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第二章 新天地(7) 塔の美女(1)

「ここか。」

 黒とも言える程に緑一色の森の前でここまで案内してきた案内人(ガイド)にディアスが念を押した。

 「左様で・・・ここから先はご勘弁を・・・」

 「魔物がいるんだな。」

 ローコッドの問いに案内人(ガイド)が震えながら頷いた。

 「どんな魔物だ。」

 再びローコッドが尋ねる。

 「なんでもその姿は人。ですが頭は獅子の戦士とか・・・

 約束通り私はここで・・・」

 案内人(ガイド)は強硬に暇を請うた。

 「解った。約束はここまで。

 ただ、魔物の名だけは教えてくれ。」

 ローコッドは約束通りの報酬を渡した。

魔物の名はベレト。多くの部下を持つ地獄の大総統。

 「“召喚の指輪”で呼び出せる魔物の中でも上位。相当強いですよ。」

 ディアス達の頭の中に声が響く。

 誰だ。と、辺りを見回す。が誰も居ない。

 「私の名はル・フェイ、白魔道師です。」

「どこにいる。」

 辺りを見回すが誰も居ない。

 「あなた方の頭の中に話しかけています。」

 「なぜ姿を現さないのですか。」

 ローコッドが問いかける。

 「助けてください。ベレトに幽閉されています。」

 「どこに。」

 「森のずっと奥の岩山です。

 ・・・誰か来ます・・この会話もここまで・・また連絡します。」

 念話(テレパシー)・・ワーロックが使ったと同じ・・・

 「行きましょうか。」

 ディアスの困惑にかかわらず、ローコッドが歩を進める。

 その日中は何もなく夕刻にはテントを張った。が、日が落ち暗くなると辺りでガサゴソと音がし出した。

 「出たようですね、魔物が。」

 ローコッドが皆に注意を与える。

 辺りを照らす為にアレンは火鼠を呼び出した。その数、二十数匹。

 「増えましたね。」

 シーナがアレンに声を掛ける。

 「俺の中で増殖しやがった。」

 アレンはその声にニヤリと笑った。

 魔物達が大きくはあるが温度の低い黄色い炎に照らし出される。その姿は小さな子供達。手にナイフは持っている。が、その姿に戦意が削がれる。

 「油断しないでください。これがその悪霊ポルターガイストの手です。可憐な者の姿で戦意を削ぎ、そして殺す。

 人の子とは思わないことです。」

 また頭の中に声が響いた。

 「見えるのか。」

 アレンが怒鳴る。

 「貴方達の目を通して。」

 「どっちが悪者かな、お前とこの子達と。」

 アレンが懐疑の言葉を吐く。その側で、

 「斬りつけてきました。」

 シーナがヒラリと身を躱しながら注意を促した。

 「ポルターガイスト・・間違いないようじゃ。穢れて居るそうだ。」

 ドリストがノルトンの言葉を伝えた。

 「遠慮は要らんと言うことか。」

 言いながらアレンがクナイを投げる。と、それに貫かれた子供がボロボロに崩れ去った。

それを皮切りに十数分、二十体以上の魔物は全て消え去った。

 「ポルターガイスト・・実体化したのを初めて見た。」

 ディアスが声を発したドリストを振り向く。

 「悪霊ではあるが、姿はなく物を動かしたり、大きな音を立て、人を脅かすだけの騒霊。それが実体化するとは・・・

 気を付けんといかんようじゃの。」

 「階位(レヴェル)の高い魔物だってことか。」

 アレンが口を挟む。

 「そう思うてよかろうて・・となると通用するのは、アレンお前の力とディアスのグングニール。それにシーナの雷の剣。」

 「それに俺の魔術というところか。」

 ローコッドが口を挟む。

 「そういう所じゃろうな。

 残る者達は森を出たがよかろう。

 儂はル・フェイとやらの連絡役として一緒に行く。」

 「どうやって連絡をする気だ。」

 「地脈を使う。それにここは森、儂が必要に成るじゃろうて。」

 「ローコッド、あなたも森の外に残ってください。」

 突然ディアスが言い、ローコッドが怪訝そうな顔をした。

 「ここは私達が知らぬ土地、どこで何が起きるか解らない。」

 「解った。私はお前達の帰りを待っていよう。」

 「代わりにランシール、お前が来てくれ。」


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