8話 原因を連れて来いや!!
修正に飽きて書いちゃってました。意志の弱い作者です。
地上の森の中に落下した3人は、特に傷を負っていないように見える。
(ナノ君。危険度B用の落とし穴の準備よろしく。敵付近のナノマシン最優先として。)
《わかった。準備開始。する。》
「お前は何者ですか!」
カマキリ頭が喋った。今度はスムーズな声だ。3人なら何とかなりそうだ。情報収集をしよう。
コイツは、貴族が着ていそうな黒い儀礼服を着たカマキリ頭。昔見た変身戦隊物の敵を見ている気分だ。
(マモリちゃん。煽って情報収集するから、録音と解析をお願い。)
(了解しました。)
「先に質問してるのはこちらだ。止めたよな?止まれって。此方が説明を求めて止まらなかったヤツが、なんで俺の事を無視して質問を始めているんだ?礼儀を知らないのか?自己中心的なのか?それともバカなのか?虫並みの脳味噌しか入っていないから仕方がないのか?どっちだ?」
ユーイチは間髪入れずに口撃する。どんどん煽って怒らせて情報を引き出すぞ。
「わかりやすく言ってやる。先に危害を加えたのはお前達だ。俺は怒ってるぞ。お前達はそこで待っていろ。今向かっている。逃げたら3人とも殺すからな。
そして、そこにいる2人で会話の出来る奴が、ここに来た理由を説明しろ。虫には言葉が通じないようだからな。」
俺は話しながら家に戻り、マイクオフにしてから仲間達に顔を出す。
「どうしたんですか、アニキ!俺らも手伝います!」
子供達が心配そうな顔をしている。ユーイチは笑顔で答える。
「大丈夫だ。俺に任せておけ。お前達のユーイチ兄ちゃんはかなり強いんだぞ?何せ神様を2人泣かした事があるくらいだからな。」
「真実ですね。」
「同意。」
仲の良い2人が茶々をいれてくる。変わったよな。本当に。
「みんなよく聞くんだ。もしかしたらここに穴が開く。中には食料など用意してある。中に入ったら、10日は中で隠れて過ごしてから、みんなで町に逃げるんだ。リリアの所へ向かえ。
子供達の護衛は、グレッグ達にしか任せられない大事な仕事だ。任せたぞ。それにこの武器も渡しておく。」
笑顔で伝えてから俺は相棒2人に言う。
「マモリちゃん。ナノ君。アイツらが暴れた場合、全力で潰す。力を貸してくれ。」
マモリちゃんは笑って答える。ナノ君も笑って答える。
「任せてください。」
「いつも。一緒。僕。頑張る。」
ユーイチは家族や仲間に話しをしながら、向こうの会話を聞いていた。
向こうでは、相変わらずカマキリ頭が騒いでいる。その横で、紫色の20センチ程のツノを生やした女が淡々と話し始めていた。
自分たちの信仰する神『リエラ様』が人間を聖人認定した。普段通りに神に捧げ物をすると、神は頭を抱えて蹲り、怯えながらこう言った。
「ユーイチさんごめんなさい。もう2度とやりません。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
神が脅されたと考えたザザラスは、神を救う為に立ち上がり、国の管理しているモンスターや魔獣を勝手に使って、攻めようとしたらしい。
神の名に背いていない。束縛はしない。打ち倒そうとしただけだ!と。
村で聞いていたユーイチは深い溜息を吐く。
狂信者かよ!俺に対する加護はどうなった!!と思うが、狂信者に理屈は通用しないだろう。
「だいじょうぶ?ユーイチ兄ちゃん。」
レオン君が心配してくれている。
「うん。大丈夫だよ。ちょっと悪い事をしてくる人を懲らしめるだけだから。すぐ処分からね。」
ユーイチは怒りながらも、子供達1人1人を抱きしめてから笑顔を見せ、オーク退治に持って行った武器を持つと、3人の元へ走る事にする。
門を開けて貰う時間も勿体ないし、説明も出来ない。ユーイチは走りながら挨拶をして、門を飛び越えて走って行く。それを、口をぽかんと開けながら見上げるダンチ達。
森を走りながらユーイチは3人に会話をして時間稼ぎをする。会って話しても話しが通じるか判らない。なので、『準備』をする事にした。
(マモリちゃん。『俺を何人出せる?』)
(村の作業も殆ど完了していますので、現状ですと追加で1人が限界です。)
「お前達の神に心当たりがあるが、それが神の望んでいる事とは思えないぞ。神に逆らうのがお前達の行動なのか?」
「神が嘆いている原因を取り除くのが我等の使命!常人には判らない世の中の理だ!」
カマキリ頭が煩いな。デカいヤツと、さっきまで喋っていた女はもう黙ってるし。
「そっちの2人はどんな意見だ?それによって対応が変わるんだが。」
「私達はユーイチと言う人物に会いに来ただけ。理由は、会って聞きたい事がある。モンスターの攻撃指示など全てザザラスが行っている。私達は危害を加えるつもりはない。」
「同じく。」
「それじゃ俺がユーイチだと言ったら?顔を出すけど、その騒ぎ立ててるヤツが襲いかかって来たら、お前達は一歩も動くなよ?動いたら敵と見なすから。」
「わかった。」
「了解。」
暫くすると、3人の前に『ハルバードだけ』を持ったユーイチが草むらから現れる。すると、それを見たカマキリ頭が一層騒ぎだす。
「貴様がユーイチだな!リエラ様を苦しめた罪は万死に値する!リエラ様に悔いながら死ねぇ!!」
カマキリ頭は人型だった筈なのに、一瞬で膨らんで服が破けると、5メートル程の巨大な蟷螂となる。どんな物理法則だよ!?と思っていると、そして羽を広げると瞬恐ろしいスピードで飛来し、襲いかかって来た。
「お前が死ね!!」
(ナノ君!ガソリンで包んで爆破!)
