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あんまんをたべ終えたキミが本棚に近づく。一冊を手に取り、けれど開かない。本棚の端によりかからせ、本を傾かせて置く。
―まっすぐ置いてるより、よりかからせてほどよく傾いてるほうが、本がちょっぴり微笑んでいられる気がしない?
―まっすぐのほうがいいんじゃない?
とぼく。
―ななめもいいもんだよ
やさしい声でキミがぼくに言う。
―あんまんたべて冬が来たね
―肉まんでも冬は来るでしょ
とぼく。
―あんまんがいいよ
キミはゆずらない。
―寒いね、桃色の和菓子をたべたら、春が来てくれるけど
キミが窓の外を見つめながら言う。ぼくに言っているのか、窓の外に言っているのかわからない。それでも、ぼくは答える。
―それはまだまだ先の話でしょ
―春なんてあっという間だよ、あっという間に卒業だよ
キミが言ったとおり、ぼくたちは、あっという間に卒業してしまった。




