表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/25

三人の推しに囲まれて、俺の胃が死ぬ

 王族認定カップルになってからというもの、

 俺の日常は「スイート地獄」と化していた。


 


 朝、目が覚めると――


 


 「おはよう、カケル。朝のスキンシップ、忘れてないわよね?」


 


 ティナが俺の布団にダイブしてくる。

 ふわふわの髪と甘い香り。……目覚めのショックで心臓がバクバクだ。


 


 「ま、待って待って、せめて口をゆす――」


 


 「その前に愛のキスよ。覚悟なさい♡」


 


 「いや! この人、段階をすっ飛ばしすぎィィ!!」


 


 そしてそのまま、強制的に、朝チュン未遂をやり過ごした直後――


 


 「お邪魔しまーす。ふたりきりだなんて、ずるくなぁい?」


 


 リリィがキラキラ笑顔で、窓から侵入してきた。


 


 「え? どうやって!? 王城って普通、警備厳しいんじゃ――」


 


 「恋の力はすべてを超えるのだよ、少年!」


 


 「それ不審者理論ッ!!」


 


 そしてさらにドアがノックされ――


 


 「入るぞ。ふたりの時間だと分かっていて、あえてな」


 


 ユリシアが腕組みして登場。しかもバッチリ決め服で。


 


 「今日は王国間の親善会議があるはずでは……?」


 


 「サボった」


 


 「堂々と!? それ外交問題になるのでは!?」


 


 


 ====


 


 朝からカオスだったが、午後にはもっとやばいことになった。


 


 王城主催の恋愛理解促進プログラムとかいう謎の名目で、

 俺はなんと――三人娘と同室でお茶会という罠に放り込まれる。


 


 「カケル、今日のお茶は私がいれたのよ。香りと味、どっちも特別だから♡」


 


 ティナが注ぐ紅茶は、確かに香りがいい。


 が――


 


 「ちなみに、さっきリリィがこっそり蜂蜜を足してたわよ」


 


 「ちょっ、それ言わないでよティナ~!? 好きな人の味覚チェック、重要なんだから!」


 


 「お前ら、俺の内臓で実験すなあああ!!」


 


 


 その後も――


 


 ・リリィの「膝枕 vs ティナの肩枕」対決


 ・ユリシアの「私が一番彼のことを理解している」宣言からの心理テストバトル


 ・なぜかカケルの寝言録音で勝手に盛り上がる会


 


 と、息つく暇もない争奪戦が続く。


 


 「胃薬……胃薬をください……」


 


 俺はソファに倒れ込みながらつぶやいた。


 


 


 ====


 


 そんな中、夜。


 ふたりきりになった瞬間、ティナがふと静かに言った。


 


 「カケル……私、少し怖いの」


 


 「え?」


 


 「私が王女だから、あなたが選んだんじゃないかって。……本当の意味で、あなたの一番になれてるのかって」


 


 彼女は笑っていた。でもその笑顔は、どこか震えていた。


 


 「私、いつも強がってるけど……独りになるの、すごく怖いのよ」


 


 だからこそ、俺ははっきり答えた。


 


 「違うよ、ティナ。俺が惹かれたのは、王女としてじゃなく――ティナそのものだから」


 


 「……うそつき」


 


 「ほんとだよ。俺、ちゃんと好きだから。ティナの全部が」


 


 数秒の沈黙のあと。


 ティナは、俺の胸に小さく額を預けた。


 


 「……じゃあ、ずっとそばにいて」


 


 「もちろん」


 


 その夜、彼女ははじめて自分から俺の手を握ってきた。


 震えていた手は、少しずつ温かくなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