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@017

遠くの橋を渡る汽車の足音が聞こえる。何度も聞いた。何度も聞いて、何度も悲しくなる。この町の人たちを都会へと運ぶあの汽車は、都会からは人を連れ戻してはくれない。その事実に思い至ったのは、ぼくに番がまわってくる半年くらい前だった。


ぼくの番が目の前にあらわれたとき、ぼくはそれをあの子にゆずった。あの子は無理に嬉々とすることでちいさな不安をつつみこみ、都会行きのあの汽車に乗った。そして、ぼくが至った結論どおり、帰ってくることはなかった。


あのとき、ぼくは、と、思うことはすくなくない。後悔とは思っていない。たぶん、思っていない。後悔があるとして、けれど、あのときにはもどれない。


ぼくの番は、もう来ない。


あの子は、この町にいない。帰ってくることも、たぶん、ない。


あの子は、この町にいない。


いま、ぼくは、この町にいる。


これが、ぼくとあの子とのすべてだ。









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