表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/83

第二章 新天地(12) 塔の美女(6)

 太い血管が浮き出た筋肉質の黄色い躰に爬虫類のような顔が乗り、躰の中央が緑。背中からは負うように巨大な鉤爪を生やした魔物。

 「デーバだ。その前に居る角を生やし長い鉄の爪を付けたのがダーエワ。」

説明を続けるアレンの後ろから両手に斧を持った一人の女がダーエワに斬り付けた。

 「私の名はアファリ・・アシュラ族の者・・助太刀する。」

 「武器は。」

 アレンが怒鳴る。

 「ルーンが刻まれた斧。」

 女は二本の斧を振り回した。

 強い・・あっと言う間にダーエワを一体葬り去った。

 「アシュラ族の者がなぜ・・・」

 ディアスが戦う女に疑問を投げかける。

 「見ていた・・お前達のことを・・・敵ではない。」

 「個人の判断か。」

 「難しい言葉・・解らない。」

 「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと片付けるぞ。ダーエワが来たと言うことは、塔の上に行ったのはシャイターン。階位はカワンチャと同程度。手こずっているはずだ。」

 アレンは怒鳴りながらデーバを目指した。

 多数のダーエワはディアス、シーナ、それにアシュラ族の女アファリが相手をする。

 「鵺は。」

 「その程度の数なら必要ない。お前の剣で一気に倒せ。」

 シーナの剣が雷光を放ち、それにうたれたたダーエワが数体黒焦げになり、そして塵へと返っていく。

 一方、アレンが相手するデーバは石壁を足場に飛び回り、硬い拳を突き出してくる。その一撃がアレンの頬をかすめた。

 「やるねぇ。」

 アレンがニヤリと笑う。

 もう一度、デーバの攻撃。その軌道にアレンが大振りのナイフを突き出した。だが・・

 「止まれるのか。」

 空中に停止したデーバの巨大な爪が伸びアレンの躰に傷を付ける。

 「いろんな技を見せてくれる。」

 飛び退きながらアレンはニヤニヤと笑っている。

 その躰に向けまたデーバの爪が伸びる。

 「攻めてるときが・・」

 アレンは背中の鬼切り丸を抜き打ちにはなった。

 「隙が出る。」

 その後にぼとっとデーバの首が落ち、これも塵へと返っていった。

 「階段の上。」

 シーナの声。

 「ネヴァンとカワンチャ、それにル・フェイに追われたシャイターンだ。」

 その敵にはディアスが挑んだ。右手にオートクレール、左手にグングニールを持ち、ユニコーンの背から次々と魔物を倒していく。 減っていくシャイターンの後ろから淡い光が追ってくる。それに捕らわれたシャイターンが凍り付いたように動かなくなる。それどころかその躰がどんどん縮んで行く。

 「封じました。」

 若い女の声。

 「もう魔力も妖力もありません。後は御勝手に。」

 淡い光に包まれた美女・・・その声が終わらぬうちにアファリの斧が小さくなったシャイターンを土に返していく。

 「そこまでしなくても・・・」

 シーナがそれを止めようとした。が、

 「村の者・・たくさん殺された。」

 アファリは全てのシャイターンを潰した。

 「さて約束通り俺はここまでだ。」

 アレンは鬼切り丸を鞘に収め意味ありげな眼でディアスを見る。

 はっとそれに気付きディアスがル・フェイを見つめていた眼をアレンに移す。

 「白魔術師が解放された今、ベレトは早々に逃げるだろうよ。

 ディアス、その魔術師をお前が造ろうって村に誘ったらどうだ。」

 アレンはもう一度意味ありげな目配せをした。

 「行くか。」

 そのアレンの手を握りノルトンが念を込める。

「何のつもりだよ。」

 アレンがその手をふりほどく。

 「そうかい、そうかい。」

 ノルトンは訳知りげに二度頷いた。

 「アシュラ族の地・・無事に通れるだろうよ。ベレトはほっといてもな。」

 アレンがニコと微笑む。

 「最後に一つ・・名前を聞かせてくれないか。」

 アレンはル・フェイの顔を見た。

 「カトリン・・カトリン・ル・フェイ。」

 既に身に纏った光を消した女が静かに言った。

 「カトリンか・・ディアスを宜しくな。」

 そう言ってアレンは一行から別れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