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@014
ぼくは、安易な考えに溺れ、安易に事を構え、安易に日々をすごしていた。
テリアさんは気づいていたのかな。ぼくがポアロやホームズと冒険している合間、こっそりテリアさんを眺めたりしていたことを。テリアさんは物憂げな表情をときおり見せ、それでも駅まで一緒に歩くときは、その時間が足りないくらい話し続け、ひそかに、ぼくを安心させた。
テリアさんが何を思い、何を考えているのか、それはテリアさんにしかわからないことで、ぼくが知る必要はないのだけど、その思考をすこし、気にもしてしまう。
けれど、ひたひたと、だんだんと、すこしずつ、そのときに向かってぼくたちは進んでいた。そのことを理解していようといなくても、自覚していようといなくても、テリアさんとすごす日々がずっとずっと続いてくれたらいいのだけど、そういうわけにはいかないもので。
ぼくたちの時間は限られている。




