初めての視察①
「ぼく、決めたよ!デルのところに行こう!」
早いもので、リオナがグランバール領に来て1ヶ月が経ち、アルベルトとはすっかり打ち解け、日々楽しく過ごしていたある日のこと。
決意に満ちた目で見上げて来るアルベルトにリオナは苦笑しながら手を繋いで城へと向かった。
事の発端はリオナの初めての視察が決まったことだ。広い辺境伯領の中でも遠い場所が選ばれた。デルフィーノが継いだ後一度も視察に行くことができていない養蚕が盛んな場所と、酪農が地域一帯を占めている場所の2ヵ所だ。その為2泊せねばらないのでそのことをアルベルトに伝えたところ、先程の言葉を言い出したのだ。
リオナが来た翌日からは、アルベルトが眠るまで本の読み聞かせをしなが側に控えている。絵本は子どもっぽいというアルベルトに、最近ではリオナは冒険譚を読み聞かせている。更に、時には手を握り優しく頭を撫でるとスッと眠りに落ちてくれる程で、当初は全員で交代で様子を見ていたが、2週間経つ頃にはアルベルトが夜中に起きることがなくなっていた。アルベルトによると、リオナの声を聞いていると眠くなるらしい。
リオナ自身は特別な声でもなんでもないと思っているのだが、アルベルトにとっては違うようで、その為、リオナが2泊とはいえアルベルトの側にいないことは大問題だというのだ。
嵐の予感を感じながらデルフィーノの執務室の扉をノックする。中から入室の許可が聞こえたのでそっと扉を開けるとアルベルトが飛び込んだ。
「デル!」
「どうした?慌てて」
「どうしたもこうしたもないよ!」
拳を握りアルベルトがデルフィーノを見上げる。
「ぼくもリオナと一緒に視察に行く!」
「まだアルベルトには早い」
「早くない!ぼくだって領民がどんな風なのか見たい!」
デルフィーノがリオナを見て来る。さすがに難しいか。リオナでさえ初めての視察だというのに、次期辺境伯のアルベルトを連れての視察となると何が起こるかわからない。そもそも領民がリオナをデルフィーノの代理として認めてくれるのかが不透明な状況なのだ。
「視察に行きたいというのは本音か?他に理由があるのではないのか?」
「な、何のこと?ぼくはリオナと一緒に視察に行きたいだけだよ!」
デルフィーノが目を閉じ首を捻る。デルフィーノも気づいているのだ。アルベルトがリオナから離れたくないから言い出したことだと。それくらいこの一か月、アルベルトと共に過ごして来た。
デルフィーノはリオナの横を通り過ぎ、扉を開けて外の兵士に何やら話しかけている。そしてしばらくして戻って来たデルフィーノがしゃがんでアルベルトと視線を合わせる。
「領民がどんな暮らしをしているか見てどうしたい?」
5歳の子どもに聞くには難しい問いだ。リオナとて領民の収入を増やしたい、そういった考えのみで伯爵領の視察をしていた。
しかし、グランバール領に来てから、視察には他にも意味があるのだと知った。
それは、領民に領主は領民を気にかけていると思ってもらうこと。領民の声を聞くだけなら書面でも良い。しかし、直接会って話を聞くということはとても大切で、困ったことや苦しいことを直接伝えることによって、領民の心は安堵するのだそうだ。
それが今グランバール領の多くの地域ではできていない。グランバール領は活気にあふれた豊かな領地だ。しかし、引継ぎがないまま、領主になる予定ではなかったデルフィーノが急遽継いだ為、それがこれまで通り続くだろうかと領民が不安を持ったままここまで来てしまった。
デルフィーノを信頼していないわけではない。ただ、ずっと二男として育てられ、成人してからは辺境伯軍の隊員として仕事をしていた為、グランバール領主家としての仕事をして来なかった。幼い頃は両親と共にあちこちに行っていたそうだが、成人する前から兵舎に居を移し鍛錬を始めた為に、その後の数年は領地に出掛けるのは一隊員としての仕事で行くだけで、領主家としてではなかったそうだ。
