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第四章 たまには異世界生活らしいこともしてみんしゃい 壱、報告

 茜、新コースの説明をする。

 

 社長室には白い煙がゆらり、コーヒーの香りが漂う。

 一郎は茜から新コースについてのひとしきり説明を受けた。


 彼は話が終わると開口一番、

「そうか、やっぱりな」

 と、頷いた。

「で、じいじはどう思うの」

 茜は尋ねる。

「お前はどう思う?」

 一郎は返す。

「私は・・・今は・・・うーん」

 彼女は口をくぐもらせる。

「船頭達の技量か・・・」

 彼は率直に言った。

「凄く魅力的なコースだと思うけど、お客さんを乗せての運航だと、私も操船は怖い気がする」

 彼女は姉妹を乗せて、操船したことを頭で思い浮かべる。

「そうか」

「中道は狭いし、外堀より狭いクランクと、水門を開けた時の水流が強すぎるわ・・・それに時間が」

「1時間ちょっとだったか」

「うん」

「じゃ連中は、もっとかかるな・・・1時間以上の乗船はしんどいな・・・ふむ」

 一郎は頷き、冷めつつあるコーヒーを一口飲む。

「保留かな」

 ことりカップを置いた。

「そうね」

 茜は静かに頷いた。


 一郎は話はここまでとパンと柏手を打つと、ずずずとコーヒーを一気に啜った。

「だが、いずれは」

 茜は、スプーンでコーヒーを掻きまわし、ふーふーと息を吹きかけカップに口をつける。

「やってみたいね」

 彼は頷き、

「ああ」

 

 2人はしばらく無言で窓の外を眺める。

 ふと思いたった茜が、

「ところで、じいじ」

 一郎に尋ねる。

「ん?」

「怪我は?」

「そろそろいいかな」

 一郎は両手をブラブラさせた。

「やった、それじゃあ・・・」

 茜は喜ぶも、

「でも、お客さんは増えとる。実はな、場合によってはお客さんに断りを言うとることもあった。それはもう無しにしたい・・・なんで、茜の仕事量は、ほぼほぼ変わらんよ」

 一郎は即座に現状を伝えた。

「ちぇっ・・・そうか」

 茜はアテが外れたが、思いあたる節もあったので渋い顔をする。

「まあまあ」

 一郎は宥める。

「ワシも船頭としてお前をサポートするてぞ」

 サムアップする。

「じいじが大将でしょうがっ!」

 茜がツッコミを入れる。

「あっ、そうじゃった。いっけね」

 一郎は茜にてへぺろしてみせた。


 保留っ。

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