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参、サンセットクルージング

 夕方の情景。

 

 夕方17時を過ぎると、川下りの営業舟は、川やお堀には、ほぼいなくなる。

 盛夏から秋にかけて、柳川は灯り舟という納涼船があるが、梅雨明けの時期、夕暮れ時は静かである。

 茜は今日一日の鬱屈とした気持ちを晴らそうと、舟を漕ぎだした。

 誰もいない川を進む。

 レガネット(スーパー)で買い出しを済ませた健司は、二つ川ぞいの柳並木の歩道を歩く。

 夕陽に二ツ川がオレンジ色に染まり、柳川橋から舟が見える。

デッキの上に立ち竿を挿す、茜のシルエットが眩しく見えた。

「おーい」

 健司は歩道から手を振る。

 彼女はそれに気づき、手を振り返す。


 茜は竿を右斜め奥に差し込み、しならせると舵を左に切る。

 すーうっと舟は、すべるように進行方向をかえ、歩道ぞいに近づく。

 健司はガードレールを乗り越えると、舟が近づくのを待つ。

 ゆっくり舟は護岸に近づくと、

「とぅ!」

 彼は、およそ1mの上から舟に飛び乗った。

 その衝撃でどんこ舟ぬは揺れる。

「おっとっと!」

 茜は、一瞬ふらつくも、竿を水底に強く刺し込みバランスを保った。

「もうちょっと、優しく乗りなさいよ」

「ごめん」

 健司はすまなさそうに片手をあげた。


「ほい」

 茜はポケットから100円缶コーヒーを取り出し、健司に投げた。

「おう、ありがと。こっちも、あとで食べようぜ」

 彼は、スーパーの袋を持ってみせた。

「さんきゅ」

 彼女は礼を言うと、舟を進める。


「さあいくわよ」

「ああ」

 茜色に染まる二ツ川を、一隻の舟はスピードをあげ進んだ。

 それから、城堀水門橋を望むと、右にドリフトしながら狭い橋をくぐり長さ15mの橋わくぐった。

「茜、すげえな」

「お客さん乗せている時は、もっとゆっくり安全第一だけど、今日はアンタだから」

「・・・さよけ・・・って!」

 舟は橋を過ぎ、かつての城下町だったお堀の中へと進む。



 川から掘割へ。

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