが、視界内に移る索敵レーダーのミニマップに気づく。
「ヒーラー、毒の治療スペルの用意していてくれ」
毒を使うエネミーはスポアの上位種の毒スポアだ。
投げ槍部隊、毒スポア部隊の強力な上位種で構成された打撃部隊に接近し、最高の射程距離に入れると、武器での遠距離攻撃、スペルでの遠距離攻撃を行う、この射程に直ぐに反応した打撃部隊は、後退せずに前進を選んだらしく、投げ槍を投擲しながら突き進んでくる。
遠距離攻撃での打撃に、上位種のみで構成された由仁へ区リーダーの打撃部隊はその数を減らすこともなく接近しつつある。
「索敵範囲65mまで接近、後15mで相手の投げ槍射程に捕まるぞ」
「こっちは攻撃が届く範囲に来てもらった方が良いのだが、打撃を受けるのも喜ばしくない」
「ああ。言えているな。この場合の対策などは考えられるかレド」
「まあ出来ないこともないが、おし逃げ撃ちを行う。後退しつつ遠距離攻撃を与える、ただし相手にも悟らせないために少しずつ後退するぞ」
単純な物だ射程において上回る遠距離個激のレンジ、これを最大限に生かすには、相応な機動力が必要だが、大軍によって阻まれながら、ゆっくりと接近する打撃部隊には効果的な戦術だ。
ただ効率の面から言えば正しいが、遠距離戦術を嫌う者からすれば唾棄すべき卑怯なやり方だ。
各射撃武器の最高有効射程距離は、投げナイフが20m、手裏剣が25m、弓が30m、クロスボウが40m、これらにさらに射程をのばすヘビーの様な重量級なら追加の10mが続く。
少しずつ後退しながら、遠距離魔法攻撃で打撃を与える。
「一体撃破、及び打撃が効いてきた、多数の上位種が撤退する」
「撤退?」
「ああ。賢いな、これ以上の打撃には難しいと悟ったらしい」
「エネミーが撤退?」
「まて、ウルカ、私達も撤退位はするぞ?」
「それは野良エネミー時代か」
「それは・・確かに滅多な経験はない、数度あった程度だ」
「今後誠を考えると、少し厄介だが、それもまたよし、遠距離攻撃主体にしつつ前進するぞ」
□
前進する事、ユニークリーダーが指揮する投げ槍、その護衛の毒スポアの部隊は、後方で治療を受けているらしく、最前線には現れない。
80m長距離索敵レーダーを持つレドが事前に察知することで、迅速な対応ができ、幾つかの膠着する前線の突破口を強引にこじ開けた。
この為にエネミー側もマークし始める。
そんなレドの指揮するPTは付きの膠着状態の戦線に向かう中、高速に接近するエネミー反応を捉えた。
「背後からハイウルフが接近中、数凡そ10、速力に関するバフ効果はなし」
いつも通りの情報を提供し、直ぐに対応策を講じる。
「はい。防御魔法スキルでの壁作り、なお前列、後列の構成変更も続けてあるぞ」
4体の召喚獣、3体のドリアードが作った様々な属性の壁に、機動部隊らしいハイウルフが接近していたがいきなり現れた壁により、左右へと散開を開始するが、反応が遅れた事も有り、新たな壁が再び現れる。
この二重の壁に、レドは直ぐな対応する陣形に切り替える。
前衛の三分の1がハイウルフに向き、残る7名の内、三名が後方左、三名が後方右に三方向に展開し、後衛が中央を展開する。
指揮官は本来なら中央だが、唯一の盾使いの壁の為に最前方に立ち。
「アンカー・シールド、護りの盾、護りの剣」
範囲内のエネミーのヘイト、攻撃力急上昇、防御力、速力低下、PTの仲間に対し防御力上昇、盾の紋章の障壁、剣の紋章の障壁の段階強化。
分散しつつあったが、レドに向かって突っ込んでくる。
二重の壁により、移動速度を落とすしかなかったために、ハイウルフたちの突撃は緩く、射撃武器での攻撃、魔法スキルでの攻撃を行い、一回の一斉攻撃後は白兵戦の近距離武装に切り替え、これにより白兵戦に突入し、それぞれが初期のⅠランクのアーツで対応し、ハイウルフを殲滅した。
□
始まりの町〖イーニャ〗防衛ミッション、開始より三時間が経過。
戦況としてはプレイヤー側とエネミー側の小手調べは終わり、本格的な衝突科各地で続き、一般的なプレイヤーは☆+2まで位の成長なので、ランク☆+2位の上位種エネミーだと苦戦する。
レドたちの様なプレイヤーより従者の多いPTは、各地での膠着、または劣勢の状況下に進撃し、これを打開することに成功していた。
エネミー側の主力は切り替わり、上位種が目立つ。
上位種の殆どがアクティブエネミーなのだが、バッシグエネミーのマーリンもアクティブに切り替わり、プレイヤー側に出血を強いる。
一行も、余裕で有った前半戦とは違い、射撃武器のみでは苦しくなり、伯へ武器主体になった前列、後列は魔法主体の為に特に変わらず進む。
□
長時間の戦闘に、耐えきれなくなったプレイヤーは後退し、そんな回復待ちのプレイヤー、従者達は、後方の北門周辺に集まり、生産専門プレイヤーから商品を購入するなど、一つの休憩エリアとなっていた。
「(あの子たちも頑張っているねえ。恐らくボスを倒すのはグローリースターかもしれないけど、あの子たちなら重要な役目をしていそうだしね)」
