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奇妙な結婚  作者: ピタピタ子
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人助け

朝新聞を読むと、死神を使ったテロ組織によるテロが起きたことが大きく書かれていた。日本中がかなり揺れ動いた。あるサッカー場やバーやクラブで集団的な不審死が起きた。中々大胆なことをする死神もいるんもんだ。ただ一番恐ろしいのはそれを促した人間だ。

テロの首謀者はすぐに特定され死神警察により逮捕された。そのような死神のいるテロ組織は色んな国に潜んでいる。死神と人間の区別がつかない為、緊張感が走った。街頭では職質などが厳しくなった。監視の目が強くなり、街を歩くのも一苦労だ。死神を追放する運動もところどころ見られる。しかし俺は何もなかったかのような素振りをしたりした。

俺の会社では死神の不当な差別を禁止してるため、仕事を辞めさられることはなかった。


「おい、大丈夫か?」

コタツネコは心配した感じだった。

「ああ、大丈夫さ。俺はあんな奴らとは違うぞ。安心しろ。」

「そう言うことじゃなくて、身の危険とかは大丈夫なのか?」

「それも大丈夫だ。変な奴は道にいたりするが、俺からしたらどうでもいいし、そんなことで死神の能力は使わない。」

何か罪を犯した死神は二度と人間界に戻ることは出来ない。たとえ俺みたいに配偶者がいようと、冤罪だろうと。


ある日、そんなことも不安になったり、気に止めることなく、俺はふらふらと外で飲んでいた。そうしたらピタ子が目の前にいてどこかに向かって走っていた。彼女はどこか焦っているかのような感じだった。おそるおそる見に行くと、いつの間にか姿がなくなっていた。

家に帰るとピタ子は家にいて、コタツネコと楽しそうに話していた。

「おかえり。」

「ただいま。なあ、ピタ子外で何してたんだ?さっきお茶屋の通りで見かけたんだけど本当に何してたんだ?何か隠してないか?」

「え?私、ずっと家にいたし、今夜は外には出てないわ。何、私のことを疑ってるの?」

「ピタ子は確かにずっと家にいた。外にも出てないぞ。」

ピタ子はさっきとは大違いですごい笑顔だった。别人のように。

「もしかして、ドッペルゲンガー?」

「ドッペルゲンガーって魂が勝手に離脱している状態よね。そんなこと本当にあるか私は分からないわ。」

ピタ子のドッペルゲンガーがいるのではないか俺は疑いはじめた。

「でもその時見た私って、すごい焦った感じだったんだよね?ドッペルゲンガーは無気力で無表情で誰にも話さないのが特徴って聞いたことある。多分、それはドッペルゲンガーでもない人違いじゃないの?」 

あのとき見たのは確かにピタ子だった。あの時のピタ子は果たして何者だったんだろうか?


一週間して道を歩いてたら、相変わらず俺に嫌がらせをする奴がいた。 

「この国から出てけ、死神野郎。」

その男は耳元でそんなことを言った。だが俺には痛くもかゆくもなかった。俺は死神の中でもメンタルが強い。

歩いていくうちに80代くらいの女性が道に迷っていた。

「すみません。おばあさん、道に迷っておりますか?」

「恥ずかしながら道に迷ってるんじゃ。どこに行けば良いか分からないんじゃよ。」

「おばあさん、どこから来たんですか?」

「それはここより遠い遠い町さ。もとに戻れるかも分からない。」

おばあさんは年の割には杖もついていなかった。すごいタフな人だろう。

「おばあさんはどうしてここに迷い込んだんだ?」 

「さあ、分からん。気がついたら、ここにいたんだ。」

おばあさんはおそらく認知症なのだろうか。

「私は若い頃は付き合っては別れてを繰り返してたんじゃ。中々上手く続かなかったんだ。」

「そうだったんですね。」

いきなりおばあさんは自分の若い頃の話をしてきた。

「私はね、男を見る目がなかったんじゃ。でもそんなのにまさか、旦那が出来るだなんて思ってもなかったんじゃ。」

「今は旦那さんと暮らしてるんですか?」

「あの人は1年前にあの世に行っちまったよ。私をおいて行ってしまうなんてって葬式の時は思ったよ。でもな、今は残りわずかの自分一人の時間を大切にしようと思うんだ。」

おばあさんは旦那さんが他界してしまったことにもうみねんがないような感じだった。しかし旦那さんと過ごした時間は大変な時間も楽しい時間もあったのだろう。

「そう言えば、ある男が私に言ったんじゃよ。本屋に来るようにとな。」

おばあさんの話はころころと変わる。

「最近色んな本を読み終わったんじゃ。だから新しい本を買いに本屋に行きたいな。」

おばあさんは道に迷ったこともどうでもいいかのように、本を読みたがっていた。

「本屋なら俺が案内しますよ。」

「ありがとう。助かるな。」

「そう言えば、お前さんは結婚してるのか?」

「はい、妻は美しくてどこか言葉で現せない魅力のある女性です。」 

「良かったな。私の若い頃なんて結婚に希望なんてなかったからな。」 

「今もそう言う人多いですよ。」

おばあさんと話しているうちに本屋についた。しかしそこの本屋はピタ子とこの前行った奇妙なジジイのいる本屋だった。他にも本屋があるのに何故かこの本屋にたどり着いてしまった。まるで吸い寄せられたかのようだった。俺はおばあさんと引き返そうとした。

「ここの本屋、良いな。お前さんありがとうな。」

おばあさんはニコニコしながら手を振って本屋に入った。

あれ以来あのおばあさんを見ることはなかった。あのおばあさんに何が起きたのかは誰にも分からない。 


家に帰ると、誰もいなかった。

「ただいま。いるなら出てくれ。」

俺が進もうとすると、いきなり電気がついた。

「お誕生日おめでとう!健一!!」

「なんだよ。おどかすなよ。でもありがとうな。」

ピタ子とコタツネコは俺にサプライズをした。

「誰かに誕生日祝われたの初めてだな。死神は誕生日を祝うことしないからな。」

「そうなのね!それは知らなかったわ。」

初めて誕生日を祝われたのは驚いたが、嬉しく思った。今日も特別な日なのだろう。

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