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ギフト  作者: あずき缶
21/22

邂逅

5月8日、8:20。ナバラ州。

この州は企業数が他の州に比べて圧倒的に多く、高層ビルが立ち並び人々の顔は基本的に死んでいる。そんなオフィス街で今日、聞きなれない声が響いた。


「誰かー!!ひったくりよぉ!!!」


巨漢にバックをひったくられ、女性が悲鳴を上げる。何人かは巨漢を止めようとするが、顔が基本的に死んでいる社会人に止められるわけがなく、巨漢はまるで蝿を払うかのように気にも止めずに逃走する。


「誰も俺を止められなィ!」


もう誰も止められない、誰もがそう思ったその時、


「あ、居た。」


救世主(ルミエル)はやってきた。ナバラ州はルミエルがパトロール担当していた場所である。普段は擬似死人(社畜)が多く街は静寂に包まれている為、ほんの少しの助けを求める声でもルミエルの耳に届くことができた。


「どけぇ!」


巨漢が拳を振り上げる。が...


「よっと。」


ルミエルの敵ではなかった。巨漢の体を利用し足技を決める。顔面に攻撃をモロにくらった巨漢は白目を剥き、その場に倒れた。街からまた聞きなれない声が響いた。だがこれは先ほどまでとは違い、歓喜の声であったが。


そんな中、バックをひったくられた女性がルミエルに駆け寄る。


「私の...バッグ...」


「はいっ。取り返しておきました!」


それを聞いたオレは徐にバッグを取り出し、女性に返却した。あの巨漢にキレーな足技を放つ寸前、ささっとパクっておいて正解だった。

バックをオレから返却してもらった女性は涙をこぼし、オレに感謝を述べた。


「ああっ、ありがとうございます。」


当然の事をしたままです。と謙遜する。いやー、いい事すると気分がいいね。そんな事を思っていた時、空から何かがこちらに目掛けて降ってきた。


こちらに落ちてくる3秒前、それに気づいたオレは女性を抱えてその場から離れた。その時オレは、あの巨漢が助けに来たと、そう思っていたんだ。だが...


「お仲間か?いいぜ、相手や...る!?」






それは明らかに無関係の一般人。

いや、()()()()()()()()()()()


それには首がなく、体が自身の血で染まっていた。カバンをひったくられた女性がまたしても悲鳴を上げる。その場にいる全員がその死体を見る中、ただひとり、ルミエルだけが、その死体が落ちてきたビルを見上げていた。その見上げたビルの屋上に、








"ナニカ"はいた。


その時、ルミエルは"ナニカ"と目が合うが、"ナニカ"の目にルミエルが映ることはなく、何事も無かったかのようにその場を去って行った。



(写真に写っていた顔!)

オレは才能(ギフト)を発動し、ビルの狭間を飛び跳ね、"ナニカ"がビルの屋上から立ち去る前に...


「よぉ、"ナニカ"。初めまして。」


「お前は...」


間髪入れずに突進、ここでオレはイミルの言葉を思い出していた。いつもオレは考えなしに突進し、結果、後々無理をしないといけないギリギリの攻防が多くなってしまう。そうだ、無理しない程度に...


無理をすればいい。突進したスピードを使用し緋の渾身拳...と見せかけて膝滑り(膝スライディング)。因みに今オレがやった膝滑り(膝スライディング)は今までのような両膝を地面に着かせるやり方ではなく、片足だけ地面に着かせ、もう片方は足を伸ばすことで着地しやすいようにしている。更に、その着地した足を軸に回転し次に繋げる。さぁとくと見よ新技!


膝窩落とし(膝カックン)!振り向きざまに"ナニカ"の膝の裏に思いっきり蹴りを入れる。どんなに凄いヤツでも、構造はオレと同じ。どちらかの足に体重がかかれば膝に力が入らず膝がガクッと落ちる。


そこから立て直すまでおよそ1秒以下。

だがそれだけの時間があればオレなら十分この技を放てる。


緋の渾身拳(スカーレット・ロック)!!


決まった、とオレは直感で感じた。"ナニカ"が屋上ギリギリまでぶっ飛ぶ。ダメージがある、だがオレには少々気掛かりな点がある。アイツ、"ナニカ"が一度も反撃をしてこないことだ。ヤツの腰には刀がつけられている。だがヤツは一度も鞘を抜かない、それどころか刀に手をかけることもなかった。攻撃の意思がない?何故?今しがた人の首を斬ったヤツが?オレは熟考する。


"ナニカ"は考えていた。彼は目の前に立ち塞がる若者の顔をふと見る。この若者を見たことがある、見覚えがある。一体どこで?"ナニカ"は考える。()()()()()()()()()()()()()()。その全てを探り、遂に...


「いや、待て。お前は...あぁ、そうか...」


そうだ思い出した。この若者は...


1()3()()。」


と、同時に憐れむ。


「そうか、そうか。若き身でありながら、お前も世界に拒絶された身であるというのか。」


"ナニカ"は見つけた。そして理解した。

この若者は私の粛清の対象であると、この若者に向き合う事こそ、私の役目なのだと。

だから。


「で、あるならば、私もこの身を持ってお前に引導を渡すとしよう。」


彼は遂に鞘を抜く。これからこの若者を殺す。

ルミエルは構える。これからこの強者を倒す。


両者のボルテージが上がる。

・バッグをひったくられた女性

今日一日はずっと不憫。

今朝目覚ましが壊れ、何故か家の家電機器が全て使えなくなった。通勤の為に使おうとしていた電車も原因不明の故障により徒歩で会社まで行こうとしていたところカバンをひったくられ、ゼロ距離で首無し死体を見てしまった。

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