15話 あれ?言ってなかったっけ?
予想外に走っていくユーイチに書くテンションが追いつかないよ....そして副ギルド長の名前が「セルス」なのに、何故か変換で「セレス」と書き間違いが多くて恥ずかしかったチャールスでした(汗)
朝食という名の話し合いも終わり、リリアも仕事場(?)の浜辺に帰って行った。
「それじゃ、今日も頑張りますか。」
ユーイチの声かけで動き始める一同。全員で食器を運んで洗い物をする。双子ちゃんもメルちゃんに促されて、トテトテ歩いてスプーンを握りしめて運んでるのが可愛い。
「ユーイチさん。今日のお昼ご飯は私が作って良いですか?本を読んで作ってみようかと。」
やる気に満ちた顔で、自信満々に料理宣言をするマモリちゃん。
「大丈夫?予行練習とかしなくて平気?」
「はい。仮想空間にて練習をしましたので、問題無いかと。」
「それじゃ今日は、ミリィちゃん達と一緒にお昼の準備をお願いしようかな。俺は木を倒したり、ドラゴンの加工をやってくるからさ。」
「僕も、料理、する。」
こちらは可愛らしい顔で、両手を握りしめながらやる気に満ちた意気込みを伝えるナノ君。
「うん。よろしくね。」
ナノ君の頭を撫でながらお願いする。
「ユーイチ兄ちゃん。ぼくもやるよ!」
レオン君達もユーイチの周りに集まり頑張る意気込みを見せているので、1人1人撫でて応援する。
今日の予定として、マモリちゃんと子供達は畑仕事と食事の準備。俺、ゴロス、バル、メリッサ、グレッグはドラゴンの皮剥ぎや加工をする為に門まで向かう事にする。
「ギルドのお偉いさんと話すのが嫌だなぁ。メリッサ。変わりに話しておいてくれない?」
心底嫌そうに話すユーイチ。そんなユーイチを慰めるように、メリッサは答える。
「大丈夫ですよ。ただ向こうは、謝罪と関係修復の為に貢物をして、ゴマを擦りたいだけですから。」
「そのヨイショされるのが嫌なんだよ。俺は村人でいたいの。お偉いさんと関係を持ちたくないんだよ。」
「それは無理じゃないですか?奥様の件もありますし。」
バルが答えると、皆がうなずいている。そんな姿を見たユーイチはうんざりする。
「嫁さんがいくら偉くても、俺は俺だと思ってくれれば良いんだが、そうは行かないのが権力なんだよな。」
そんな会話をしていると、村の門近くに辿り着く。その場所には解体されているドラゴンが山積みされている。
「おはようございます。すみません皆さん。急に解体の仕事を押し付ける事になってしまって。」
ユーイチは村人達に頭を下げる。すると村人達は笑いながら答える。
「村に襲って来た魔獣なんだろ?それを退治してくれて解体したら肉や金まで貰えるんだから、臨時収入になるんだし、頭なんて下げなくていいんだよ。」
言えない。おバカな神様のせいだって。間接的に俺のせいだって言えない。彼らの為にも働こう。そんな事をユーイチは考えながら、近くにいたクリミアちゃんに声をかけて作業に入る。
「クリミアさん。こんな感じで良いんですか?」
教わりながらドラゴンの肉を解体していく。
「そうです。皮剥ぎは慣れている私がやった方が良いですが、肉の解体は力持ちのユーイチさんが居ると助かりますね。」
素人が皮剥ぎなんて難しいし、出来ないから助かる。剥ぎ方はマモリちゃんに頼んで、プロの動きを記録。後で仮想空間で練習する予定だ。まぁ俺が頑張って働いてはいるが、1番働いているのはユーイチだ。
村人達も慣れたのか、ユーイチに指示を出して、ドラゴンを加工しやすいように持たせたり、巨大を運ばせるのに使っている。意識としては2人いるユーイチが働いている感じである。ちょっと疲れる。
「ユーイチさん。聞いても平気ですか?」
作業をしながら小さな声で聞いてくるクリミアちゃん。思わず俺も声を小さくして聞いてみる。
「どうしたの?クリミアさん。」
「あの銀の鎧って前まで居ませんでしたよね?あ、もし喋っちゃまずい事なら言わなくて構いません。単純な疑問から聞いているだけですので。」
「取っておきの魔法みたいなものかな?マモリちゃん、ナノ君、俺の共同魔法みたいなやつだと思ってくれれば平気かな。動かすのも少し大変だから、ちょっと疲れ気味なのですよ。
俺がでかい鎧になって、動いてる感じ。だから昨日から魔獣を運んだり、はぎ取りとか色々と手伝いしていて精神的に俺が疲れたから、昨日はお願いして家に帰っちゃったんだ。流石にモンスターやら魔獣やら魔族やら戦ったりして疲れたからさ。」
クリミアちゃんが驚いた顔をしている。
「ま、魔族が出たんですか?」
「あぁ。姿をミリィちゃんに見せたら魔族だって言ってたよ。ガリス王国って言ってたかな。」
ドラゴンの皮剥ぎをしていたクリミアちゃんの手から、剥ぎ取り用のナイフがこぼれ落ちた。ユーイチは慌てて答える。
「でも、ちゃんと襲いかかって来たヤツは殺したし、残した奴らに事情を聞いたら、今回が特別らしいから!
