17話 え?感謝されるの面倒だと思いますよ?
好きな芸人さんが亡くなってしまった。若い人も昔のドリフターズとか観てもらいたい。凄い芸人さん達だったから。
歓声の沸いている広場を後にして、ユーイチ達は家に帰って来た。あれじゃ仕事にならないし、子供達を泣き止ませないと。
「ユーイチさん。肉の解体作業が終わりませんが、どうしますか?ナノ君にお願いして解体しますか?」
「僕。やるよ。?」
「だれもいない状態で解体されているのはマズイから、ユーイチから俺サイズのユーイチを分離させて、ナノ君が操って解体作業をして貰っても良い?
ナノ君がナノマシン化してもバレない様に剥いでる真似をして貰ってさ。」
「わかった。操作。するね。」
村人達は何人もウチに訪れ、感謝の気持ちを伝えてくる。この家は広い家じゃないので村人達からユーイチ達は丸見えだが、村人達も子供達が泣いて抱きついている姿を見ながらマモリちゃんが対応をすると、頭を下げて帰っていく。
「ミリィちゃん大丈夫?落ち着いた?」
目を真っ赤にさせたミリィちゃんは、恥ずかしそうに顔を赤くしてうなずく。
「はい。大丈夫です。」
双子ちゃんは先程泣き疲れて寝たので、布団の中で寝かせている。他の子供達はナノ君に出して貰ったイチゴ饅頭を美味しそうに食べながら、ユーイチの近くに座っている。
「俺のとーちゃん、かーちゃんもせんそうでしんじゃったから、せんそうがおわるのは、うれしいんだぞ。」
メルちゃんが何気なく喋りながらイチゴ饅頭を食べている。重い話しなのに軽いな。それがこの世界なのか?
「そっか。戦争が終わるのは良い事だよね。本当に終わってくれると良いから、リリアに後で聞いてみるか。」
メルちゃんの頭を撫でながら、ユーイチは答える。
「私やレオンの父親も、戦争に出兵する事で亡くなりました。母親はその負担を1人で抱えてしまって、後を追う様に亡くなりました。」
ミリィちゃんの話し方は完全に重いな。そして恥ずかしそうに顔を赤らめつつ、ユーイチに抱き付いているミリィちゃんをユーイチは撫でる。
(グレッグ達は何してるかな?)
(村長の家で村長やグレッグ達、商業ギルドメンバーが先程の件について話し合っています。今回の件は重要らしく、領主や国の重鎮に伝える案件なので、ユーイチさんを連れて行かないとマズイのでは?と話し合っています。
ですがグレッグ達は、子供達が居るので村から離れない可能性があるので、本人に相談しようと伝えてます。)
(魔族がまた村に来る可能性が少しでもある状態で、子供達から離れる訳にはいかないな。
まぁ俺は、権力者に命令されても従わなくていいお墨付きを貰ってるから、村に居よう。馬車も手に入ったんだし、俺が村から離れる必要ってもう無いから。)
戦争しないって魔族の王女と名乗る人物が言ってましたよ。って領主に伝えるだけで、子供達から離れる訳にはいかない。
少しすると村長やゴワイル達も家に来る事になったとマモリちゃんから教えて貰う。
「ナノ君。クッションとか人数分を出しておいて貰っていい?村長とか来るみたいだし。」
「わかった。」
部屋には、色とりどりのクッションが置かれる。少しすると、グレッグ達はグイフ君。リッケルドさん。ゴワイル。セルスさんを連れて帰ってきた。
「アニキ。今戻りました。」
「おかえり。皆さんもお揃いで。靴を脱いでからどうぞ入ってください。」
村長達を招き入れて話しを聞くと、予定通りの事を言われる。なのでユーイチは先ほど考えていた事を伝える。
魔族が再度襲いに来た場合、子供達や村が危険だから今は離れられない事。領主に伝える内容は誰が言っても同じだから伝言役として、ユーイチはグレッグ達に頼みたい事。
「ユーイチさん。流石に奴隷が貴族に伝言を伝えるのは無理かと。」
一緒に来ていたセルスが答える。
「奴隷だと領主の前に立って話すのは無礼なんですか?」
すると困った顔のメリッサが答える。
「はい。貴族である領主様の前に立って話す事は奴隷はあり得ません。」
ユーイチは深く考えずに伝える。
「それならメリッサ。ゴロス、バル。俺と契約しないか?契約内容は、俺の代わりに領主に伝言を伝える。今後も俺と契約して俺の商売を手伝う事。最低でも奴隷契約だった5年間は続ける事。賃金については今後の売り上げやらを見て相談しよう。最低限として今のランクの生活は保証する。この条件を飲むなら、今すぐ奴隷から解放する。」
ポカンとする一同。
「グレッグの場合は、今の契約だと解放出来ない条件だよな。どうすれば奴隷契約を解除出来るんだ?被害者の俺が解除したいって言えばいいのか?」
ポカンとしてるグレッグに、ユーイチは伝える。
「グレッグ。なんとかして奴隷から解放出来たら、内容はメリッサ達と同じ条件で契約をしてくれないか?どうだ?」
奴隷とか好きじゃないし。仲間をいい加減奴隷として使うのは嫌だ。そんな事を考えているユーイチは普通に伝える。しかしいくら待っても返事が無い。4人を見ると皆が泣き始めてる。
「この条件だとダメなのか?要望があれば聞くぞ?」
メリッサが泣きながら話し出す。
「ほ、ほんとうに良いんですか?」
「お前達が頑張って働いてくれているし、村では平気だろうけど、仲間が奴隷で文句を言われるのは良い気分がしない。
今回の伝言役としての仕事。そして今後の付き合いを考えた結果です。ミリィちゃん。レオン君。メリッサ達は奴隷じゃないと嫌か?」
すると横に居たミリィちゃんと、膝の上にいたレオン君が答える。
「いえ、奴隷じゃなくていいです。」
「ユーイチにいちゃんのなかまだよね?かわるの?」
「特に変わらないぞ。レオン君。」
「ならいいよ。」
にこやかに笑ってる2人を撫でるユーイチ。
「と言う訳なんだけど、どうかな?みんな。」
バルやゴロスは泣いて何言ってるか判らない。グレッグに関しては『アニキ!!アニキ!!』と泣きながら言ってて、意味わからんし。
「えぇい!ここで泣くな!また双子ちゃんが起きちゃうだろ!泣きたいなら外で泣いてこい!」
子供なら慰めるが、あいつらは働ける年齢なんだから慰めたりしないぞ。マモリちゃんが俺の指示で、泣いている4人を家の外に追い出す。そして、それを見ていたリッケルドさんは笑っている。
「ユーイチさんらしいですね。」
何が俺らしいか知らないが、奴隷とか苦手やねん。
「まぁそういう事で、俺も紙で詳しい情報を書いておきます。貴族に伝える際はドラゴンやら魔獣の皮とか色々と持参して、証拠として見せたりすれば大丈夫じゃないですか?
