音速衝撃
俺の中のクールポコ「モンハンワイルズをやろうとして、PS5を持ってないから、諦めてSwitch対応のモンハンライズを買った男がいるんですよ〜」
俺の中のクールポコ「なぁにぃーー!!やっちまったなぁ!!」
フェザーピアスとは、羽を駆使して急上昇、その後オレの眼下に現れ、突きを最高速で顔面にお見舞いする技である。(と推測する。)
スクリュードライブとは、羽で体を包み、その後ゆっくり羽を広げながら高速回転することで半径約8mを攻撃する技である。(と推測する。)
スクリュードライブは回避自体可能だが、避けるだけでは勝負はつかない、というか多分あいつはこの技ではあまり体力を消費しない。ずっと回避だけしていればいずれオレは負けるだろう。
.......であるならば、オレがすべきなのは...
「フェザーピアス!」
来た!メランジェが空を飛ぶ。と同時に、オレも空へ跳ぶ。もちろんオレに飛行機能はついてない、ただジャンプしてメランジェの急上昇速度に追いついているだけ。だがメランジェにとってその事実は驚愕に値するものであった。
「は?」
オレは拳を構える。それに気づいたメランジェは即座に突き技を叩き込んだ。
「な...」
メランジェはさらに驚愕の顔を見せる。無理もない。最高速の突き技、その攻撃力は凄まじく、メランジェも突き技に関しては誰にも負けない自信があった。
それをオレは左腕一本でガードしてみせたのだから。
もちろん生身の状態でガードしたのでない。多分やったら骨は砕けるだろう。うぅ、想像しただけで鳥肌が....
仕組みは単純。左腕の血流速度を集中的に上昇させまくって左腕を硬化させたのだ、そもそもできるかどうかはギャンブルだったけど...
「賭けは俺の勝ちだ!」
メランジェにとって今の状態は窮地でしかなかった。自分が得意とする突き技が破られ、相手は拳を構えている。スクリュードライブを打とうにも片腕を抑えられ、とても旋回できる状態ではない。
メランジェは身構えた。が、ルミエルは攻撃せず、メランジェを踏み台にし素通りしていく。
(は?何考えてんだコイツ!?)
オレはコイツの土俵である空で勝った!次はオレの土俵で勝つ!今度は左腕だけではなく、全身の血流速度を上昇させ、天井に足をつけ、
一気に勢いをつける。
「音速衝撃!」
見事に命中。
自由落下エネルギー、血流加速による硬化、天井を踏み台にして突撃したことによる慣性、十年鍛え続けたオレの筋力によるパンチを一身に受け、メランジェは物凄い勢いで地面に叩きつけられた。
「よっしゃあ!!」
20分にわたる激闘はこうして幕を閉じた。
医務室。第十九試合を終え、メランジェとの戦いでできた傷をオレは白衣の少女に治してもらっていた。
「よし!これで治ったよ!」
「すっご...あざっす!」
というか前に傷が秒で治ってたのってこの白衣の少女の才能だったんだな、この才能があるからこそ2日間という短い期間で最長三十試合もできるんだろうな。
「いやー、悔しいなぁ。」
ネスが身体中に痣をつけて医務室へ入ってくる。そういえば、さっき白衣の少女が試合の勝敗を教えてくたんだっけ。いっちょ煽ってやるか....今までの仕返しだ。
「ネスくぅん、負けたんだってな。相手はあの魔法少女ちゃんだっけ?」
「魔法使ってくると思って遠距離警戒してたらゴリゴリの近接戦闘タイプだった...」
うわぁ、あのゴスロリツインテ巻き髪拳で殴ってくるタイプだったか、いや気づく訳ないだろ。それとも狙ってやってたのか?だとしたらだいぶ策士だな。.....いや俺たちが勝手に勘違いしただけか。
「ま、油断大敵だぜ、ネスくん。」
「お?何だやるか?」
おいそんな顔して見んなヨォ。煽れる時に煽っておいた方が楽しいだろ?
「まぁ何にせよ、オレの才能が対人でも十分通用することがわかったし、次の一戦も余裕だろ!」
そう思っていた時期がオレにもありました。
第4戦終了後。
「で、無様にボッコボコにされたと。」
「シンプルにスピードとパワーで負けてタコ殴りにされた...」
いやほんとにひどい試合だった。試合開始直後に一気に距離詰められて、一回も反撃出来なかった....
「まぁ油断大敵だな、ルミエルくん。」
「そういうお前だって...」
「リアムに氷漬けにされたくせに...」
オレの目の前には、第1戦の時のオレと同様、試合開始と同時にリアムに氷漬けにされ、解凍中のネスの姿があった。
「「・・・・・。」」
「アイツは格が違いすぎるんだ。」
うん、オレもそう思う。
本人を除いた受験者全員「え?あの子、魔法使わないんですか?.....近接戦闘タイプ?フッ、ご冗談を。」