それを知っている領民たちは、デルフィーノが急いで勉強し、忙しくしていることもわかっているが、自分たちの生活は前に進んで行っているのだから、悠長にデルフィーノの成長を待っている時間はない。
デルフィーノが仕事をきちんとこなしている為、領地は今まで通り一応は回っているし、それに不満はないが、やはり、これまで通り領主には直接話を聞いて欲しいという気持ちも同じくらいあるのだ。
けれど、これまでデルフィーノの両親が二人でやっていたことをデルフィーノ一人でするには限界がある。特にデルフィーノの兄が亡くなるまでは、兄夫婦も視察をしていたので、より多くの声を聞くことができていた為、領地のあちこちから視察の依頼が来ても困ることはなかった。
今も領民は現状を理解をしながらも、デルフィーノに来て欲しいと視察の依頼が絶えないのが実情で、これまで近場しか応じることができず他の地域の要望に応えることができなかったが、リオナが秘書として行くことによって、領民の不安を少しでも取り除こうというのが目的なのだ。マクシムを行かせたこともあるが、やはり執事では物足りないと思われらしく、ならば秘書ならばといういうことが今回試されることになっている。
この状況でリオナで領民が満足してくれるかはわかならないが、何もしないよりした方が良い。そんな思いでリオナが向かうのだ。
アルベルトがじっと考えている。その横顔は少し頼もしい。アルベルトなりに何か理由を言いたいのだろう。
「領民と仲良くなる!」
スッと顔を上げたアルベルトの発した言葉は、単純なようでいて、理にかなっている。仲良くなるということは、領民が委縮して言いたいことが言えないということがなくなり、また信頼関係も築くことに繋がるだろう。リオナはちらりとデルフィーノを見た。
「仲良くしてどうしたい?」
まだ問答は続くようだ。またアルベルトが考え始める。唸りながらアルベルトが眉間に皺を寄せる。一生懸命考えているのだろう。まだ文字や計算を覚えたりしかしていない。歴史も絵本で知ることができる程度しかわからないのだ。難しいだろう。
リオナは膝を付き、アルベルトの背中をそっと撫でた。焦らなくていいという風に。
しばらく考えていたアルベルトだったが突然ガクンと膝をついた。
「デル、ズルいよ~」
「ズルくはない。しっかり当主になる為には必要なことだ。今は難しいかもしれないが、いずれ答えを聞かせてくれ」
デルフィーノがアルベルトを見つめその頭を撫でている。愛おしさがつまったその仕草は本物の親子の様で、デルフィーノがアルベルトを可愛がっているのが伝わる。
「ねえ、いつか答えを出すから行っちゃダメ?」
最後のお願いとばかりにアルベルトがデルフィーノを見る。
「領民には礼儀を尽くす。そしてよく話を聞く。これができるなら行っても良い」
「本当!?ぼくちゃんとやる!ありがとう!デル!」
ぱあっと明るくなったアルベルトの頬が上気している。先程までと打って変わってこぼれんばかりの笑みが浮かび、リオナに抱きついて来た。リオナはその背を撫でるとデルフィーノに頭を下げ、アルベルトを見た。
「では一緒に参りましょう。準備が必要ですね」
「うん!楽しみだね!」
「ちゃんと学んで来い」
なんだかんだとアルベルトに甘く優しいデルフィーノの部分が勝ってしまったのだろう。この一か月でリオナはそんな場面を幾度となく見てきた。
デルフィーノは注意はするものの、大声で怒鳴ったりなどは一切しない。アルベルトの話を聞き、どこが悪かったのかを伝える。そしてアルベルトの言い分にも理解を示すこともあるほどで、その接し方に温かさを感じ、いつもリオナは羨ましく思いながら見ていた。
