表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

屍を

作者: 桐生たまま

きみは暗闇を一人で行く

なぜ靴も履かずに


きみの白く細い足は だから沢山の血を流す


きみは誰よりも傷つきやすく

鋭敏な痛覚が騒ぎ出すというのに


僕は道の小石を 除けることで精いっぱい

きみの歩みは早すぎる


春の花は好きですか

暖かな香りは好きですか


だからと言って 手あたり次第

摘み取ってしまうのは惨いのです



本当は暗闇などありはしないのに

固く閉じた瞳を 開けばいいのに


摘み取った花の蕾は 思った通りに咲かなかったのですか

甘い芳香を放たない花は そんなにも罪深い裏切りなのですか



本当は暗闇などありはしないのに

固く閉じた瞳を 開けばいいのに



きみの手折ったのは春の陽射し

本当の春が そこにあるのに


平坦でない道に できた澱みを

その花で埋めてゆく 悲鳴をあげながら

その道を裸足でゆく 悲鳴をあげながら


よく見てごらん その花に棘は無い

きみの足下にあるのは

枯れた屍


耳を澄ましてごらん

聞こえないかい?

きみの悲鳴の向こう側


屍の悲鳴が



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