今の国王やらが戦争反対派らしくて、向こうの神様も平和に過ごす為に動きそうだから、人間には今後は戦争とか仕掛けてこないと思うよ?今度向こうの神様に会ったら文句言っておくからさ。」
ポカンとした顔でユーイチを眺めるクリミアちゃん。あれ?固まっちゃった?
「クリミアさん?クリミアちゃん?大丈夫?なんかまずい事言っちゃったかな?」
しばらくすると、いきなり目から涙を溢れさせながらユーイチの胸の服を掴みながら大声で尋ねてくる。
「本当ですか!?本当にもう魔族は襲ってこないんですか!!」
ドラゴンの油の付いた手で服を触られてしまった。まぁナノ君がいるから良いんだけど、なんか凹む。
「う、うん。ガリス王国第三王女って名乗る子から事情を聞いたから、それが嘘だったら困るけど、間違い無いと思う。神様の事も話していて天罰が当たらなかったから、本当っぽいし。」
リリアに色々と聞いた方が良かった案件か?と説明しながら考えるユーイチ。そして泣きながらクリミアちゃんは、何処かに走って行ってしまった。
「どうしたんですか?ユーイチさん。」
近くで作業をしていたバルが話しかけて来たので、事情を説明する。あれ?昨日言わなかったっけ?するとバルまで固まる。そして大声で叫ぶ。
「みんな!ガリス王国との戦争が終結するぞ!!」
バルのこんなに慌てた姿は初めて見た。戦争終結?戦争してたの?俺はキョトンとしながらバルが大声で叫んでいるのを聞いている。そして村人達に俺が話した内容と同じ事を伝える。
(マモリちゃん。なんかバルや皆が慌ててるんだけど、何かわかる?)
(いえ。皆が興奮状態で喜び叫んでいる情報しか伝わりません。村長の家でもクリミアさんが走って情報を伝えています。そして同様に喜んでいます。)
(悪い事した訳じゃないけど、またまずい事になってない?)
(目立つという事に関しては、残念ながら目立ちそうですね。)
(ユーイチ、みんな、笑顔、ユーイチ、偉い。)
生活基盤がまだなのに、世界情勢なんて調べてる余裕はないぞ。流れ的に、魔族との戦争をしていたんだろうなぁ。それがおバカ女神の正常化で戦争終結と。厄介事にしか思えない。
逃げたいけど、皆が俺の方を向いて駆け寄って来た。
「ユーイチさん!本当なんですか!?」
村人達に囲まれて、問い詰められる。
「ええ。本当です。あくまで昨日の魔獣やらモンスターを率いて戦いに挑んできた、お姫様を名乗る人の言い分を信じるならですが。」
(あれ?魔族との会話って、皆に聞かせてなかったっけ?)