リオナの母も、そうやって接してくれた。母亡きあと、あの邸で家族の温かみを感じることは一切なかった。
アルベルトにはそんな思いをさせたくはない。健やかに、楽しく笑って成長して欲しい。いつの間にかそれがリオナの願いになっていた。
「リオナ。頼んだぞ」
この耳に響く優しい声にも慣れた。アルベルトを思う優しさに溢れた声だ。
「かしこまりました。ご期待に添えるよう努めます」
「ああ。だが無理はするな」
「はい」
リオナは笑みを浮かべるとアルベルトと共に部屋を出た。
視察の準備は慌ただしく進み、あっという間に視察の日を迎えた。
「領内とはいえ気をつけるように。アルベルトはリオナの言うことを聞いて困らせないように」
「大丈夫だよ~。リオナと一緒だもん。楽しいだけだよ」
「逆に心配になるな」
「何で~?ぼくちゃんとできるよ!」
「わかったから、油断するなよ。言葉遣いは丁寧に。いずれはおまえが領主になるんだ。ちゃんと領民の声を聞き、しっかり学んで、領民と良好な関係を築くこと」
「もう!何回も聞き飽きたよ!」
拗ねた様にアルベルトが口を尖らせている。
「アルベルト様。デルフィーノ様心配なさっているのですよ」
「リオナもそればっかり!どっちの味方なの?」
「私はどちらということはありません。お二人の味方をいたします」
これはアルベルトの視察が決まってから何度もしてきた会話だ。
許可したものの心配なデルフィーノと心配され過ぎて言い返すアルベルト。それを仲介しようとするリオナ。何度も繰り返したやり取りだ。
「リオナ。頼んだぞ。道中危険な場所はない。だが、何があるかわからないから、万が一の対処は覚えたな?」
「はい。馬車に乗っている時は中から鍵をかけ、絶対に自分から外には出ない。窓から離れ、床に伏せる。外にいる時は護衛の皆さんの指示に従う。お金目的なら全額渡して抵抗しないこと。です」
「そうだ。命を優先しろ」
「かしこまりました」
これも何度も繰り返されたやり取りだ。アルベルトを守る為に何度やり取りをしても構わない。王都にいた頃、リオナが自邸から領地に視察に行っていた時は誰もそんなことを言ってはくれなかったのだから。
「早く行こうよ。遅くなっちゃう」
アルベルトがリオナの手を引く。リオナはその手を握り返した。
「いざという時は座席の中にアルベルト様を隠し私が対応しますからご安心ください。では行って参ります」
事前に馬車を確認した時に、座席の下に荷物を入れる場所が確保されているのに気付いたのだ。いざという時はそこにアルベルトを隠せば良い。馬車に乗っているのはリオナだけ。そう思わせれば良いのだ。
リオナはアルベルトを馬車に乗せてからデルフィーノを振り返り頷いた。そんなリオナにデルフィーノも頷き返してくれる。頼んだということだ。領主として当たり前の判断で、リオナはそんなデルフィーノが逆に好ましい。領主としてあるべき姿だ。
でもきっと、心配性なデルフィーノはリオナたちが帰って来るまでずっと落ち着かないかもしれない。そんなことを思って笑みが浮かぶ。
リオナも馬車に乗ると、デルフィーノが扉を閉めてくれる。リオナは鍵をかけると見送りに来てくれていた人たちにアルベルト共に手を振った。
馬車が動き出す。今回の護衛は団長のコルデンとあと五人ついてくれる。彼らは騎乗で、荷物用の馬車が一台ついてくる。
まず向かうのはココルという町で、酪農が盛んな町だ。広大な面積の町だが、町民のほとんどが酪農関係で生計を立てていて、良質な牛乳はすぐそこにある国境の向こうの隣国の町にも輸出されている。もちろん酪農製品も同じで、チーズの種類が豊富でわざわざ仕入れる為に業者があちこちからやってくるほどだ。
