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漆、黄昏の掘割の奥、船頭達は伝説の妖怪キャッパを見た!!

 水スぺ懐かしいなあ~。


 一郎の操船する舟は掘割の奥へ奥へと進んでいる。

ヤナガー王ベルガモットから依頼を受け、キャッパの出現ポイントまで向かっているのだ。

 暁屋とは異なる仕事内容である。一郎は秘密裡に事を運ぶため、少数精鋭のパーティでミッションにあたることにした。

 その舟の中には、フィーネとギルモアが乗っている。

「で、そのキャッパを見つけたら、やっちまっていいのか」

 ギルモアは、ぶっきらぼうに言う。

「どうなんだろうな。時と場合ってことだ」

 一郎は答えた。

「捕獲して、見世物なんてどう?」

 フィーネは言った。

「このコンプラのご時世、そんなのは受けんだろ」

 彼は答えた。

「ふん!そんなまどろっこしいことはせず、叩きのめせばいいんだよ」

 ギルモアは吐き捨てた。

「それもどうかと思うぞ・・・さてと、このあたりと思うんだが、フィーネ」

「はいよ」

 フィーネは地図を広げた。


 夕暮れ時、辺りは深い木々に覆われ鬱蒼としていて視界が悪い。

 ギルモアが斧を振り回し、草木をかき分けて少しずつ進んでいる。

「外堀の離れの掘割でしょ。ちょっと分かりずらいな。目印の大きな柳の木・・・あ」

「でやっ!」

 と、ドアーフの振り下ろした斧が視界を遮る蔓を切ると、目の前に柳の木が現れた。

「これか」

 一郎は竿を持つ手を緩める。

「・・・多分」

 フィーネは頷いた。

「調べてみよう」

 一郎は岸辺の手頃な木に舟をロープで係留する。

一行は調査のため陸へとあがった。


「キャッパってさあ、水の中に住んでいるんじゃないの」

 フィーネは柳の木を調べながら言った。

「まあな、ワシもそう思うが、なんせ出没の手がかかりがその柳の付近ということだし、カッパが川や水の中に住んでいるってのは、ひょっとしたら先入観かもしれんからな」

 一郎は柳を見上げながら返した。

「ふん、どうでもいい」

 ギルモアが悪態をつき、何気に舟の方を振り返った瞬間、頭に皿を持ち全身が魚の鱗に覆われた黒眼のキャッパと目があった。


 暁屋社員たちは、掘割の奥深くに、伝説の妖怪キャッパをついに発見した!

「いっ、いたっ!」

一郎は指さす。

 キャッパは今にも舟に乗ろうとしていた。

「野郎!」

 ギルモアは斧を振りかざし、猪突猛進をする。

 フィーネは駆けだし、一郎は黄金槍を身構える。

「!」

 キャッパは驚き、水中へと潜った。

「くそっ!見失うぞ!」

 ギルモアは舌打ちをする。

「逃がさない竜神乃竜巻!」

 フィーネが両手をかざすと、キャッパが潜った場所から、突如竜巻が起こり、妖怪を浮上させる。

「よし、捕獲だ」

 一郎は、竿(槍)をキャッパ目掛けて突く。

「ギッ!」

 妖怪は、素早い身のこなしで反り返り、一撃を避けると、竜巻から逃れ地上へ降り、大木の柳の中へと消えていった。

「追うぞ」

「おう」

「ええ」

 3人はキャッパを追いかけ柳の中へ。




 キャッパを追いかけて。

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