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SAMMURAI POLYGON[現在執筆停止中]  作者: 永瀬 巧真
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プロローグ1 恋の黄昏

<PS1:3402 活動記録 mo3 day25 天翔48年>


現在地情報:日の国 神殿町 国の境


<以下活動記録のまとめ>

<心理デバイス…認証「allクリア」:漂流の民189号(通称:ミラ) >

<機体の損傷…90%大破>

<残りバッテリー残数3%>

<生態感度...良好>

------------------------------------------------------------------

<言語プログラム再構築>

10...28...45


<天翔48年3月25日/天気:晴れ>


右手の感覚はほとんどない

私の肉体…いやこの鉄の藻屑はいずれ朽ちるであろう。

これから記載する出来事は私がこの地に足を踏み込み、私が体験した回顧録である。

私はこの孤独な世界で生きた証を残したい。

そんな風に…人間らしく思う様になったのはいつだっただろう。

醜く残酷なこの世界は滅んで当然である。

だけどそんなクソッタレの世界にも一輪の花は咲いていることを私は知った。

私はこの記録を残す意義を考えた。

私は未来の子どもたちに希望を与えるため、美しい花が咲いていたことを伝えるため、この記録を残そうと思う。


<天翔48年4月6日:天気:雨>


雨。

雨。

雨。

今日も雨は降り積もる。

少女は私の膝下で眠っている。


「お前は10年後、美人さんになるんだからな」


彼女の髪は少しごわついて、少し臭い…

早くお風呂に淹れてあげないと!…女の子なんだから。

最近、思う様に体が動かなくなってきた。

宗次郎さんは今どこに居るんだろうか。

時間がない…早く見つけ出さないと。


「(手をギシギシさせて)死にたくないな」


オイルを指していないからなのだろうか…関節の調子はあまり良くない。


「…ねえオイル…(深いため息)」


私は身体をメンテナンスしなくてはならないと思い錆びついた歯車を取り出した。

異臭が少しきつかったが、たわしでこすればうまくとることができた。

昨日、露店の男が言っていた「蜜虫」の類いであろう。

蜜虫は、鉄を主食に巣をはる虫の類で、身体が蜜のようにベタつくからその異名を持っている。

ふと、私の左関節の間から黒い異物が落ちてきた。


「… 黒い肉?」


…私が人間であった頃に身につけていた腐った残骸

右手にはわずかな感触。


「お姉ちゃん…」


起こしてしまったか?


「私ね大きくなったら(小さくモゴモゴしている)」


…もう少しだ。

もう少しであの人の元へ行く事ができるんだ。


「私大きくなったら…おっぱいの大きな大人の女性になれるかな?」


この子にはまずちゃんとした教育が必要だ。


<天翔49年1月6日/天気曇り>

…燃え盛る火炎の炎は、あの美しき桃源郷を残酷にも灰の藻屑へと変えた。

私の手には一輪の彼岸花。

軋む身体を起こした私は少女の傍に一輪を添えた。

焦げた彼女の肉体は灰となり今となっては姿、形ももわからない。

鈴…これが彼女を示す唯一の証拠なのだろうか?

私に感情の認識プログラムがありさえすれば、私はこのストレスと言われるバグを取り除けたのかもしれない…


<天翔50年11月1月:天気き...ri>


よう…や…くあえ…


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