(爆破。)
目の前で凄い勢いで爆発する。だが、多少の火傷を負いながらも、巨大な蟷螂は突き進んで来る。
ユーイチは腰を捻りながら、全力でハルバードを脇構えから振り抜く。ハルバードは振り下ろされた鎌に当たり、ハルバードと鎌は砕け散る。ユーイチの足下にはヒビが入り、蟷螂はこちらに来た以上のスピードで後ろに吹き飛ばされる。
吹き飛ばされたカマキリ頭は、木に激突して止まった。
(相手の突進スピード。身体の強度の確認終了。『投擲』にて破壊可能と報告します。現在のユーイチさんの強度でも受けとめる事は可能です。)
(ありがとう。マモリちゃん。)
「キサマアァァ!!ヨクモ!!音速飛斬!!」
無くなった鎌の部分を振り下ろすカマキリ頭。
(不可視の飛翔物を検知。ナノマシンの不規則な動きから、イメージを投影します。)
ユーイチの目の前に、アニメで見たような不可視の衝撃波みたいなのが飛んでくるのが見える。
周りに配置したナノマシンが気流の変化で動くので、見えない風も動きで予測する事が出来る。
この世界が魔法が使える世界だと知った時から、予想出来そうな魔法の知識や対処法は予めマモリちゃんに教え込んでいる。
安心してユーイチは、マモリちゃんによって『見えるようになった、見えない何か』を避けて相手に近づく。
人間の動体視力、反応速度じゃ無理だろうけど、機械の反応速度は正確に魔法を捉えている。そんな事を考えていると、無い腕を振り回し続け、魔法を使っているカマキリ頭が叫ぶ。
「ナゼダ!ナゼアタラン!ハヤク、カミノタメニシヌノダ!!」
(推測ですが、結果が出ました。3人の身体の周りを何かが覆っており、ナノ君の分解を防いでいる様子です。砕けた鎌に関しては処分を行う事が出来ました。)
(物理攻撃は有効で、ナノ君は無効と言う事ね。質量をぶつければ問題無いと。)
謎の検証は出来た。この為に即死させずに戦ったのだから。マモリちゃんと話しながらも、カマキリ頭の放つ魔法を避けている為、避けた後ろにある周りの木々がどんどん伐採されていく。切るならもっと下から切って欲しい。
カマキリ頭の魔法を避けながら近付いた為か、ビビったのか羽を広げて空に飛び上がろうとする。飛ばれると面倒だ。俺に羽はない。
ユーイチは全力で走り、その運動エネルギーが無駄にしない為、全力でドロップキックをして、カマキリ頭を木に叩き付ける。
「ゲビャ!!」
変な声を出しつつ、回転しながら木に叩きつけられたカマキリ頭。何本か木をへし折りながら飛んで行くと、やっと止まった。
下半身から先に当たっていた為、下半身が潰れてるようなカマキリ頭。これで決着が付いたかな?
