28話 バーミリオンよ!私は帰ってきた!!
最近、ジャンルがファンタジーなのか判らなくなってきている作者です(笑)
異世界生活36日目
村を出てから4日ほどで、ユーイチ達を乗せた荷馬車はリリアの職場でもあるバーミリオンの街に辿り着く。そして門での審査待ちで並んでいる。
まぁ荷馬車の外に、4メートル程の銀の鎧が魔獣を担いでいるので、皆の視線を独り占めしているユーイチ達である。
街の住人達の反応は驚きに満ちている様だ。ゴツゴツしたタイプではなく、ファンタジー物の主人公の騎士の様な姿で、背中にはデカいバーニアを付けている。
そこから腕を生やして4本腕での戦闘も有りだと思うユーイチ。そんな事を考えて楽しみつつ、ユーイチは改めて思う。
「やっぱり、先に来て伝えても驚かれるよな。」
数時間前に、商業ギルドの関係者が単独で町へと向かい、色々と伝達してくれたので、街の門番達はそこまで慌てる事なくこちらを見ている。
だが、門で街に入る為の列に並んでいた人達は、最初慌てふためいていた。
衛兵に襲われなかったのは、商業ギルドの副ギルド長からの伝令からの情報だから。と思って良いだろう。
「まぁ国にモンスターの大群を撃破したとか、情報をを渡す事になった時点で、ある程度隠すのを諦めたから良いんだけどさ。」
そんな独り言を喋っていると、膝の上に座っていたレオン君から話しかけられる。
「かくすってなにを?」
「ん?外に居る銀の鎧とか、にーちゃんが強いって事を少し周りに見せる事にしたんだ。まぁ食事の事は大っぴらには言わないけどね。」
「ごはんはないしょ?」
「わざわざ教えないでいい位かな。色んな人から『売ってくれ!』って言われて動いていると、みんなでお出かけしたり、買い物をする時間がなくなっちゃうからね。レオン君も宿に篭り続けるのはツマんないでしょ?」
荷馬車の中でそんな事を喋りつつ、列が進むのを待っている一同。そんな中、豪華な馬車が門から出てユーイチ達の方へ向かってくる。そして護衛なのか、騎馬が20騎ほど居る。
「ユーイチさん。新たな領主から、挨拶と謝罪と食事の誘いのようです。」
盗み聞きのお陰で、先に情報を貰えているのは助かる。マモリちゃんからの情報を疑わなくなったメリッサから、ユーイチに伝える。
「今後の商売をスムーズに行う為の一つとして、領主様に御縁があると販売もしやすいかと。何せ領主様の街ですから。」
まぁ確かにそうだよな。今の所、魔獣の販売。村で作ったナノ君お手製木工細工。聖人認定されたお手製木工細工。怪我人の生活支援アドバイスなどで利益を少し出せたら良いなと思っている。
メリッサに有る程度の権利を譲渡してるので、その分はマモリちゃん。ナノ君に相談してデータとして紙に書き起こして渡してある。まぁ追加オプションは俺と相談して、その利益を少し貰えたら良いなと思っている。
「まぁ前回の領主へのお金の流れを報告した件で、向こうにはある意味恨まれてそうだけど、そこは平気なのかな?」
「聖人認定されたアニキに、真っ向から逆らう貴族は居ないッス。」
笑いながらグレッグが答えると、大人組は皆頷いている。そう言う事か。
「それじゃみんな確認ね。リリアに確認したけど、このままの格好でいいから、街に着いたらリリアのお母さんに会いに行く。
メリッサ達はその間に、商業ギルドや冒険者ギルドに販売やら、情報の提示をしておいてくれる?売り上げは村に渡す残りを50%づつ分けよう。だから高く売れるように頑張ってな。」