ココル以外でも酪農をしている町はあるが、国内で一番有名なのがグランバール領のココル産のチーズで、リオナはそれを毎日グランバール領に来てから食べている。
あまりにも幸せな味で、またお酒が進むのだ。アルベルトの前で飲むわけにはいかないが、アルベルトを寝かしつけた後、料理長が用意してくれたチーズと葡萄酒を一人楽しむのが日課だ。
リオナは友人たちに意外だと言われたほど酒に強い。友人の家に泊ると、チョコレートやチーズをつまみに葡萄酒や蒸留酒を飲むのだが、先に二人が潰れてしまい、いつもリオナが片づけていた。顔色が変わることはないし翌朝に引きずることもない。
友人たちはそんなリオナがいるから自分たちは安心して潰れるのだと言っていたが、絶対に自邸や外で飲むなとも言われている。
きっと酒に強いリオナを人に見せたくないのだろう。酒に強い女性を嫌う人たちもいると言っていた。リオナを心配してくれる二人に、二人の前以外では飲まないと約束したが、ここは自分の部屋だ。アルベルトが夜中に起きるかもしれないと思えば、酔っていないとはいえ、酒臭い状態でアルベルトの元へ行くわけにはいかないので嗜む程度だが、それがまた返って夜の楽しみの一つとなり、楽しい時間を一人過ごせることを嬉しく感じている。
そんな町にこれから向かうのだ。楽しみで仕方がない。リオナは子どもの様にはしゃぎそうで怖いなと実は思っている。しかしそんなことをアルベルトに気付かれないようにしなくてはならない。気を引き締め直すと出ていない汗をハンカチで拭った。
まずは町の責任者に会い、その後は勧められた牧場に行くことになっている。だが、その町まで約一日。今は朝の8時だが、着くのは夜7時と聞いている。そこでそのまま1泊して翌日から行動することになっている。牧場視察のあとは、チーズ工房。それからふんだんに乳製品を使った料理を食べる。
もちろん各所で話を聞くことにはなっているが、これではただの旅行だと思ってしまう。しかしデルフィーノにしてみれば、この時間をかけることができなかったので気になっていたそうだ。馬で駆けても半日はかかる為必ず泊りになる。ましてや次に行く場所のことを思えばより時間がとられ、城を空ける時間が長くなる。だから領地の隅にあるココルに行くことができなかったので、今回はたくさん話を聞いてくるよう指示されている。
安定した収益を出しているからこそ言いたいことがあるだろうとも。今回は新商品を紹介したいと依頼があったそうだ。これまで何度も視察依頼があったのが、その度に断らなければならなかったので、デルフィーノではないが、代理のリオナが話を聞きに行くことになったのだ。それに合わせて隣の養蚕の町に行けば、まとめて視察に行くことができる。
デルフィーノでないことに不満もあるだろうが、これからリオナに慣れてもらわなければならない。リオナが真摯に取り組めばきっと相手もわかってくれる。そう信じてやるしかない。先方もリオナで納得したのか直ぐに日程を詰めて欲しいと返信があったそうだ。
「ねえ、リオナ!お花がたくさん咲いているよ!」
動き出した馬車の景色を夢中になって見ていたアルベルトが振り向いた。リオナが外を見ると、いつの間にか中心部から離れ、花畑が広がっていた。リオナがグランバール領に来る時に使った山道とは逆の道で、今が盛りの可憐な黄色や橙色の花が風に揺れている。
「あれはラナンキュラスという花ですよ。グランバール領では黄色や橙色のものを育てているそうですが、他の領地では違う色が見られます」
「へえ。これも人が育てているんだね」
「はい。育てた花を売ってお金を稼ぐのです」
「じゃあ今咲いているけどそのうちなくなるの?」
「今見えている分は枯れるまでそのままらしいですよ。街道を通る人を喜ばせるための花で、ほら向こうに小さく人影が見えませんか?」
