正直者がバカを見る
これは私がスーパーに勤めていた頃の実話である。
Aスーパーの店長はいつもより一時間も早く店に来て開店の準備を始めた。
今日は二日後のクリスマスに向けて大安売りをするのだ。
いつもは二人のパートも三人に増やすという、力の入れようだ。
店長は私を含めたパートの三人に言った。
「今日は特売品が沢山あるからね。まず冷凍ピザそれにコーンスープ用の缶詰、手作りケーキの為のホイップクリームそしてなんと言っても骨付きチキン。これが一番の目玉商品だよ」
やがて開店の時間となった。
クリスマスが近い事もあって店は大賑わいだ。
私達が懸命に商品を陳列しても出したそばから飛ぶように売れて棚はすぐにスッカラカンになってしまう。
だが一か所だけ売れ行きが悪く商品が丸々、残っている陳列ケースがあった。
目玉商品である骨付きチキンの棚だった。
今日の為に特別に仕入れたチキンだった。
店長は首をかしげた。
何故だ? こんなに大きくて立派なチキンがお買い得なのに何故、売れない?
彼は不思議に思いチキンのパックを手に取ってよく見た。
そしてその理由を悟り、仕入れ先にクレームの電話を入れた。
「あんまりだよ、ウソつかれた訳じゃないけど……だまされた感じだよ」
クリスマス用の赤と緑の派手なトレーに入ったチキンのラベルに表記されていたのは
『お早目にお召し上がり下さい、消費期限、12月23日』




