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奇妙な結婚  作者: ピタピタ子
9/11

危機

部屋は暗くて何も見えなかった。俺とピタ子は手を縛られて自由に動けない状態だった。しばらくするとある一人の男が部屋に入ってきた。電気がついても薄暗い感じの部屋だった。

俺達を監禁した男は仮面で顔を隠していた。正体は誰だか分からない。

「おい、早くここから出せ。何様のつもりなんだ。こんなことしたらただじゃすまないぞ。」 

「どうしてなの?」

ピタ子は今自分が置かれている状態に動揺していた。いきなり知らない人に監禁されればまあ無理もない。

「私達が何をしたって言うの?何だこんなことするの?」

「黙れ。」

ピタ子は大声で怒鳴られて泣きそうだった。

「十分許せない理由はあるよ。お前たちを見たらなおさらな。」

しばらく、男は何も喋らなかった。俺達もあまりにも喋らないから自然と喋ることも出来なかった。

「黙ってないで、答えろ。誰なんだ?」

「さあ誰だろうね?知ってどうすんだ?今のお前らには何も出来ないだろ。」

男は何も答えようとしなかった。


「何でそうしたか知りたいか?お前たちが幸せにのうのうと生きてるのが気にくわないんだ。」

「でも私達は何もしてない。」


男はこれまで何が起きたか話しはじめた。

「俺には死神の恋人がいたんだ。彼女はレアって言うんだ。付き合っていた時は幸せだった。今のお前らみたいにな。」

その男がレアと付き合いはじめたのは7年前の話だった。あるパーティーで彼女に一目惚れし、何度もアプローチしてきた。次第に二人の仲は縮まり、付き合うことになった。彼女が死神だろうと何だろうと、彼女のことを愛していた。付き合ってすぐに同棲をはじめた。最初はもうそれはラブラブそのものだった。毎日毎日が楽しくて充実していた。しかしある時からレアはその男に凄い冷たくそっけない態度になった。レアは外にばかりいて中々家にいることも少なく、二人で過ごす時間はあまり無かった。それでも彼は彼女を愛し続けた。

「俺はある時彼女にプロポーズしたんだ。でも彼女は他の男ともう乗り換えていた。おまけに俺はようがなく、つきまとわれたくないから寿命をかなり短くさせられたんだ。寿命が少ないならもう生きてても仕方ないだろ?だけどお前らみたいに幸せそうな死神と人間の夫婦が一番ぶち壊したくなる。寿命があるなら他の死神を略奪しようかと思ってた。だけどそれも出来ない。」

「それで俺達に何をする気だ?閉じ込めて餓死させて殺すのか?」

「そんなことしないよ。」

「何でなんだよ。」

男はずるずると話を長くする。また男は黙りだした。凄い胸騒ぎがして、部屋は相変わらず肌寒い。


しばらくすると妙な物を男は持ってきた。時限爆弾のようなものだった。

「これはただの爆弾ではない。人間だけじゃなく、死神も灰も残らずに抹消できる爆弾だ。これを使えば思い残すこともない。俺も消えて、お前らも、この地球上の皆も消えることになる。そうしたら誰も追求しないだろ。」

「私達も他の人達もこの問題には関係ない?何であなたはそんなに他の人達の人生を壊したがるの?ねえ、どうして?」

「落ち着くんだ、ピタ子。」

ピタ子は軽いにパニックになっていた。

「これ以上話すともっと逆恨みするかもしれないぞ。とにかくきっと止められる方法がある。」

男は後ろを向いていた。

俺達は男に聞こえないように小声で話し合った。

「確かにこの爆弾は爆発するが、世界全体が消えてなくなるのは流石に脅しだ。少なくとも俺達とパリにいる人達が危ない。」

「この爆弾を止める方法はあるの?」

「今、死神の俺なりに解決策を探してる。」

俺は色々考えた。考えてる間にも爆発する時間はせまって来た。

「あと5分で爆発しちゃうわ。早く!」

「分かってるよ。」

「ねえ、爆弾の止め方あなた分かってるんでしょ?教えなさいよ。」

男に呼びかけたがピタ子は黙ったままだった。俺達は縛られていて身動きが取れなかった。


その頃妹とコタツネコは二人で話していた。

「なあ、ピタ子達見なかった?」

「見てないよ。ルイの所のパーティーに行くとは言ってたよ。」

コタツネコはまるで今俺達が置かれている状況を察してるような感じだった。

「そう言えば、私お兄ちゃんにメール送ったけど全然既読つかないの?飲みすぎてるのかしら?でも私達死神はお酒飲んでも酔っ払わないか。」

死神にはお酒の年齢制限がない。

「何か分からないけど嫌な予感がするな。」

コタツネコは俺達を心配していた。


爆発するまで残り4分になった。

「ヤバい、もうすぐで爆発しちゃうよ。」

「落ち着け。何とかするから。」

パニックになるピタ子とは反対に、俺は冷静だった。気がつくと時間は3分にまで迫った。段々とピタ子の呼吸が荒くなっていく。

「おい、お前ギヨームなんだろ?」

男は仮面を外した。やっぱりそこにいたのはギヨームだった。

「そうだよ。」

ギヨームは複雑な表情を顔に浮かべていた。暗くても声は立ちふるまいで俺は見抜いた。気がつくと時間は2分にまで迫ってしまった。

「ギヨーム、教えてくれ。この爆弾不思議な力を使ってるんだろ?どうやって爆発を止めるんだ?」

ギヨームは悲しそうな顔を浮かべて話した。

「この爆弾を止めるにはどちらが初めて知り合ってから今までの記憶を消すのが条件だ。記憶を消す方はその赤いボタンを押せ。」

俺と付き合っていた記憶、もしくはピタ子と付き合っていた記憶がすべて消える。他の記憶は残る。

俺達は究極は選択をさせられるのであった。

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