クリスマス
書き出しだけ考えたので、暇な人は続けてみてください。Afternoon Holiday と少しリンクしてます。
唐突にその日はやってきた。
事の始まりは、今日から遡ること5日。そこから、全てが始まった。
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授業中に、ふと窓の外を見た。
一番窓際の、一番後ろのこの席からは、教師の動きもクラスの動きも目視できる、
いわばこのクラスの特等席だった。
日本史の教科書を片手に、この国の歴史をとても楽しそうに語る教師の動きは、
いつ見ても愛嬌があって僕は好きだった。
何回も聞いた裏話を再び話し始めた時、僕は不意に、窓の外を見た。
そこには、一面の雪景色が広がっていた。
はずだった。
そこにあったのは、海。
テレビで目にするようなハワイの綺麗な海が、そこにはあった。
ここは日本海側の地域で、
この時期は、雪が止むことを知らないかのごとく降り積もる。
1mなんてのは日常で、この窓から見えるのは除雪されることのない校舎の中庭。
の、はずなのだ。
僕は目を疑った。
そして、一度、楽しそうに日本史を語る教師を見た。
いつもの風景。
そして恐る恐るもう一度窓の外を見た。
そこは、紛れも無く、海だった。
―――――
最初はとても嬉しかった。
寒すぎてやってられないこの季節に、唐突に夏が訪れた。
授業が終わり、教室を出た瞬間そこは真夏のような暑さだった。
生徒達はもちろんのこと、学校側も緊急事態を察知して速やかに下校を促した。
ニュースでは、慌ただしく原因不明の異常気象が報道された。
でも、僕は、この異常事態の原因を、知っていた。
2年B組の教室から見える中庭に、授業が始まる前、一人の男の姿が目に見えた。
転校生の僕は、このクラスから完全に外れていた。
アウェイな人間が何を見たと言っても、誰も信じるものはいないだろう。
だから、この事件の事実を知るのは、僕だけなのだ。
しかし、12月25日の今日、異常事態を迎えてから5日目の今日。
僕はこの暑さに嫌気が差していた。
だからこそ、僕は訴えることにした。この事態を戻してもらうために。
中庭にいた人物。
真っ白なひげを生やして赤い服を着た人物とは、サンタクロース以外にないだろう。
僕は、12月25日のクリスマスに、皮肉にもサンタクロースに会いに行くことになったのだった。
つづきません。
続きはありません。