「見える!」
「あの辺りはきっと蕾の花を選んで切って売りに出しているのでしょう」
「へえ。もったいないけど、部屋で見れるのも嬉しいから仕方ないよね」
「そうですね。部屋に花が飾ってあると嬉しい気持ちになりますね。アルベルト様はどんな花が好きですか?」
「う~ん・・・・」
「どうかされましたか?」
急にどうしたのかアルベルトが俯いて手を握ったり開いたりしている。
「あのね。お願いがあるんだ」
「お願いですか?」
「うん」
「私にできることなら」
アルベルトが手のひらを膝に乗せて考えるように首を捻っている。
「あのね」
「はい」
「ぼくのこと、デルみたいにアルって呼んでほしんだ」
「えっ!」
「ダメかな?」
「それは・・・」
思ってもみないことを言われてリオナは戸惑った。主家にそのような呼び方をするものだろうか?だが考えてみれば、長い名前の時は使用人も愛称で呼ぶことがないことはない。そんな小説を読んだことがあるのだ。確かにアルベルトは長い。だが、デルフィーノ以外で愛称で呼んでいる人間はいない。もちろん隊員も使用人も。
そこにリオナが踏み込むのは正直躊躇われる。アルベルトのことは可愛いが、その壁を越えるのは怖い。リオナが愛称で呼ぶことに違和感を持つ人が必ず出て来るだろう。ましてやリオナはグランバール領に来て間もない。そんなリオナが今やるべきことは、デルフィーノの秘書として、領民にリオナがデルフィーノの代理であると認めてもらうこと。急にやって来た人間が次期領主を愛称で呼ぶなど厚かましいと思われてしまうかもしれない。認めてもらう前に拒否感を持たれてしまいかねない行為だ。
はっきり言えば、今の状態でそのようなことはしたくない。リオナを受け入れる前に拒否されれば、この先に繋がらなくなってしまう。渋い顔をするリオナにアルベルトが不安そうな目を向けて来る。
「アルベルト様。今はできません」
「どうして?」
「私は使用人です。しかも来て間もないので、私がご家族であるデルフィーノ様のようにアルベルト様をお呼びすることは不敬に当たると考える方が出て来るでしょう」
アルベルトがしょぼんと下を向く。そのつむじが可愛い反面、ここで折れてはいけない。
「私はまず、グランバール領の方々に信用される人間にならなければなりません。デルフィーノ様の秘書として、代理として認めてもらうことが何よりも優先なのです。
もちろん、アルベルト様と過ごす時間も大切ですし、何物にも代えられない時間だとも思っております。どうかご理解ください」
アルベルトが両手をぎゅっと握って俯いている。そんなアルベルトをそっと抱き寄せると背中をトントンと叩いた。
「いつになったら呼んでくれるの?」
声は涙混じりだ。
「そうですね。私が領民の皆さんにデルフィーノの秘書だと認めてもらえたら、ですね」
「そんなのいつになるかわかんないよ。ぼくはリオナともっと仲良くなりたいだけなのに」
「ありがとうございます。私も頑張って認めてもらうようにしますから、お待ちくださいね」
アルベルトがグリグリとリオナの肩に頭を擦り付けて来る。
「私がまだ至らないから申し訳ございません。少しでも早く認めていただけるようにしますから、お待ちくださいね」
「うん。困らせてごめんね。待ってる」
「ありがとうございます。さあ、まだ先はありますから、少しお眠りください」
リオナはアルベルトを横たわらせその頭を膝に載せる。そっと髪を撫でるとしばらくして小さな寝息が聞こえ始めた。
納得してくれて良かった。甘えることもあるが、基本アルベルトは素直なのだ。きちんと伝えればわかってくれる。
柔らかい髪を撫でながらリオナはアルベルトの要望に応えられる日が来ることを祈った。




