13話 押し付けた厄介が変化したらしい
昨日投稿したヤツを書いてから2時間で書けたヤツです。ユーイチ達は今回はお休みの村人達やグレッグ達の会話です。
ゴワイルは、商人達を連れて村長の家まで案内する。家の扉をノックして、扉を開けてくれたメルビアに説明をする。
「ユーイチの件で、説明が必要な商人達を連れて来た。」
「はい。案内しますね。」
予め話しが伝わっていたかのようにスムーズに案内される。テーブルにはリッケルドが座っており、杖を使いながら立ち上がると挨拶をする。
「遠い所からよくお越しになりました。先先代村長のリッケルドです。」
服に泥の付いた商人は挨拶をする。
「初めまして。この度、商業ギルド副ギルド長に『就任しました』セルスと申します。」
リッケルドは驚いた顔をせずに尋ねる。
「今回はどのような御用件で、この村にお越しになったのですか?」
セルスは残念そうな表情で、リッケルドに伝える。
「聖人様には、我が商業ギルドの面々が多くの無礼を働いてしまいました。その為、謝罪をしに参りました。
現在の商業ギルドは『トップの入れ替わり』が有りましたので、ギルド長自ら伺う事が出来ず、ご無礼に当たりますが、私が代表として、挨拶と謝罪に参りました。」
「まずは皆さん椅子にどうぞ。話しが長くなりそうですからね。」
リッケルドは椅子を勧めると自分も座り、ゴワイルに話しかける。
「ゴワイル。彼はどんな様子ですか?」
ゴワイルはため息を吐きながら答える。
「冒険者がユーイチに襲い掛かり、返り討ちにした。村長が武装解除を条件に村に入れた。ユーイチは俺に面倒を押し付けて家に帰った。」
慌てたセルス。
「それは誤解からなのです。魔獣が多く発見されており、警戒していた所に起こった悲劇なのです。その事についても聖人様に改めて謝罪を行いたいのですが。」
「魔獣をぶら下げて血抜きをしている事は聞いています。冒険者の方々も災難でしたね。まず、聖人様と呼ばれているユーイチさん。そして村人達総意の意見を伝えます。
『ユーイチさんを利用するな。騙そうとするな。敵対するなら容赦しません。』これが皆の総意意見です。」
「私達は利用するなど考えておりません!敵対など一切考えておりません。」
そこで黙っていたメリッサが口を開く。
「ユーイチさんが感じている事を説明します。商業ギルドの行いとしては、契約書にて利益を騙し取ろうとした件。
ユーイチさんが『利用されたくない。ギルドに入りたくない。』と宣言した上での、元副ギルド長からのギルドへの勧誘。
今回の、ギルドと契約した冒険者達が襲い掛かった事。
この3点から、ユーイチさんはギルドにマイナスイメージを持っています。ユーイチさんは女神との婚姻や、自分の力を利用される事を嫌っています。無理矢理ギルドに入れようとするのですから、嫌われるに決まっているじゃないですか。副ギルド長さん。」
「...貴方は誰ですか?」
「ご紹介が遅くなりました。私は商業ギルドC級で登録されているメリッサです。横にいるのは同じくC級のグレッグです。
2人ともユーイチさんの所有する奴隷で、ユーイチさんの行う商売に関して、任せられている者です。」
痛い所を突かれて怒り出すセルス。
「奴隷は黙ってなさい!」
怒り出す副ギルド長。そこでリッケルドが答える。
「ユーイチさんは、この2人を含めて4人と奴隷契約をしています。1人は殺人奴隷です。ですが、仲間として皆と暮らしており、一緒に同じ物を食べて生活している信頼のおける人達です。
貴方達の言葉と2人の言葉。優先するのは2人の言葉でしょう。その気持ちを改めないと、失点が増えるのは間違い無いかと。」
副ギルド長や冒険者達も驚く。奴隷に落ちた者はヒト扱いされない。それが奴隷だ。だがユーイチは仲間として扱っていると言う。リッカルドは副ギルド長の眼を見つめながら話す。
「ユーイチは、この村に縁はありません。全くの他人です。私達が依頼をしたオーク退治を少ない賃金で行って、オークに殺された村人達の遺体や、遺品を無償で回収して家族に返してくれました。
村人達から当時、『なぜ早く来てくれなかったんだ!お前がいれば村人達が死ななくて済んだのに!』と怒鳴っていましたが、彼は怒りませんでした。」
横にいた冒険者達は、有り得ないと思った。この世界では報酬を貰わないと遺品などは返却せず、拾った物は売り払うのが普通だからだ。リッケルドはなおも続ける。
「亡くなった村人の中には、身寄りの無くなった2人の子供達が居ます。今は彼が引き取って一緒に暮らしています。
そんなユーイチさんは、自分を殺そうと襲いかかって来た人物を奴隷として引き取り、一緒に暮らしています。仲間として。
そんな彼は町に行き帰って来ると、孤児を3人も引き取って来ました。先ほど村人から聞きましたが、今日は村に魔獣が攻めて来た時、彼は私達を守る為に1人で戦いに行き、村人達にこう伝えたそうです。
『魔獣が来たせいで、獣達が居なくなっている。その為、狩りが出来なくなるから困るだろう。魔獣の解体を村人達で手伝ってくれ。報酬は売った金額の8割だ。』と言ったそうです。グレッグ。合っていますか?」
「あぁ。合っている。」
「そんな人は、神の伴侶となる前と後も変わらず私達に伝えた条件も同じです。
『私を利用するな。騙そうとするな。敵対するなら容赦しません。』です。
神からの束縛を禁ずる事に触れないように貴方達が動かれても、私達全員が見ています。聞いています。
