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第一章 戦後譚(2)

 再び玉座の大広間。

 「ラルゴはどうした。」

 広間に入ってきたハーディにアーサーが怒りを含んだ声をかけた。

 「昨日言っていたようにロンダニアの統治はハルーンに任せ、自分の道を行くそうだ。

 そのための準備を城外でしている。」

 ハーディは何事でもないように答えた。

 「貴公の仲間は勝手なことばかりしおる・・・」

 「お言葉ですが、アーサー王よ。昨日ラルゴが言ったように、我々は貴方のために戦ったのではない。ましてや決してあなたの家臣ではない。誰がどう行動しようと貴方にそれを止める権利はない。

 ただ、私に対する申し出、これは受けよう、但し、私が出す条件の下にだが。」

 「何だと。」

 アーサーの怒気がますます強くなる。

 「先だって貴方が仰ったように私はまずモアドスを治める。三年の期間を頂けば、戦に荒れ果てたモアドスをヘンリー王子が楽に統治できるようにしておく。」

 「その間、北はどうする。」

 アーサーの怒気が僅かに緩む。

 「ヘンリー王子に治めて貰う。」

 そのハーディの提案にアーサーの表情が苦みを帯びる。

 「ヘンリー王子ではまだまだ心配であることは解る。

 そこで、その間、我が配下リュビーを守り(もりやく)としてつけ、国の経営、軍の戦備を覚えて貰う。

 また、カルドキアの残党の虚実を図るためカルドキアの元部将ロブロをつける。

 武力の少なさはラルゴが残していく軍で補う。

 ここまでいかがですかな。」

 アーサーが納得したように肯く側から、

 「サナットだけは連れて行くぞ。」

 そこにヘンリーの声が響き、アーサーの唇が歪む。

 「それで結構でしょう。王子も股肱の一人は側に残したいでしょうから。」

 「ヘンリー・・羽目を外してはいかんぞ。」

 アーサーがヘンリーの狂喜を目と言葉で押さえる。

 その様子にハーディが目で笑いながら、

 「そこでもう一つ。」

 「まだあるのか。」

 「私をヘンリー王子の教育係に任じて貰う。王もおわかりと思うが王子はまだまだ甘いところがある。いずれは貴方の後を継がなければならないのにだ。

 そこで一ヶ月ずつ年に三回、私のところで政治、経済、軍事の教育を受けて貰う。頑張って貰わねば、将来貴方が亡くなった後にまたこの大陸が乱れる。

 いかがでしょうかな。」

 「良かろう、貴公の条件をのむ。

 皆の者、早速手配を整え、行動に移ってくれ。」


 ハーディは急ぎ城外へ出、ラルゴのテントに入った。

 「発つか・・ラルゴ。」

 「ああ、俺とデルフ、そしてその部下五百人ずつ。後は残していく。

 アインはロンダニアへ帰る。残りの俺とデルフの部下はお前のところで引き受けてくれ。」

 頷くハーディを追うかのようにリュビーが駆け込んでくる。

 「行くのか。」

 「ああ、お前ともお別れだ。俺の部下達をよろしく頼むぞ。」

 その言葉と共にラルゴは立ち上がった。


 「さて、後のことを考えるか。」

 ハーディは自分の部屋に呼んだリュビーに声をかけた。

 「私は旧ダミオスの総統府ニクスを再建し、カルドキアの残党を掃討する。動くであろうロゲニアに対してはガースとラックで押さえる。

 そこで貴方は・・・」

 「イーラスとグロックを連れて行き、モアドスの再建を行いながら、ハバレッタからそのモアドスを狙うであろうストランドスに備える。」

 「問題はヘンリー・・か。

 ロブロで抑えが効くかどうか。」

 ハーディの言葉の後をリュビーが継ぐ。

 「イーサンとシュルツをつけるにしてもですね。

 人が足りませんな・・貴方の所も北も・・・」

 リュビーが憂いを帯びた声を洩らした。


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