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弐、ナギの元へ向かえ

 急げや急げ。


 大海に漂う小舟。

 空に消えない文字が、ただ事ではないことを物語っている。

 船に乗り合わせていた神たちは、囁きながら肩をすくめ、天上へと昇っていった。

 一人取り残された一郎は、いい知れない不安を感じた。

(暁屋へ戻るか)

 舟を反転させようと、竿を持ち上げた瞬間、


「一郎っ!」


「サルタヒコ」


 突如、空から走り現れたサルタヒコが舟に飛び乗った。


「全速力じゃ」


「なにが?」


「とにかく、必死のバッチで、あっちに舟を進めるのじゃっ!」


 旅神は地平線の先を指さす。


「なんか知らんが、分かった」


 一郎は、竿を抜きさすピッチを最大限に早め、舟を進める。

 波を蹴り、舟は飛沫をあげ全速前進する。


「急げ、急げっ」


 サルタヒコは独り言のように念じ呟く。


「やっぱり、なんかあったのか?」


 一郎は神に尋ねる。


「一郎、お前は舟を進める事だけに集中しろ」


「・・・わかった」


「この世界を揺るがす。一大事じゃ、お前の竿にかかっとる」


「え?」


「いいから漕いで漕ぎまくれ」


 サルタヒコは先頭のデッキにあぐらをかいて座り彼方を見つめた。




 大海原を切り裂く一陣の風・・・いや、小舟が爆速で白波をたてる。

 目の前に巨大な海蛇が現れた。


「おいっ!サルタヒコ、ヘビ、ヘビっ!」


「竿を緩めるなよ。御業轟雷招来っ!」


 サルタヒコは雷を海蛇の手前に落とす。

 怯む大蛇。


「跳べっ!」


「どうやって!」


「念じろ」


 一郎が念じ、竿をひとさしすると、舟は波に乗り上げ弧を描き、大蛇を飛び越えてた。


「やった!」


 一郎が叫ぶ。


「進め、進め、進め」


 サルタヒコは邁進を要求する。


 続いて、大蛸が・・・。

 さらに、巨大ザメが・・・。

 幽霊船が・・・。

「おりゃー」

「どっせいっ!」

 悉く襲いかかる災難を乗り越え、一郎とサルタヒコはナギの住む場所へと辿り着いた。



 ナギの住まいへ。

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