そして何かあった時には声を高らかに言いましょう。
『商業ギルドが神に逆らったぞ!』とね。」
静まり返る一同。そこでグレッグが話し始める。
「まぁアニキは小さい事は気にしないけど、そこはしっかりしてますからね。
副ギルド長さんに聞きますが、アニキは面倒な交渉は大嫌い、金にも興味無い。美人の女神様を奥さんに迎えた新婚さんに、どんな謝罪をしに来たんですか?魔獣の利益の殆どを村人達に上げちゃうような人ですよ?」
メリッサが騒ぐ。
「やっぱり魔獣の解体で8割なんて渡し過ぎでしょう!なんで討伐した人が損するのよ!」
今まで黙っていたニックが話す。
「...マジで討伐した魔獣の8割を解体した村人達に渡すって言うのか?」
「アニキがそう宣言して言ってるから、そうなんじゃないですか?ランクの高そうな冒険者さん。俺達はD級冒険者でもあります。モンスターや魔獣を倒す苦労は少しは知っているつもりです。」
「あぁ。自己紹介がまだだったな。俺はニック。B級冒険者で『竜の右腕』と言うクランリーダーをしている。こっちが魔法使いのラルスと、聖人様に矢を撃ったネーリアだ。
ちなみに襲い掛かったのは、魔獣にネーリアがビビったドジのせいだ。聖人様には俺からも謝らないといけない。」
「あー気持ちはわかるんですが、会いたくない。とハッキリ言っていたので、今日は無理ですね。それで俺がこの場に居ますから。謝罪は伝えておきます。
良かったですね。村の外で襲い掛かって。中だったら1発で殺人奴隷でしたよ。まぁ外でも冒険者ギルドからペナルティがあると思いますが、頑張ってください。」
ネーリアは嫌そうな顔をして伝える。
「ちゃんと謝るから、聖人様は許してくれないかしら。」
「ちなみに聖人様呼びは好きじゃないとの事なので、普通にユーイチさん呼びにしてます。村人や俺達も同様です。罪は罪ですから、そこは諦めて下さい。押し掛けて来ると、印象がもっと最悪になるので気をつけてください。」
黙っていた副ギルド長がリッケルドに話しかける。
「残念ながら交渉する材料がありません。私は利用する気も無い。謝罪はギルドとして行いたい。リッケルドさん。その事を契約しますので、どうか交渉役に入って貰えませんでしょうか?
報酬は今後の村への行商人の往復回数を増やし、外にある魔獣の買取金額の1割追加でどうでしょうか?」
「行商人の往復が増えてくれるのは嬉しい事ですが、そこは村長になった息子を間に入れてください。」
副ギルド長は訝しげに質問する。
「失礼ですが、何故引退を?足を悪くされているのはわかりますが、まだまだ御健在な様子。」
「あぁ。わかりませんか。不作法になりますが失礼。皆さん左脚のズボンをめくって、中を見て貰えますか?」
テーブルに左脚を乗せるリッケルド。そして脚を触るとギョッとする副ギルド長。
「こ、これは一体...。」
「そうです。私の脚は膝から下がありません。そこでユーイチさんが木を加工して義足を作ってくれたのです。ちなみに右腕も義手です。
これがあれば自分で寝て。歩いて、トイレに行き、外に出る事も出来ます。これがユーイチさんが町に特許を取りに行った理由です。」
ゴワイルはリッケルドに話す。
「リッケルド。さっき聞いたが、特許はユーイチが取らずにメリッサが申請人になったそうだ。」
「はい。ユーイチさんと契約して、ユーイチさんに何かあった時には、子供達が大人になるまで面倒を見るという約束で契約させて頂きました。
私に有利過ぎる。と伝えたのですが、ユーイチさんは子供の方が大事だと言う事です。」
リッケルドは笑いながら答える。
「ユーイチさんらしい。完全に子煩悩なパパですね。」
「と、特許を奴隷に譲ったのですか!?」
グレッグは答える。
「だからアニキは金には興味無いと言ったじゃないですか。脚を失った人達がこんな感じで生活出来るようになる知識。技術。それを奴隷に渡すレベルの人なんだから、聖人認定もされますよ。
ちなみにこれは、金に困っている時に、子供3人を引き取ったりしてる時に行った行動です。
冒険者のニックさんならわかるでしょうが、この脚や手は冒険者達が1番必要じゃないですか?怪我で手足を失う人は多いですから。」
メリッサは商売のチャンスを逃さずに伝える。
「この特許は、申請してからまだ数日です。人によっては眼を失った者。手を失った者。色々な人が居るはずです。その人達の生活が少しでも楽になるようにと、ユーイチさんは広めようとしています。
他にもまだ特許を取っていませんが、このような方々への相談プランを作成すると言っていました。金銭や物の謝罪方法もありますが、このような貢献の手伝いも謝罪に入るんじゃありませんか?」
リッケルド達はユーイチが如何に聖人な行動をとっているかを説明し、自分の改造された家を見せていく。そして感化される副ギルド長達。
彼等は魔獣の素材の販売金額の相談や、運搬の手伝い。今後の義足などの販売戦略や、馬の居ないユーイチへの馬の譲渡など夜遅くまで多くの相談がされた。
もしユーイチが聞いていたら止めていただろう。『俺は面倒な生活をしたくないんだ!村でノンビリ暮らしただけなんだ!』。と。
1度だけちゃんと書いたら変化は有るのだろうか?と思い書いてみます。
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