するとメリッサは元気良く答える。
「任せて下さい!何しろ、『聖人様が倒した魔獣で、ガリス王国侵攻の際に倒した魔獣。』と言う触れ込みを使って高値にして見せます!」
楽しそうに語るメリッサ。まぁ高く売れれば村に渡せる金額も増えるからいいけど。
「街に入った後に、何体かユーイチを出しておくから。メリッサ達の命令に従うようにしているから、何かあったら戦闘で使っていいからね。」
そんな事を話していると、行者をしてくれているバルから声がかかる。
「ユーイチさん。領主様が直々に来られまして、ユーイチさんと面会を。との事です。」
「それじゃ少し話してくるから、みんなはノンビリしていてね。」
ユーイチは立ち上がると荷馬車から出ようとする。しかし、メリッサ達も立ち上がって後へと続く。ミリィちゃんから不思議そうに伝えられる。
「ユーイチさん。貴族様が来た時には頭を下げるってウォルにーさんから聞いた事があります。」
「そうね。貴族様が来た時に、民は頭を下げて迎えるのが正しい事ね。ユーイチさん達家族はそれをしないで平気ですから、ミリィちゃん達はユーイチさんの後ろで立っていれば良いと思いますよ。聖人様の家族ですから。」
まぁ世界が違うから仕方がないけど、面倒な世界だ。
そんな事を考えつつ、外に出ると、俺達とは違う高級そうな服装をした青髪の青年が馬車から降りており、ユーイチを見ると、片膝を付き、頭を下げている。
護衛っぽい騎馬の人達も同様だ。そして周りに居た人達も土下座をしている。
貴族が頭を下げている時はどうすればいいの?おしえてメリッサえもん。と思っていると、向こうから話しかけられる。
「初めてご挨拶させて頂きます。この度、バーミリオン領主として任命されました、ギルバート・ローウェンと申します。
ユーイチ様に出会えた事を神に感謝し、先日我が街でご迷惑をおかけした事、心より謝罪させて頂きたく伺わせて頂きました。」
そう言うと、下げていた頭を上げてユーイチを見つめる。マモリちゃんからはその行動について報告がされる。
(ちゃんと情報収集をされており、聖人様と呼ばれる事を嫌がっている事や、土下座を嫌っている事を商業ギルドから聞いているようですね。
商業ギルドとしては、ユーイチさんの情報を売って貸しを作った形です。)
まぁどっちでもいいかな。銀の鎧のパニックを抑えてくれたのは商業ギルドだし、向こうが何処で利益を得ようと。そんな事を考えつつユーイチは伝える。
「ギルバート様の謝罪は受け取りました。お立ち下さい。わざわざ謝罪に来てくれた貴族様に跪てしまうと、私は無知な為、どの様に返事をすれば良いのか判りませんので。
そしてわざわざ来てくださった所、大変申し訳ないのですが、神との約束がありまして、これから私と家族は神の元へ早く向かう必要があります。
もし必要でしたら、ガリス王国の件について報告書としてこちらを用意させて貰いました。」
ユーイチは背負っているリュックからあらかじめ準備していた記録を取り出すと、ギルバートと言う貴族に渡す。
「ありがとうございます。ユーイチ様。詳しい情報は国に提出する予定ですが、首都からは『ガリス王国から終戦条約に向けての連絡が来た。聖人様に関係が有る。』との連絡が届いております。」
何か長距離の連絡方法があるらしい。まぁ終戦条約に向けて話し合いがあるなら、まぁ良かった。と言うか、首都って何処にあるんだろう?
