斜陽
高校への入学から程なくして、自分の中で張り詰めていたものが切れたような感覚があった。
周りと同じかどうかを気にして、ただただ焦燥と安堵を繰り返していた中学時代。高校でも似たような関係性を築いていくのかと思い、嫌になってしまっていた。
ほとんど人とつるまなくなった学校生活。
とても楽で居心地が良いが、少しもの足りず、どこか不安を感じていた。
学校からの帰り道。
夕暮れ時、広大な田園のそばの道をひとり自転車で走っていた。
ふと周りを眺めると、自分の体や自転車、あぜ道やガードレール、遠くに見える街並み、天高く膨らんだ入道雲を、地平線に沈みゆく夕陽が、皆一様に茜色へ染めていた。
それを見た私は、なぜだか無性に嬉しくなった。