生産プレイヤーの組合であるクラフト・クラフト・クラフト、通称【C】の残留組の面々も、商売、生産に励む。
生産には生産の戦い方があるのだと言えた。
□
四時間が経過した頃、各地の戦線ではプレイヤー側に後退か相次ぎ。
前線での減るプレイヤーによって、前線に残るプレイヤーへの負担は加速的に重くなる。
レド達は前線の強行突破を繰り返し、ついに本陣に接近していた。
「全アーツ、スペル、アーツ・スペル、スペル・アーツ使用許可を下す」
「木香のコンツェルト」ドリアード、エルダーナイト、エルフが発動する。
「清流のカノン」ニクシーが発動する
「風の加護」エルフが発動する
「深きラプソティ」ダークナイトエルフが発動する
「世界樹」ドリアードが発動る
「風の世界」ジンが発動する
「森の世界」エントが発動する
「水の世界」クラーケンが発動する
「魔獣」リトルフェンリルが発動する
「スキルアップ」レド、バッシュの付加術が発動する
「ファイアーストーム」チャイムが発動する
「乱風」ウルカが発動する
「スピードダウンズ」ヒリュウか発動する
「怒涛のかまいたち」アリサが発動する
「ボルトレイン」リードが発動する
全力で使ったスキルらに及び、周辺に群がっていたエネミーが相次いで消滅する。本陣の前方を叩き潰したレド達により、追従していたプレイヤー達も前方に突っ込む。その中には満身創痍のグローリースターの姿もあった。
この戦争クエに、多くのプレイヤーを本陣まで護送するという、戦いにおいて重要な役割を行うは、ナイスアシストの様なものだ。
レドたちの従者が次々と固有スキルアーツを使い始め。
本陣の正面にできたプレイヤー達の陣地に、エネミーたちは接近できず、中には突っ込むエネミーもいたが、結界の様な世界系のアーツの前で消滅する。
「よし休もうか」
敵陣の真正面でいう言葉ではないが、レドの余裕が崩れることはなさそうだ。
レドたちの陣地の中央に作られた世界樹群、そこで一休みし、飲食を行い、敵陣の目の前で食事をしていた。
それぞれが好物を食べ、そして飲み物を飲みながら一休み。
豪胆な面々である。
プレイヤーの陣地を作ったレド達に、敵陣に突っ込んだプレイヤー達に、絶え間ない治癒魔法が世界樹から飛び、これによりレド陣地に近いプレイヤーは支援を受けて活力を取り戻し、敵陣を食い破ろうとする。
□
敵陣に対するプレイヤー達も確実に接近し、エネミーたちのボスであるエネミー将軍の周辺にはユニークリーダーが指揮する投げ槍、毒スポアの打撃部隊が、エルダーナイトに武装を施した重装歩兵によって、プレイヤー達の進軍が食い止められる。あまりに強固な壁役に、敵視線までやっていきた強者たちも苦戦気味だ。
そこにレド達が陣地を離れ現れた。
「おうし。全力攻撃と行こうか、気合を入れて前方のユニーク部隊を攻撃するぞう」
場違いなほど活力に満ち、余裕のある声に、他のプレイヤーも次々に飛んでくる治癒スペルなどに、一旦後退する。
レドの達20名の最大火力による打撃により、プレイヤーの進軍を止めた重装歩兵たちが壊滅的な打撃を受ける。
「おうし。通常火力な切り替えるぞう」
基礎的なⅠランクのアーツ、スペルに切り替わり、毒スポアなどを狩る。
「んじゃあ。突っ込もうか」
再び護送船団作戦を行う。
周辺のプレイヤーを守りながら、突き進み、敵陣のど真ん中まで突き進む。
敵総大将の護衛らしい、武装したエルダーナイト、重装歩兵の様ではないが軽装歩兵程度の能力はあり、防御力に強くないエルダーナイトを通常火力で叩きながら、レドたちの護送船団作戦は直ぐに成果を発揮する。
ヒーラーのドリアードによって癒された護送されるプレイヤー達に、後衛のヒリュウ、チャイム、リードから全ゲージ回復ポーションが配られ、レドが事前に渡した強化ポーションも配られる。
最後と言う事で大盤振る舞いで癒し、その間には他の従者やメンバーが通常火力で敵陣に食いつき、確実に敵陣に打撃を与えていた。
□
レド達のアシストにより、満身創痍から回復したグローリースターを含む高レベルプレイヤー達が中央から後方に近づいたころに、進軍の止まったレド達に代わり爆発的な進軍を行う。
「んじゃあ。最大火力と行こうか」
陣地を構築しつつある、レドの判断により一回の最大火力で周辺のエネミーを消滅させる。
レドはアンカー・シールドから始まる盾スキルを使い、範囲内の攻撃力上昇を招くが、強力な低下効果も与え、雑魚が惹きつけられるのに対し、他のプレイヤー達の負担を減らす。
最大火力で戦いながら、最奥陣に到達したグローリースターの面々。
防衛ミッション計5時間に及ぶ激戦に末に、ついに総大将に行き着く。
エネミー将軍と激闘を行う高レベルプレイヤー達。
その後方で雑魚を引きつけるレド達。
このどちらも重要な役割を担う事に、全力で戦う中、グローリースターのリーダーの召喚獣がついにエネミー将軍の動きを止める。これに全力の火力により高レベルプレイヤー達技で、砕け散るエネミー将軍。




