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奇妙な結婚  作者: ピタピタ子
10/11

決断

俺達は爆弾を止めるのにどっちが記憶を消すか迫られた。

「ピタ子、お前が記憶を消せ。」

「何で?そんなこと出来ないよ。今まで過ごした時間はなかったことになるの?健一が記憶を消してよ。」

「夫からの最後のお願いだ。お前が記憶を消せ。分かったなら、ボタンを押せ。」

「分かったわ。」

俺は俺のためにピタ子が苦しむ姿を想像したく無かった。俺が心に残り続けていく彼女を想像したく無かった。死神ながら彼女を俺は愛している。俺の命令を聞き、ピタ子は泣きながらものすごい勢いでボタンを押した。その瞬間ピタ子が俺と初めて知り合った時からの記憶が全て無くなった。

「爆発は止まった。」

「そうだな。」

ギヨームは俺達に近づいて、紐を解いた。ピタ子は俺となりで気絶して眠っていた。

「お前の妻はもう記憶はない。言わなかったが自動的に離婚になるし、彼女の両親や親戚たちの記憶にもお前を抹消した。3日間ずっと寝ている状態になる。」


俺はギヨームの寿命を元に戻した。寿命を長くは出来ないが元に戻すのは簡単だ。そしたら、ギヨームは自ら自首した。


寝たきりのピタ子を抱えてホテルに帰って、皆に事情を話した。

「くれぐれも彼女に俺とのことを話さないでください。」

ピタ子の両親の記憶の中にも俺は消えていたので、呆然としていた。


俺達は皆無事帰国した。ピタ子はしばらくある草原で休んでいた。起きるタイミングを見はからってコタツネコがピタ子をある草原まで運んだ。

「おい、起きろ。」

「あれ?ここは何で私草原なんかにいるの?」

「ピタ子、無事で良かった。」

コタツネコは起きるピタ子を見て抱きついた。

「生きてるから、大丈夫よ。それにしても私こんな所で何してたの?」

コタツネコは少し複雑な顔をした。

「ずっと悪い夢にうなされてたよ。」

「どんな夢?」

「さあどんな夢かな?」

「えっ?何それ。」

ピタ子は笑いだした。コタツネコもつられて一緒に笑った。彼女は本当に悪い夢から冷めたんだ。


しばらくするとピタ子には勇斗と言う彼氏が出来た。完全に俺は彼女の中にはいない。まるで元々いなかったかのように。付き合いたては凄い彼女は浮かれていた。しばらくすると彼は彼女のことをあまり興味なそうな感じだった。

「ねえ、勇斗。こんな所に呼び出して、何?」

ピタ子が呼び出された所はイルミネーションが綺麗な所だった。

「お前に話さないといけないことがあるんだ。」

「何?そんなに重大な報告?」

「ああ。」

イルミネーションが点滅しだした。

「俺達、もう別れよう。」

「何で?」

「もうお前のこと愛してない。興味が無くなったんだ。」

「えっ、今なんて?」

ピタ子は動揺していた。

「だからお前のこともう愛してない。別れよう。他に付き合ってる女の子いるんだ。」

彼女はひたすら彼の言葉に呆然としていた。

「何でよ。」

彼女は動揺で突然泣き出した。

「ごめん、そんなつもりなかったんだ。」

彼は携帯を出して、新しく乗り換えた相手との写真を見せた。ピタ子はもっと泣き出した。

「いつからなの?」

「3か月前から。」

「いつから私に興味なくなったの?」

「半年前から。」

「そう。勇斗、もう私は必要ないのね?」

「ああ、すまなかった。」

外の空気は結構冷たかった。

「じゃあね、勇斗。」

「じゃあな、ピタ子。」

ピタ子は前に進んでは振り向いてる勇斗を見た。彼女は涙を流していた。振り向く余裕もなくなった。彼女の涙は外を照らすイルミネーションのごとく空中を舞った。涙や悲しみが彼女の肌をはっきりと見せた。

勇斗と彼女の交際はあっけなく終わった。次の日彼女は悲しみにくれながらも、どこかスッキリした顔をしていた。

「きっと今日も良い事あるよね。」


あの出来事から2年後、俺には婚約者が出来た。彼女は美奈だ。おじいちゃんがイタリア人のクウォーターだ。

「ねえ、もうすぐで着陸するから新婚旅行はじまるね。勇一」

俺は勇一と言う名前がつけられた。その時は何人か既に死神と人間の夫婦は既にいた。最初の夫婦は今はいないあの夫婦だ。

「これから乗り換えだからな。」

「分かってるよ。でも先に軽食取ろう。」

俺達は空港から直結のTGVに乗った。行き先はストラスブールだ。

「やっと着いたね。初めてのフランスだわ。」

美奈は凄い感激していた。

俺達はストラスブール大聖堂に行った。もちろんそこには彼女の姿は見当たらなかった。

「美奈先に大聖堂の中入ってて。後で合流するから!」

「何で?一緒が良い。」

「とにかく買うものがあるから。」

「分かったよ。早くしてね。」

美奈はそのまま大聖堂の中に入った。その間俺は大聖堂から離れた所に行った。鞄の中から、俺とピタ子が新婚旅行の時に撮った写真と結婚式の写真を出した。それを紙に包んだ。そして風が強かったので、そのまま風にまかせて写真を飛ばした。

「これで良いんだ。」

俺はそのまま大聖堂の方に戻った。

「もう遅い。何してたの?」

「もう見終わったのか?」

「そうよ。他の所も見ようよ!」

「分かったから。」

俺達は手を繋いで、川を見つめながら歩いた。俺達は笑っていた。


フランスのメッツには一人の少女がいた。彼女は8歳の小学生だ。

「私、イザベルよ。」

彼女は初対面でもすぐに打ち解けるようなタイプだった。

そんなある日、イザベルはある写真を拾った。

「何これ?写真?ここに写ってるの誰だろう?」

イザベルは写真を見つめた。

「この男の人格好いいし、この女の人美しい。今、どんな夫婦なんだろう?」

イザベルは写真を家に持って帰った。

「お父さん、見て。写真拾ったの。この人達お似合いじゃない?」

「そうだな。」

イザベルのお父さんは複雑そうな顔をしていた。

「この写真は大事に保管しなさい。誰にも見せないこと。」

「分かったよ。」

イザベルはそのまま自分の部屋に向かった。写真の裏を見ると二人の名前が書かれていた。

「いつかこの人達に写真を返しに行かないと。きっと今頃写真がなくて困ってるかもしれないわ。明日学校行かないと。」

イザベルはそのままベッドに入った。

「私もいつか結婚したいな。」

写真を見つめながら彼女は寝た。

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