ついでに聖人認定を利用すれば、会いに行かなくても問題無いでしょうし。」
ユーイチはニヤリと笑う。それを見たゴワイルは苦笑している。
「ユーイチは町に引っ越そうとか考えないのか?金もあるんだし、村より町の方が便利だろう?」
「引っ越し?ミリィちゃんとレオン君の家を捨てて、引っ越しなんて出来る訳ないだろ。当分はテント生活だな。
そうだ村長。村の周りに、木で柵を作って安全を確保出来たら、小屋を作っても良いですか?村を安全に広げられると思うんですが。」
グイフ君は、マモリちゃんに出されたお茶を飲みながら答える。
「それは良いけど、大変だよ?どれくらいかかるか、俺はわからないぞ?」
「それはユーイチを使ってパパッとやろうかと。ずっとは操作出来ませんが、今ならなんとか出来ますので。村長も力仕事で何かあったら言ってくださいね。数日間ならまだ使えますから。」
変に戦力やらにカウントされたくないから、ワザと制限がある様にセルスの前で伝えておく。
(そういえばマモリちゃん。気になってた事があるんだけど聞いてもいいかな?)
(はい。なんですか?)
(戦闘でナノ君を大量に作ったでしょ?あれって変化とかあったの?ユーイチとか使っちゃったり、穴を埋めたり色々としてるでしょ?)
(現在、ナノ君の保有数に増加を確認。前回と同様に、自分では気が付かない状態だった様です。)
(また進化したの?)
(進化ではなく、ユーイチさんの無意識による複製数の上限解放だと考えられます。)
相変わらず自分の進化は無いのにマモリちゃん。ナノ君に関しては進化や権限が広がったりしているようだ。
そんな事を考えつつ話し合った結果、メリッサ、ゴロス、バルの契約は結び変える事となり奴隷から解放する事になった。話し合いの途中に戻ってきた4人は照れた感じでいたが、あれだけ泣いてるのを見られれば照れるだろう。
「ユーイチ。本当に貰っていいのか?」
グイフ君が再度訪ねてくるので、ユーイチも再度答える。
「ええ。良いですよ。頂き物ですが私には使わない物なので、村で役立ててください。」
商業ギルドからユーイチが受け取った謝罪の品は、手のひらサイズの革袋にパンパンに詰まった金貨や日用雑貨など多くの種類があった。
そして初めて魔道具を手に入れた。1つは氷を生み出す魔道具を貰ったが、村の食糧貯蔵庫には無いものらしいので村に寄付した。
もう1つは村の結界を発生される道具らしい。見た目は2つとも渋めな色の木製の箱にしか見えない。中に色々と入っているらしいが、開けると魔道具が壊れて使えなくなるらしい。
ウチで使わない日用雑貨は村長に渡した。これは村長の権限で、欲しい村人に貸す事にしたらしい。タダだと問題が起きるので、村人が出世払いでの支払いにするらしく、後で俺に金をくれるらしい。
「それじゃ、そろそろお開きにしますか。嫁さんを交えて食事をしつつ家族会議もしたいので。」
ゴワイル達ならリリアに紹介したいが、セルスが居るのでお帰り願う事にした。向こうも察したのか、クッションから立ち上がり声をかけてくる。
「数日はまだ村に居ますので、今度は謝罪抜きで仕事の話しをさせてください。先日、メリッサさん達にも詳しく聞きましたが、私にも力になれそうな事がありましたので。」
何か話していたのか。まぁいいや。仕事はメリッサ達に任せてるし、顔だけ出そう。
「判りました。後日、メリッサ達と伺いますね。」
軽く答えたユーイチであったが、後日、障害のある方々のプラン作成などメリッサに話した内容を詰める事になり、仕事が増える事をユーイチはこの時は気が付かなかったのである。
下書きレベルなのに出してしまってる作者です。別件でバタバタなので、満足に書けないのが悔しいです!




