拾弐、包囲網を打ち破れ
戦艦暁の危機。
熱圏を抜け、ついに戦艦暁は宇宙へ。
安定航行へと移る。
「暁、無事安定軌道に乗ったわ」
桜が報告をあげる。
一同に安堵の声があがった。
「フィーネ」
一郎はフィーネを見た。こくりと頷く彼女は、皆に告げる。
「このまま1時間、軌道に乗ったまま進みます。そこからワープで一気に魔王の元へ」
「分かった。では、目的の座標到着まで各人、休憩を・・・」
「待って!」
一郎の話を遮り茜は大声をあげ続けて、
「敵襲!」
叫んだ。
「なにぃ!」
「モニター開くわ」
桜はそう言うと、艦橋の巨大モニター一面に魔物たちが映し出された。
「・・・これは」
絶句する一郎。
「宇宙船型魔物スペース・モンスターシップ」
フィーネはモニターを睨み言った。
「まんまじゃん」
とツッコむ茜。
「怪物船接触まで、あと1分」
バリーは冷静に報告する。
「このままでは激突するぞっ」
ギルモアは眉間に皴を寄せる。
一郎は右手をかざし、指示をだす。
「ケンジ面舵を45度で敵襲を避けろ。ギルモア、アルバートはただちに応戦、バリーは敵襲回避後、魔王の場所を再計算、桜、茜は引き続き敵の動向を監視」
「了解っ!」
「フィーネ勝算はあるんだな」
「勿論」
「ふふ、それだけ聞ければ十分だ」
「社長、暁45度回頭っ」
暁はタイミングよく、特攻する怪物船の真横につけた。
「一斉斉射だ。てーっ!」
大破する敵船しかし、多勢に無勢で焼け石に水であった。
「暁、最大船速、敵の真裏に潜り込め」
「はい」
ケンジは舵を操り、暁を即座に下降させる。
「神の力、神速の力を持つ戦艦暁を舐めるなよ」
バリーはモニターを睨み呟いた。
「今だっ!敵のどてっ腹を叩け。主砲暁発射っ!」
「おりゃ!」
怪物船のガラ空きの真下を主砲が射抜く。
光の線が敵を真っ二つに分断する。
「敵、左右に別れたわっ!」
桜が報告する。
「よしっ!ただちに浮上、空いたスペースに入り込めっ」
「じぃじっ!そんなことしたら挟み撃ちに」
茜は驚き下策を叫ぶ。
「かまわん。ケンジ、直上しろ」
「はいっ!」
上昇後、暁は敵の両側に囲まれることとなる。
「なにやってんの!」
アルバートは叫ぶ。
「万事休すか」
ギルモアは照銃を殴りつけた。
「囲まれたわ。敵進撃開始っ!」
桜は事実を伝える。
「接触まで30秒」
バリーの声は震える。
「まだだっ、まだ」
「10、9、8・・・」
破滅へのカウントダウンがはじまる。
「今だっ!暁再浮上。神速を持って敵を振り切れ」
「よっしゃ!」
ケンジは舵を上へときる。
寸前で敵の攻撃を回避し、敵同士がぶつかり壮絶な同士討ちとなる。
皆が歓喜の声をあげる。
「魔王城測定しました」
「よしっ!ワープだ」
「暁、ワープに入ります」
危機一髪、敵の攻撃を振り切った暁は、宇宙空間のひずみへと入った。
回避っ。




