表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/126

弐、茜の手紙、顛末

 茜の手紙。


 茜は日々の出来事を書き留めている。

 スマホもパソコンも無いこの異世界、羊用紙に今日もせっせとしたためている。


 お父さん、お母さん、ばあば、私がこの世界に来て半年が経ちました。

 じいじは相変わらず、なんとなく暁屋をやっています。

 そうそう、ケンジが暁屋の船頭になりました。

 良かった~って、そんなのじゃないのよ。

 前の会社でだいぶ辛い目にあっていたみたい、記憶も無くして・・・あ、私のこと分らなかったんだからっ!

 今は記憶戻っています。なんとなくショック療法みたいな感じで・・・大変だったみたい。

 暁屋に連れてきた時なんて、3日間も寝込んでいたんだから・・・まったくどういう会社なの、でも無事で良かった・・・って、違うもん、そういう意味じゃないの、なんだろうね腐れ縁って感じ。

 でも、アイツが船頭ねぇ、お堅い役所勤めタイプと思っていたけど、見どころあるじゃん。

 そうそう、どうも話を聞くと、ケンジは私より1年くらい前に、ここ(異世界)に来たみたい。そのせいか、すこーしだけ大人びているんだよねぇ・・・なんとなく。

 船頭の腕前は、あのユングって社長に相当鍛えられたみたい、私が「文句のひとつくらい言ったら」って言うと、「いや、まあ、ここでこうやって職にありつけてるんだから、いいんじゃね」だって、アイツもじぃじに似てお人好しだねぇ。


 で、ケンジが勤めていた大柳屋っていう舟会社は店じまいしました。

 いろいろ大変だったみたい、じぃじがいろいろ動いて、あとの世話を焼いていたみたい。

「昔の部下の尻ぬぐいぐらいしなきゃな」

 なんて言っていたけど・・・ふふふ、相変わらず優しいじぃじなのです。

 

 相変わらず暁屋の仕事は忙しいです。

 大柳がなくなった分のしわ寄せがきそうだしね。

 私は常にトップバッター(最初の舟)よ。

 ケンジが本調子に戻ったら、この座を譲ってやろうかしら(笑)。

 周りのみんな(船頭)も・・・まあ、いい人たちばかりなので心配しないでね。

 今は離れているけど、きっと戻れるそう信じています。

 みんなで戻ったら、柳川のうなぎ食べに行こうね。

 また手紙書くね。かしこ。

 

 茜はそっと筆を置いて、両腕を伸ばした。

「んー、さっ寝るか」

 ベッドに潜り込むと茜は燭台の灯りを消した。



 顛末をフォローす(笑)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