「それは良かった。彼等と対話をしましたが、戦う理由が無くなったと思いますので、終戦に向けて話しが進む事を祈っています。」
「つきましては、ユーイチ様の用事が終わった際、1度詳しく話しを聞かせて頂きたいのですが。」
「私の用事が終わりましたら、伺わせて頂きます。残念ながら時間がどの位かかるか判らない状態なので、日付の約束が出来ないのは心苦しいのですが。」
するとギルバートは慌てて答える。
「いえ!此方も神々の方々を優先して頂きたいと考えておりますので、何か有りましたら微力ですが、力添えをさせて頂きますので。」
うん。ここだな。と思うユーイチ。
「それでは、一つお願いがあるんですが。」
ギルバートは笑顔で聞き返してきたので、ユーイチも笑顔で答える。
「貴族の方と私に関して話しが出た際には、こう伝えてください。
『私を利用するな。利用しようとするな。定番の、金、権力、美女を私は求めてないので、私や私の家族、仲間に被害があった場合、全力でその方々を潰します。
私は嫁さんを何人も増やす気は有りませんし、国に仕える気もありません。』と伝えて貰って良いですか?」
ギルバートはにこやかに笑いながら答える。
「勿論。神々からの宣言も有りますし、私達も無理強いはしません。」
無理強いはしないけど、勧誘が定期的に来そうだよね。そんな事を考えつつ、ユーイチは伝える。
「私のいるせいで皆が頭を下げてしまっているのが心苦しいので、それでは私は街に入らせて頂きますね。列も動いてますので。」
「ユーイチ様達でしたら、貴族の門からの通行を許可しますので、良ければ此方からどうぞ。」
「いえ。私は一般人として過ごしたいと常々思っておりますので、心遣いありがたく頂戴致します。まぁ魔獣の売り物を運ぶのに街の皆さんを驚かせてしまうのは恐縮ですが。」
「傷の少ない魔獣は高値で売れますから、私も後ほど値段を確認させて頂きます。」
「良ければご検討下さい。後ろに居る私の仲間であるメリッサが、今回の魔獣関連の販売の責任者として動いて貰って居ますので、何かあった際はメリッサが対応させて頂きます。
ちなみに此方の魔獣は、今回の戦争終結の原因のうちの一つである戦いでの戦果であり、『傷が一つもない魔獣の死体』ですので、かなりの高額になってしまう可能性があります。」
メリッサ。これで高く売れるかもしれないよ?と思いつつ、ギルバートに伝えておく。
「ほう。傷一つない魔獣ですか。どの様に倒したか聞いても?」
「そこは神と友好を結べる程度の力があると思って頂ければ。この報告書には嘘偽りがありませんので、疑われる場合は契約を交わしても構いません。」
まさか数千匹のモンスターを倒したとか書いてあるから、疑われそうだけど、こんな時の契約はとても便利だ。
「解りました。そこまでの報告書を必ず拝見させて頂きます。」
「それでは失礼致します。」
ユーイチはそう伝えると、皆を荷馬車へと戻す。そして門番での確認をされると、『聖人様。今日は馬を利用してらっしゃるんですね。』と言われる。
この前の門番か!と思いつつ、挨拶をして門を潜る。勿論入場料を支払った。
「みんな。リリアのお母さんと会って、魔獣とか売れたら買い物して帰ろうか。メルちゃん道案内を今度お願いしていい?」
「またみんなで、食べたりしようぜ!」
にこやかに笑っているメルちゃん。門を潜ると、街の人達が皆が此方を見ているが、銀の鎧のせいだろう。そんな事を考えつつ、少しすると商業ギルドへと辿り着く。
「それじゃ予定通り、メリッサ達は魔獣の売買を頼みます。戻ってくるのに時間がどの位か判らないので、2週間しても戻らなかったら、メリッサの判断で動いてください。」
前回が予定外の日数だったからな。
「大丈夫です。むしろ魔獣関連について他の方々との値段交渉などを考えると、長引く可能性があります。」
「それじゃ、お互いに頑張ろう!マモリちゃん。それじゃよろしく。」
すると、馬車の中に2人が浮かび上がる。それは人と同じ高さのユーイチが現れる。
「この2人は室内用の護衛ね。フードをかけておけば目立ちにくいだろうし。4人の指示に従うようになっているし、強さはオーク数百匹でも問題ない位だから。」
ゴロスが汗を流しながら答える。
「ユーイチさん。俺達は戦争に行くわけじゃないぞ?」
「一応の用心だよ。関係者として狙われました。なんてなったら嫌だし。」
街に来るまでの間に考えていたロボットによる護衛プログラムも、2人に頼んで作って貰った。
「それじゃ、行きますか。俺もリリアのお母さんに会うのは初めてだから緊張するわ。」
そんな事を呟くと、周りから呆れられた。いやいや!神様扱いよりお母さんと会う方が緊張するだろ?と思いつつ、ユーイチ達はメリッサ達と別れて、リリアの待つ場所へと向かうのであった。
最近、ユーイチはズルい事を覚えました。ナノマシンとして操縦するより、ロボットとして使った方が制限無くて良いんじゃない?と(笑)




