第四章 齟齬(14) 妖精の国(5)
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シーナの体力が戻るのを一月待った。そしてその後アシュラ族の案内で彼女らの地の東奥に至った。
「思ったより荒れてるな。」
それがその地を見たディアスの第一声だった。
ディアス達八人の力だけではその土地の開墾は難しそうに思える。
「儂と一緒に行ってもらえぬか。」
ドリストが突然、ストラゴスに声を掛けた。
どこへとの問いに、妖精の森。とドリストは答えた。
「妖精の森・・この大陸の北東の内陸にあるらしい。」
「なぜ解る・・それにそこに行って何を・・・。」
「儂も精霊の端くれ、同じ妖族同士、気は感じる。」
「お前も解るのか。」
ストラゴスの問いにノルトンもまた頷く。
「そこに行って、妖精達の力を借り、村造りを手伝って貰う。」
「なぜ私が・・・」
「この世に在るのは人の世界だけではないことを知って貰う為じゃよ。」
「それを知ってどうなる。」
「あんたは“光の子”の闘いを知らない。故に“光の子”の存在も半信半疑じゃろうて。
そこであんたの知らない世界を見聞きして貰うことで、今後のあんたの生き方の参考にして貰う。」
そうか・・それも良かろう。
とストラゴスは頷いた。
二人は三月(みtsき)をかけカーター・ホフの森に着いた。ディーナ・シーには見咎められたが、ドリストの姿が彼らの警戒心を解いた。
そして妖精達の宮殿、そこで思わぬ者に遭遇した。
ワーロック、ルシール、それにティア。
ストラゴスはティアに初めて会った。思ったよりも弱々しい感じではあるが、その中に芯の強さを見たような気がし、それに強く打たれた。
そしてオベロンとの話。力仕事の出来るフェノゼリーを三人、建築の才を見せるピクトを五人、その他に下働きとしてボブゴブリン、ブラウニーなど二十人程度を貰い受けることになった。その見返りは、ストラゴスがディーナ・シーへの戦術の指南としてこの地に残ること、そしてドリストもまたティアの下に残ることとなった。
「連絡は・・・」
ストラゴスが不安げな声を上げる。
「儂の地脈を通して・・・」
「それは止めて貰おう。この地からの発信はしない・・ティアを守る為に。」
ワーロックはドリストの提案に待ったをかけ、
「連絡役としてハイ・ピクシーを付ける。」
と、その横からオベロンが言った。