ユーイチは静観している2人に伝える。
「俺は殺されたくないし、コイツは殺そうとしてきている。だからお前達の仲間を殺すが文句無いよな?」
「文句など無い。」
「同意。」
ユーイチは近づいて、頭をねじ切ろうとする。すると、するとカマキリの尻から、白くて細長いのが飛び出して、ユーイチに突き刺さろうとした。
ユーイチは右手で突き刺さる前に捕まえ、全力で引きちぎると、地面に叩き付ける。カマキリの頭には全力でハイキックし、頭を吹き飛ばす。
叩き付けられた白い物は確か寄生虫だったはず。
(寄生虫かよ!触っちまったじゃないか!ナノ君。触った部分の滅菌消毒をお願い。それと、遺体は油で燃やしておいて。燃え尽きるか確認よろしく。)
(了解。)
燃え始めた遺体から離れ、ユーイチは2人の近くに歩いていく。そして、落とし穴の真ん中に来るような位置にさりげなく立つ。
「さて、話しがあると言ったな。今は機嫌が悪い状態だと分かったまま話しをするか?」
「話しをする。貴方に必要な情報を伝えて、確認を取れれば私が来た理由の達成になる。」
「その質問に答える対価はなんだ?」
「何が必要?」
「まず先に俺の質問に全部答えろ。お前達が何者なのか。何故モンスターを差し向けてきたのか。何故周りの奴らは止めなかったのか。今後、俺や周りに被害が来る可能性があるかどうか。それを答えろ。」
「わかった。私はガリス王国第三王女、ルーミシュ・シャイ・ガリス。王位継承権5位だ。コッチは護衛のバンナ。」
(なんか聞きたくない事を聞いた気がする。俺は聞いてないぞ。)
(録音済みです。王国の王女と名乗りました。)
《王女。初めて。》
「貴方に倒されたのは、ガリス王国の国教になっているリエラ教の元教皇。私は教皇が倒れた時の対応を取る為に、王からの勅命で来た。」
(リエラが国教?あのリエラが?ヤバイ国にしか思えない。教皇って偉い人だった気がするな。)
王女と名乗ったツノ女は気にせず続ける。
「今後はモンスターや魔物を引き連れて、ガリス王国が攻め入る事は無い。現国王や新たな教皇も戦争反対派だから。貴方に襲い掛かる可能性があるのは、元教皇のシンパが少し居る位。
貴方の質問には答えた。私の質問。『貴方はリエラ様に何をして改心させたの?』」
「改心?俺はそんな事をしてないぞ?神様公認で立ち合いの元、数日間の拷問をしただけだぞ?」
「前のリエラ様は、人間や私達魔族も興味がなくて好き勝手していた。昔の文献ではまともな神様だったらしいけど、数百年の間は違った。」
詳しく聞くと、美女を1000人用意しろ。金銀を貢げ!とかあったらしい。あ〜チャラ男に貢いでいたって言ってたな。
「そのせいで、神官達も腐敗が始まっていた。人間との戦争があったのも、それが原因。」
ろくでもない原因だな!あの神様達は!
「それが数日前にパタリと止まって、神から謝罪の言葉が国に流れた。そして、教皇達の罪も神が告発した。彼らを止めなかった私の罪でもあると。」
まぁ権力者が告発されて崩れ去るよな。1番の悪党が改心しちゃったんだから。
「ザザラスはその原因がユーイチだと考え、殺せば神も戻ると考えて暴走した。ザザラスがもし人間に殺された場合、謝罪とメッセージを伝える為に、私は国から派遣された生贄。」
うん。女神のせいじゃねぇか!!
「後でバカ女神に確認を取っても良いが、性格が変わった理由の一つは俺にある。そして、当分は今のままだ。性格がいつ変わるかなんて俺にも判らないからな。」
(マモリちゃん。ナノ君。悪いけど、みんなに無事終わったと伝えてくれる?戻るまで時間がかかるとも。)
(分かりました。子供達も泣いているので、後で。その。頑張ってください。)
マジか.....悪い事しちゃったな。早く帰らないと。
「使者なら仕事はするんだよな?ガリス王国ってのは遠いのか?」
「国境まで転移して、2日ほど。」
「モンスター達は連れて来たのか?」
「この森にいるモンスターをかき集めた。元教皇は魔物に寄生して操るのが得意だった。魔獣は元教皇の自前。」
「なんで王女がこんな所に着いてきたんだ?」
「これでリエラ様が元に戻った時に、教皇に権力が戻る。反対派として王家が全員付くと抹殺される可能性がある。
だから、可能性は低いと言われていたけど、万が一を考えて王からの指示で教皇側に付いた。
私の護衛のバンナは国で3番目に強いから。必ず連れていくと思って。」
うん。生贄王女とその護衛だな。で、悪いのはリエラの今までの行い。と。
「はぁ。わかった。とりあえず今の神様で良いんだろ?
なら、国に帰って王に伝える前にリエラに伝言を正確に伝えろ。
『この伝言役の2人には間違っても変な罰を与えるなよ?お前が後始末を失敗したせいで、俺の家族にモンスターが数千とか押し寄せて殺されかけたぞ。コイツらも命かけて国の戦争を止めようとしたぞ?
俺の居ない所でごめんなさい!なんて言ってる暇があるなら、後始末はキッチリしやがれ!』と。」
初めてツノ女の顔色が変わった。
「なんで貴方はリエラ様に命令出来るの?それに何故天罰を受けない?普通、そこまで言ったら天罰で死ぬ筈なのに。...女って、リエラ様の事よね?」
「あぁ。そうだ。罰を受けないのには理由があるが、それは約束事で言えないな。色々と事情があるんだよ。
とりあえず、さっき倒した魔獣は売れると思うから貰っていくぞ?コイツらのせいで獣が逃げて食糧難になりそうだからな。
賠償請求出来るなら、取れなくなった分の食料を寄越せ。と言っておいてくれ。じゃあな。」
まずは子供達を安心させなきゃ!ユーイチは立ち尽くしてる2人を置いて、魔獣の回収しに行く。
そして『もう1人』のユーイチは、遠く離れた所からナノ君を使い、木の上10メートルほどの上空に待機していた。全身銀色から人に戻ると、遠くから投げようとしていた槍を下ろし、急いで村に帰るのであった。
作者:穴はどうしよう?
ユーイチ:どうするんだよ?掘って使わなかったぞ。
マモリちゃん:ユーイチさんが転移する時に履いていた靴の裏に付いていた砂を生産して埋めるのは?
作者&ユーイチ:それだ!!




