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第二章 新天地(10) 塔の美女(4)

「人数が増えたようだな。」

 アレンが森の外を透かしてみる。

 「観察している、我等が何をするのかをな。」

 ノルトンも同じように森の外を見た。

 ついてくる幾つかの影を無視して先を急ぐ。 「さてあれだな。」

 三日の行程で、石造りの尖塔を見上げた。

 「どんな魔物が待っているか・・だな。」

 「楽しそうだな。」

 アレンの声にディアスが怪訝そうな顔をする。

 「楽しい・・って訳じゃ無いけどな。」

 「この間ウィンペとかを斃したときに何か言っていたな。

 その後弱い魔物を相手にするときもあまり手を貸そうとしない。」

 「お前達の訓練の為だよ。」

 「そうかな・・・」

 ディアスがアレンを睨む。

 「そんなに怖い顔をしなさんな。」

 アレンは笑ってそれをはぐらかした。

 「そんな事よりこれからどうするの。」

 シーナが険悪になりそうな二人の間に割って入る。

「一晩過ごし、明日の朝、塔を目指す。」

 アレンは浄化された土のドームを造るようノルトンに頼んだ。

 その夜、アレンはシーナとノルトンに知られぬようにしてディアスをドームの外に呼び出した。

 「何ごとだ。」

 ディアスの目が鋭い。

 「チッ・・・やっぱり疑っているのか。

 じゃあ、ここでやり合うか。」

 ディアスの眼の光が一層強くなる。

 「やり合えば、ついこの間までは確実に俺が勝てた・・お前がオートクレールを手にするまではな。

 グングニールでは俺の動きは追いきれず、かといってその他の武器は俺には通用しない。

 ではなぜオートクレールを譲ったと思う・・・」

 ディアスは言葉に詰まった。

 「お前の敵じゃぁないからだ。

 お前と俺・・やらなきゃぁならんことがある。

 邪神は斃れた。だが・・・まだこの世に在っては成らない魔物は存在する。それを倒す。

 それが俺達の仕事だ。

 邪神と戦い。生き残った俺達のな。」

 アレンを睨んでいたディアスの眼がフッと緩む。

 「それが斃れていった者達への義務だ。」

 「だからといって、魔物を倒すのを楽しむのか。」

 再びディアスがアレンの目を見据える。

 「楽しんじゃあいないよ。

 そう見えるかも知れんがな。」

 「そうとしか見えん。」

 「仕方ないかもな・・・

 悦びがあるのは確かだからな。」

 チッとディアスが舌打ちをし、

 「一緒には行けん。」

 と、吐き捨てた。

 「そうかもな・・お前とは目指すものが違うようだ。

 一緒に行くのもル・フェイを救うまで。と、俺も考えている。」

 「今でもいいぞ、別れるのは。」

 「それではお前達が困ろう。

 お前達が安住の地の手掛かりと成るものを掴むまでは一緒に行こう。」

 「フッ・・まぁ良かろう。それまでは力を借りよう。」


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