(はい。戦闘シーンを編集して子供達に見せただけですね。会話は子供に見せるインパクトがありませんでしたから。)
(それじゃ、戦闘シーンと魔族との会話シーンを追加して編集出来る?神様の性格変化は俺が原因だと思われるシーンをカットして。)
(分かりました。)
「聞いても良いですか?皆さん。」
目の前には村人達が密集しており、暑苦しい。
「世界情勢に詳しくないので教えて貰いたいのですが、戦争をどのくらい続けていたんですか?」
「そりゃ俺の爺さんが生まれる前からさ。」
40代ほどの男が答える。まて。そもそもこの世界の人間は何歳が平均寿命なんだ?夜になったら皆に聞いてみよう。
「定期的に数百年の間、魔族は人間に襲いかかって来ていました。財宝や人間の女性を奴隷にする為にです。
国力は魔族側が数十倍も有利の為、我が国が滅ぼされないのが不思議だと周りから言われており、襲われない時期以外を『休戦』と呼んでいます。」
バルも来て説明してくれた。ここでもクリュメシェとリエラが原因か。しかも人間側が被害者だし。
「皆さん。俺は普通に村で生活していく為、村の近くに来たモンスターや魔獣や魔族を撃退しただけです。世界情勢に詳しくないですし、悪い事はしていないので、この事はゴワイルと相談してから、改めてゴワイルから報告させてください。」
ゴワイルに映像を見せて押し付けよう。
「皆さん。俺の世話担当のゴワイルにこの事を話してきます。」
剥ぎ取りのナイフを置いたまま、クリミアちゃんも居なくなっちゃったし。ドラゴンを置いてユーイチは村長の家に向かう。そしてドラゴンを放置したまま付いてくる村人達。
「なぁ。みんな来ちゃって平気ですか?」
「一大事ですのでしょうがないですよ。」
「確かに。」
ゴロスとバル達も来ている。そして村長の家の前に着くと、村長のグイフ君自らが鐘を鳴らして、村人招集をしている。家からちょうどゴワイル達も出て来ていた。
「ゴワイル。ちょうど良い所に。相談があるんだ。」
「ユーイチ。魔族との戦争が終わったのは本当か!?」
同時に話しかけた。ゴワイルも慌てている。
「その判断をして貰いたいんだ。事情を話すからさ。」
「ユーイチ様!私はセルスと言います。先日は誠に申し訳ありませんでした!」
話している途中で副ギルド長が土下座をしている。
「今は緊急の用件がありますので、話す余裕はありません。後で時間を作りますので、その時に話しましょう。ゴワイル。何処か2人で話せないか?」
キッパリとセレスとの会話を終わらせるユーイチ。その姿に呆れるゴワイル。そして離れた所でゴワイルにマモリちゃん編集の動画を見せる。
ゴワイルは魔物やモンスターの数、そして魔族との戦い、そして会話を聞いて驚愕している。
「ゴワイル。これ位の事を出来るのはどれくらい居るかな?」
ゴワイルは普段見せない表情でユーイチを見つめる。ユーイチは返事を聞かなくても表情で答えが分かった。
「ユーイチ。そんな人間はS級冒険者や物語に出てくる勇者や魔王とかだぞ?」
(マモリちゃん!あんまり居ないらしいぞ?予定ではもっとヤバい世界だと想定してたけど!)
(危険度が低くなる事は良い事です。何かあっても不思議な道具も何もかも『神様特製』や『神様関連』と言えば良いのです。私との融合も神様に関連しますから、ウソは言ってません。)
「そうか。ヤバい人を何人か見かけた事があるから、この国にもそんな人が多いのかと思ってた。」
「ユーイチの居た国は、どれだけの強者がいたんだ?」
地球にはこんな人間は1人も居ないさ。そんな事を考えつつ、ゴワイルに伝える。
「まぁ見せた通りのこんな事があったり、話したりしたんで多分戦争は当分は起きないんじゃないか?あ、コレも秘密なアイテムだから内緒な。」
「誰も神の保護を受けてる奴から盗んだりしない。まぁ道具の事も問題が大きくなるから言わないのが正解だ。」
「まぁ俺はこの国の情勢には詳しくないから、村のみんなにわかりやすく説明してあげてくれ。俺は商人達と話してくるからさ。」
面倒だ。だが、コレが終われば俺はノンビリと暮らせるはずだ。ユーイチはそんな事を考えつつ土下座をし続けているセルスの元へと歩いていくのであった。
お頼み申し上げます!どうかテンションを上げる為に感想などお待ちしています!




