手紙
最終話です。
私はピタ子。5歳の女の子。とは言っても私のことを周りは男の子扱いしてくる。男の子として生まれてしまったから。違和感を感じる。もうすぐ幼稚園を卒園して、小学生になる。
卒園式の日、私は誰に宛てた手紙かも分からず、手紙の封を開けて読んだ。
「何これ?読んでみたいけど、全然読めない。」
私は大人の人に代わりに読んで貰った。お姉さんは手紙をおそるおそる読んだ。
「どれどれ?異世界の私へ。あなたは結婚してますか?その相手はどんな方ですか?あなたは今幸せですか?私は今5歳年上の彼氏がいます。彼は清潔感あって、スポーツが得意な男性です。いつか彼からのプロポーズを待ってます。」
5歳の私には何のことなのかさっぱり分からなかった。でも結婚してみたいなと思ったのだ。
「ねえ、みんな聞いて!私大きくなったら健治君と結婚するの!」
健治君はあまり分かってなかった。周りの女の子達は私を見て笑っていた。
小学校を入学する前、健治君のことをママから聞いた。
「健治君、お父さんの転勤でアメリカ行っちゃうのよ。もう会えないよね。」
私は部屋で泣いていた。
ある日、私はお母さんとお父さんに本屋に連れてかれた。本屋はあまり人が入ってなかった。
「君、どこかで見たことあるよ。どこだったかな?」
「おじさん、誰?」
「ただの本屋だよ。」
私は本屋で猫の絵本を買ってもらって、家に帰った。あの本屋はもうどこにも無かった。




